転生凡人は天才悪役令嬢を幸せにしたい

かごめ@

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神殿の扉よりも豪華な装飾の施された扉を兵士の方が開けてくれた。扉を開けると長い長い廊下が続いていた。私がぼーっとしているとメイドの方が
「ご案内します。」
と言って廊下を進んで行くので、私もお父様に手を引かれながら置いていかれないように必死について行った。廊下にはなにかわからないけど高そうな壺や絵が置いてあった。
しばらく歩いて行くとドアに突き当たった。中から人々の話す声が聞こえてきた。ここが会場なんだろう。
うっわ、緊張してきた、胃が痛いよぉぉぉ。
メイドさんにドアを開けてもらって中に入った。会場は正面に王様達が座るであろう椅子があり、奥には豪華な扉があった。今までは銀がメインの装飾が多い扉ばかりだったのにあの扉は金と赤の装飾が多い気がする。天井からはシャンデリアが下がっており、そこからキラキラした光が降り注いでいた。右側にはオーケストラの人たちが楽器を持って座っていた。
私が見たことのない風景にびっくりしていると
「キシュー・シャールクル伯爵と、
 妻、マリー・シャールクル様
ご令嬢、レイ・シャールクル様のご到着です」
と、大きい声で読み上げられた。
星夜祭までまだ時間があるとはいえ会場にはそれなりに大勢の人がいた。
やめてよ!そんな大きい声で言ったら大勢の人がこっち見るじゃん!!と、思っていたが誰もここを見ない。
え?なんで?
と、思っていたら
「キシュー!やっと来たな!」
そう言って見たことのない男性がこちらへ来た。
「ローレン!久しぶりだな!」
お父様がそう答えて握手をした。
「あぁ、この子が君の娘か。はじめまして、君の父の友人のローレン・デルスと申します。」
そう言って挨拶をしてきたので私も慌てて返した。
「レイ・シャールクルと申します。以後お見知り置きを。」
はじめてするのでうまくいったかはわからない。でも笑って
「上出来じゃないか!君の子供とは思えないよ、キシュー。」
と、軽口を叩いていたので失敗ではないだろう。
そんな事をしているうちに次々と貴族の人達が名前を呼ばれて会場に入ってくる。さっき私達の名前が呼ばれた時に誰もこっちを見なかったのはみんな毎回こんな風に名前を呼ばれるから慣れているのだろう。
「レイちゃん、これが私の妻だ」
ローレンさんがそういって連れてきた女性は何というか、ふわふわした雰囲気の人だった。
「はじめまして、可愛いお嬢さん。ローレンの妻のラナ・デルスと申します。」
「はじめまして、レイ・シャールクルと申します。」
「ふふっ。上手な礼ね。」
そう言って笑った顔はとても優しい雰囲気を感じた。
この人、いいお母さんになるな!と、ひとりでに確信した。
そんな事を考えていると、
「ルイ・シーモンド大公と、
 妻、ローズ・シーモンド様
御令息、クルシュ・シーモンド様
ご令嬢、ルージュ・シーモンド様
のご到着です。」
ついに来た!私が今日、このパーティでもっとも注意するべき相手、悪役令嬢ルージュ!
シーモンド大公の一行が入ってきた途端に会場はざわついた。
「あれが混合紋の、、、」
「大公様のご令嬢、」
やはり混合紋持ちという事で噂になっていたようだ。
「さて、大公様が到着したということはそろそろ王族の方々が登場なさるぞ。」
ん?もしかして会場にくる順番って決まってるのか?
「お父様、会場にくる順番は決まっているのですか?」
「ああ、まぁ、一応位の低い貴族から先に来るがそこまで細かい訳ではない。だが、大公程になると星夜祭の前に王様にあってから来るんだ。だから大公の位を持つ方々が来たらそろそろ王族の方々も順番が整っているということだ。」
「大公の位を持つ方々?大公の位を持つ貴族は1つだけではないの?」
「いや、大公の位を持つ貴族の一族は2つある。というか、シーモンド様達よりも先に来ていたのだが‥…気づいていなかったのか?」
「…はい。」
聞いてませんでしたぁ!すみませんお父様!しかし、大公は2つあるのか、ややこしいな。
「まぁ、レグナンド大公とは派閥が違うがな。」
うわぉ!二大勢力が違う派閥とは争いの予感しかしない。
私がそう考えていると会場に大きなファンファーレが鳴り響き正面の席の奥にある扉が開き、豪華な服装の方々が降りてきた。王族の方々だ。

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