アナザー・ワールド 〜オリジナルスキルで異世界とダンジョンを満喫します〜
189 閑話 快復?・・・祝い!
「快復・・・か」
オークたちに見事勝利し、魔法の力を取り戻したリアムが一人、勝利の余韻に浸って自室の窓から月を眺める。
・
・
・
「何はともあれ、行ったか・・・」
「はい。今回彼にはかなり辛い思いをさせました」
「そうね。だからこの後、しっかりと励ましてあげなくちゃ」
「でも、大丈夫かしら?」
「大丈夫だろう。ティナが着いていった」
「はい。ティナさんも着いて行きましたし、私たちも早く先回りしないと──」
「そうね・・・ふふふ。今から楽しみですね」
リアムが退出した部屋の中、そそくさと急いで用意をはじめ何やら企んでいる一行が──
「そっちの飾り付けはどうですか?」
「できたました司祭様。あとはケーキを・・・」
「はぁーい! ・・・ほら! 私と母さんの自信作!」
「おいしそー! ちょっと味見・・・」
「こらライト! それにしても、もうすっかり一人前ね」
「えへへ・・・ありがとうアメリア」
・
・
・
「ウィル野菜!」
「はい!」
「次鶏肉!」
「はいはい!」
「もう熟練夫ね〜」
「そうね。フフッ! 私も1料理人として頑張らなくっちゃ!」
・
・
・
「先輩寝ないでください!」
「うるへぇシーナ! でへへ勤務明けの一杯は・・・」
「たまらねぇな! って俺もまだ我慢してるってのになんだこの娘は!?」
「ギルド長・・・いえ、あなた。どちらにしても今日はあなたはお酒禁止です」
「マジでか!?」
「プククこれはまた傑作・・・どんまいダリウス」
「学長・・・あなたもですよ」
「えっ?」
「あなたには日頃の労いをしてもらいます」
「私はオレンジピールをおつまみに」
「儂は久しぶりに酒をもらおうかの」
「おっ!じゃあ乾杯の後で飲み比べでもするか?」
「では早速、1000ほどの魔力の提供を」
「「えっ? こんなところでまで研究するの?」」
・
・
・
「こちら、本日若のために卸した新鮮な豚一頭です」
「今朝会頭と私、そしてこのパピスめと牧場に向かい仕入れました」
「ど、どうぞお納めくだしゃい!?・・・噛んじゃった」
「これは素晴らしいな・・・アオイ殿。私もささやかではあるが牛肉や秘蔵のワイン等持ってきた。すまないが・・・」
「はいはーい! 任せてください! このオーナー秘伝のレシピ本があれば──!」
「まあまあ、そんなレシピまで載ってるの?」
「じゃあ俺が調理手伝うよ」
「じゃ、じゃあ私も・・・」
「いや、2人は座っててよ! ここは私が華麗な包丁さばきで・・・イタッ!」
「もうお姉ちゃんったら余計な仕事増やさないでよ〜・・・ヒール」
「フェッフェ。始まる前から賑やかじゃの〜」
・
・
・
「「・・・」」
・
・
・
・
・
・
「「・・・・・・」」
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
「「・・・・・・・・・あれ?」」
この人数にはちょっと手狭なとある料理処の出口扉の前。スタンバッていたメンバーたちが首を傾げて同時に呟く。
「おい・・・幾ら何でも遅くないか?」
「エリシアちゃんアルフレッドくん。たしかにティナちゃんがリアムについていったのよね?」
ウィルとアイナが、前でかがんでスタンバッテいたエリシアとアルフレッドに尋ねる。
「え、ええ。たしかにティナが着いて行ったのだけれど・・・」
「だよな・・・間違いない」
エリシアとアルフレッドはその質問にYesで答える・・・すると──
──ガラガラ。
扉の向こうに落ちた小さな一つのシルエット。これは──
「快復! おめでと〜う!」
が──
「・・・あれ? ティナちゃん・・・だけ?」
店に入ってきたのは、可愛らしい耳にフサフサの尻尾、そして何やら浮かない表情をしたティナだった。
「・・・で、リアムは一人どこかに行ってしまったと?」
「・・・はい」
それから、皆はティナにどうして一人なのかという事情を聞き──
「おいジジイ! テメェどんだけリアムを追い詰めるようなことを言ったんだよ!」
「んな!? そ、そこまで厳しい現実を突きつけては・・・」
一体今日の1日で何があったのかと、そのきっかけと思われるブラームスを問いただし──
「勘弁してくれ・・・あいつはさ、しっかりしてるから大人びて見えるがまだ8歳の子供なんだぞ? そんな子供に魔法が使えなくなってメンタル弱ってるところ、さらに不安を煽るような・・・」
「し、仕方なかろう! 私は魔法が使えなくなっていたなんぞ知らんかったのだ! それにこれはお前も了承済みのことであっただろう! リアムの安全を守るためにも、少しでも先手を打つことに異論なしと・・・」
荒れる。 
「とにかくリアムが心配だ! おい今すぐ捜索隊を出せ!」
「む、無論責任の一端は私にあるからして今すぐに手配・・・」
「ほぼお前の責任だろ!?」
「・・・すまぬ」
「傷心・・・旅?」
「ばかしょうもないこといってんじゃないよ! ほらさっさとあんた達も探しに行くんだよ!」
「おいウィリアムさん! とりあえずこうしてる時間がもったいねぇ! 俺は一度ギルドに戻って情報を集め」
──ドン!
「イッテェー・・・誰だ扉の前に立ってんのは! そもそも今日は貸切なん」
「あんだなんか騒がしいな・・・」
「だ・・・ぞ・・・」
急いで扉を開けて外に出ようとしたダリウスが、誰かにぶつかり挙句跳ね返されて尻餅をつく。
「赤薔薇のカミラ・・・」
「おう今私の名を呼んだのは・・・ダリウスか?」
「ご、ご無沙汰してま〜す・・・カミラさん」
カミラに睨まれるように見下ろされ、萎縮しまくるダリウス。実は彼女は妻ハニー以上に、彼の天敵なのだ。
「あれ? もう始まっちゃってたかな。遅れてごめんね」
「エドガーまで・・・どうしたんだ? 今日は来ないって・・・」
すると、それに続き聞き覚えのある優しげだが畏まった声でカミラの後ろから店に入ってくるエドガーが・・・
「いやそれがね・・・」
「・・・ども〜」
「「リアム!?」」
そんな彼の後ろからさらに入りにくそうにも店の中に入ってきたのは、本日の主役にして件の騒ぎの渦中の人物・リアムであった。
「そうか。リアムはエドガーのところに行ってたのか・・・」
「さすがお前の息子だな! 魔法が使えなくなるなど死活問題。しかしそれを乗り越えてなお、前に進むために解決策を模索する・・・いやなんて良き話・・・」
「どの口が言ってんだよ・・・はぁまあいいか」
結果良ければ・・・いや、実際良くはないのだが、今はめでたい祝い事の席。ここはこれで話を収めるとしよう。
「それじゃあリアムの復帰を祝って!──かんぱーい!」
「「かんぱーい!!!!」」
ウィリアムの乾杯の音頭で始まるパーティー。
「賑やかだったなぁ・・・」
ウトウトと、あの日のことを思い出すと自然とソワソワが落ち着いてくる。
『私の酒が飲めねぇってのかダリウス?』
『いやその・・・今日は酒禁止って言われてて・・・』
『まあまあカミラ。落ち着いて・・・』
『エドガーさんどうぞ』
『ああ、ありがとうハニーちゃん』
『『なんで!?』』
カミラ、エドガー、ハニー、ダリウス──
『あら美味しい。これはなんという料理かしら』
『クリームコロッケです・・・』
『うむ。是非レシピをウチのコックにも』
『ダメですよ父上。これはこの店の看板なんですから』
アオイ、マリア、ブラームス、パトリック──
『ねえあのお姉ちゃん達あんなにお酒飲んで大丈夫なのかな?』
『大丈夫だろ。ババアだ』
『こらライト! あんな綺麗なお姉さん達をそんな──』
『アメリア。今日は祝いの席ですからそんなに怒らないで・・・ライトも失礼な発言は慎みなさい』
『フフ。みんなも相変わらずだよね〜』
コロネになんと孤児院のアメリアやライトにアストルから──
『ぷはーッ! いける口ですねあなた!』
『ぷはーッ! あなたこそ・・・研究資料を取り上げられた分今日は飲みますよー!』
『ダメですよ先輩! そんなに飲んだら明日の仕事が──!』
『ダメですよ先輩! そんなに飲んだら明日の夏期講習が──!』
『・・・ああどうも!私ギルドダンジョン課ゲート管理部に所属しているシーナと・・・』
『こ、こちらこそ! 私はノーフォークスクールでダンジョン学と空間属性等を担当するフランといいます』
『いいんですか止めなくてアラン先生』
『そうだぞアラン。あのままじゃどんな醜態を晒すか・・・』
『まあ今日はいいでしょう。なにせここに我らが最高責任者がいるんですから、何かあったら全て彼の責任です』
『ちょっとアランくん!? それって誰だい!? ブラームスさま・・・もしかして僕のことなのかな!?』
『ご想像にお任せします』
『アランくーん!』
クロカにシーナ。それからノーフォークスクールのリアムと交流の深い先生方──
『ほらパピス勇気を出して・・・』
『無理ですよ店長〜・・・緊張して手汗が止まらない』
『せっかく若にアピールするチャンスですよパピスさん!』
テーゼ商会の面々に──
『今日はコロネちゃんはちょっとだけ親離れね』
『ええ。ちょっと寂しいかもだけど・・・』
『嬉しくもあるわね』
『子供にはまた、子供の世界というものがあるものですものね・・・』
『カワイイ子でもいずれは巣立たねばならん。今からそういうコミュニケーションを学んでおくこともまた・・・』
『飲め飲めー! 今日は俺のおごりだー!』
『ハッハッハいや実にいい飲みっぷり! そのおごり、私にも半分持たせてくださいなウィリアム殿!』
『『・・・アイナ』』
『・・・リンシアさん』
『『ええちょっとごめんあそばせホホホ・・・”ウィル””ヴィンス”!!』』
エクレア、リゲス、マレーネ、リンシア、ヴィンセント、母さんに父さん・・・そして──
『『おかえり! リアム!!!』』
ウォルター、ラナ、レイアにティナ──
『『おかえり! リアム!!!』』
アルフレッド、フラジール、ミリアにエリシア・・・──
「ただいま・・・ありがとう」
月明かりに照らされながら、リアムは夢を見て眠る。それが誰の、どんな夢であったのかはリアムだけの・・・
「おかえりなさい。マスター」
──秘密である。
オークたちに見事勝利し、魔法の力を取り戻したリアムが一人、勝利の余韻に浸って自室の窓から月を眺める。
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「何はともあれ、行ったか・・・」
「はい。今回彼にはかなり辛い思いをさせました」
「そうね。だからこの後、しっかりと励ましてあげなくちゃ」
「でも、大丈夫かしら?」
「大丈夫だろう。ティナが着いていった」
「はい。ティナさんも着いて行きましたし、私たちも早く先回りしないと──」
「そうね・・・ふふふ。今から楽しみですね」
リアムが退出した部屋の中、そそくさと急いで用意をはじめ何やら企んでいる一行が──
「そっちの飾り付けはどうですか?」
「できたました司祭様。あとはケーキを・・・」
「はぁーい! ・・・ほら! 私と母さんの自信作!」
「おいしそー! ちょっと味見・・・」
「こらライト! それにしても、もうすっかり一人前ね」
「えへへ・・・ありがとうアメリア」
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「ウィル野菜!」
「はい!」
「次鶏肉!」
「はいはい!」
「もう熟練夫ね〜」
「そうね。フフッ! 私も1料理人として頑張らなくっちゃ!」
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「先輩寝ないでください!」
「うるへぇシーナ! でへへ勤務明けの一杯は・・・」
「たまらねぇな! って俺もまだ我慢してるってのになんだこの娘は!?」
「ギルド長・・・いえ、あなた。どちらにしても今日はあなたはお酒禁止です」
「マジでか!?」
「プククこれはまた傑作・・・どんまいダリウス」
「学長・・・あなたもですよ」
「えっ?」
「あなたには日頃の労いをしてもらいます」
「私はオレンジピールをおつまみに」
「儂は久しぶりに酒をもらおうかの」
「おっ!じゃあ乾杯の後で飲み比べでもするか?」
「では早速、1000ほどの魔力の提供を」
「「えっ? こんなところでまで研究するの?」」
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「こちら、本日若のために卸した新鮮な豚一頭です」
「今朝会頭と私、そしてこのパピスめと牧場に向かい仕入れました」
「ど、どうぞお納めくだしゃい!?・・・噛んじゃった」
「これは素晴らしいな・・・アオイ殿。私もささやかではあるが牛肉や秘蔵のワイン等持ってきた。すまないが・・・」
「はいはーい! 任せてください! このオーナー秘伝のレシピ本があれば──!」
「まあまあ、そんなレシピまで載ってるの?」
「じゃあ俺が調理手伝うよ」
「じゃ、じゃあ私も・・・」
「いや、2人は座っててよ! ここは私が華麗な包丁さばきで・・・イタッ!」
「もうお姉ちゃんったら余計な仕事増やさないでよ〜・・・ヒール」
「フェッフェ。始まる前から賑やかじゃの〜」
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「「・・・」」
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「「・・・・・・」」
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「「・・・・・・・・・あれ?」」
この人数にはちょっと手狭なとある料理処の出口扉の前。スタンバッていたメンバーたちが首を傾げて同時に呟く。
「おい・・・幾ら何でも遅くないか?」
「エリシアちゃんアルフレッドくん。たしかにティナちゃんがリアムについていったのよね?」
ウィルとアイナが、前でかがんでスタンバッテいたエリシアとアルフレッドに尋ねる。
「え、ええ。たしかにティナが着いて行ったのだけれど・・・」
「だよな・・・間違いない」
エリシアとアルフレッドはその質問にYesで答える・・・すると──
──ガラガラ。
扉の向こうに落ちた小さな一つのシルエット。これは──
「快復! おめでと〜う!」
が──
「・・・あれ? ティナちゃん・・・だけ?」
店に入ってきたのは、可愛らしい耳にフサフサの尻尾、そして何やら浮かない表情をしたティナだった。
「・・・で、リアムは一人どこかに行ってしまったと?」
「・・・はい」
それから、皆はティナにどうして一人なのかという事情を聞き──
「おいジジイ! テメェどんだけリアムを追い詰めるようなことを言ったんだよ!」
「んな!? そ、そこまで厳しい現実を突きつけては・・・」
一体今日の1日で何があったのかと、そのきっかけと思われるブラームスを問いただし──
「勘弁してくれ・・・あいつはさ、しっかりしてるから大人びて見えるがまだ8歳の子供なんだぞ? そんな子供に魔法が使えなくなってメンタル弱ってるところ、さらに不安を煽るような・・・」
「し、仕方なかろう! 私は魔法が使えなくなっていたなんぞ知らんかったのだ! それにこれはお前も了承済みのことであっただろう! リアムの安全を守るためにも、少しでも先手を打つことに異論なしと・・・」
荒れる。 
「とにかくリアムが心配だ! おい今すぐ捜索隊を出せ!」
「む、無論責任の一端は私にあるからして今すぐに手配・・・」
「ほぼお前の責任だろ!?」
「・・・すまぬ」
「傷心・・・旅?」
「ばかしょうもないこといってんじゃないよ! ほらさっさとあんた達も探しに行くんだよ!」
「おいウィリアムさん! とりあえずこうしてる時間がもったいねぇ! 俺は一度ギルドに戻って情報を集め」
──ドン!
「イッテェー・・・誰だ扉の前に立ってんのは! そもそも今日は貸切なん」
「あんだなんか騒がしいな・・・」
「だ・・・ぞ・・・」
急いで扉を開けて外に出ようとしたダリウスが、誰かにぶつかり挙句跳ね返されて尻餅をつく。
「赤薔薇のカミラ・・・」
「おう今私の名を呼んだのは・・・ダリウスか?」
「ご、ご無沙汰してま〜す・・・カミラさん」
カミラに睨まれるように見下ろされ、萎縮しまくるダリウス。実は彼女は妻ハニー以上に、彼の天敵なのだ。
「あれ? もう始まっちゃってたかな。遅れてごめんね」
「エドガーまで・・・どうしたんだ? 今日は来ないって・・・」
すると、それに続き聞き覚えのある優しげだが畏まった声でカミラの後ろから店に入ってくるエドガーが・・・
「いやそれがね・・・」
「・・・ども〜」
「「リアム!?」」
そんな彼の後ろからさらに入りにくそうにも店の中に入ってきたのは、本日の主役にして件の騒ぎの渦中の人物・リアムであった。
「そうか。リアムはエドガーのところに行ってたのか・・・」
「さすがお前の息子だな! 魔法が使えなくなるなど死活問題。しかしそれを乗り越えてなお、前に進むために解決策を模索する・・・いやなんて良き話・・・」
「どの口が言ってんだよ・・・はぁまあいいか」
結果良ければ・・・いや、実際良くはないのだが、今はめでたい祝い事の席。ここはこれで話を収めるとしよう。
「それじゃあリアムの復帰を祝って!──かんぱーい!」
「「かんぱーい!!!!」」
ウィリアムの乾杯の音頭で始まるパーティー。
「賑やかだったなぁ・・・」
ウトウトと、あの日のことを思い出すと自然とソワソワが落ち着いてくる。
『私の酒が飲めねぇってのかダリウス?』
『いやその・・・今日は酒禁止って言われてて・・・』
『まあまあカミラ。落ち着いて・・・』
『エドガーさんどうぞ』
『ああ、ありがとうハニーちゃん』
『『なんで!?』』
カミラ、エドガー、ハニー、ダリウス──
『あら美味しい。これはなんという料理かしら』
『クリームコロッケです・・・』
『うむ。是非レシピをウチのコックにも』
『ダメですよ父上。これはこの店の看板なんですから』
アオイ、マリア、ブラームス、パトリック──
『ねえあのお姉ちゃん達あんなにお酒飲んで大丈夫なのかな?』
『大丈夫だろ。ババアだ』
『こらライト! あんな綺麗なお姉さん達をそんな──』
『アメリア。今日は祝いの席ですからそんなに怒らないで・・・ライトも失礼な発言は慎みなさい』
『フフ。みんなも相変わらずだよね〜』
コロネになんと孤児院のアメリアやライトにアストルから──
『ぷはーッ! いける口ですねあなた!』
『ぷはーッ! あなたこそ・・・研究資料を取り上げられた分今日は飲みますよー!』
『ダメですよ先輩! そんなに飲んだら明日の仕事が──!』
『ダメですよ先輩! そんなに飲んだら明日の夏期講習が──!』
『・・・ああどうも!私ギルドダンジョン課ゲート管理部に所属しているシーナと・・・』
『こ、こちらこそ! 私はノーフォークスクールでダンジョン学と空間属性等を担当するフランといいます』
『いいんですか止めなくてアラン先生』
『そうだぞアラン。あのままじゃどんな醜態を晒すか・・・』
『まあ今日はいいでしょう。なにせここに我らが最高責任者がいるんですから、何かあったら全て彼の責任です』
『ちょっとアランくん!? それって誰だい!? ブラームスさま・・・もしかして僕のことなのかな!?』
『ご想像にお任せします』
『アランくーん!』
クロカにシーナ。それからノーフォークスクールのリアムと交流の深い先生方──
『ほらパピス勇気を出して・・・』
『無理ですよ店長〜・・・緊張して手汗が止まらない』
『せっかく若にアピールするチャンスですよパピスさん!』
テーゼ商会の面々に──
『今日はコロネちゃんはちょっとだけ親離れね』
『ええ。ちょっと寂しいかもだけど・・・』
『嬉しくもあるわね』
『子供にはまた、子供の世界というものがあるものですものね・・・』
『カワイイ子でもいずれは巣立たねばならん。今からそういうコミュニケーションを学んでおくこともまた・・・』
『飲め飲めー! 今日は俺のおごりだー!』
『ハッハッハいや実にいい飲みっぷり! そのおごり、私にも半分持たせてくださいなウィリアム殿!』
『『・・・アイナ』』
『・・・リンシアさん』
『『ええちょっとごめんあそばせホホホ・・・”ウィル””ヴィンス”!!』』
エクレア、リゲス、マレーネ、リンシア、ヴィンセント、母さんに父さん・・・そして──
『『おかえり! リアム!!!』』
ウォルター、ラナ、レイアにティナ──
『『おかえり! リアム!!!』』
アルフレッド、フラジール、ミリアにエリシア・・・──
「ただいま・・・ありがとう」
月明かりに照らされながら、リアムは夢を見て眠る。それが誰の、どんな夢であったのかはリアムだけの・・・
「おかえりなさい。マスター」
──秘密である。
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