アナザー・ワールド 〜オリジナルスキルで異世界とダンジョンを満喫します〜

Blackliszt

116 エリアAのボス ”トードーズ(素揚げ)”

「ねぇウィル! リアムよリアム!」

「落ち着けってアイナ」

 魔道具に映し出された映像に初めに映ったのはなんと我が息子リアム、広大な草原で風に吹かれ、地平線を眺めている姿は中々様になっている。
 だが ──

「昼寝に良さそう」

 途端、息子のそんな呟きが会場中に響き渡る。・・・そしてその呟きは、俺にとってはとても懐かしい響きだった。

「ダッハッハ! あの坊主メチャクチャ余裕だな! あれはきっと馬鹿だな馬鹿!」
「ああ!それでなくちゃ新人なのに大物だよ! 全く腹いてぇーッ!」

 ドッと笑いに沸く会場。先ほどまでまばらだった会場はここに来たジジイのせいでほぼ満席、余計に耳障りな声が増えた。

「うっせえお前ら! うちの息子は大物なんだよ!」

 俺は思わず周りに向かって叫んでしまう。確かにこれから初のエリアボス戦だってのに緊張感もない呑気な発言だが ──・・・だが、俺の叫びなどたかが一人の人間の声、その声は会場全体を包む笑い声の中に消えていってしまった。

「フフフッ! さすがあなたの子ね!」

「あ・・・アイナまで」

 すると、隣でそれを聞いていたアイナまで笑い出してしまった。・・・全く、あいつは間違いなく俺の息子だよ。
 
 その後、大物発言したリアムを皮切りに、次々と他のメンバー達が姿を現す。

「ウォルター、しっかりみんなを守って・・・ラナとレイアも頑張りな」

「エリシアも来たか」

「ええ、ヴィンス」

「なぜミリアが先頭ではないのだ・・・気に食わん」

「父上・・・リーダーはリアムくんです」

「それにもし飛び入りで先頭に立つほどおこがましいのであれば、教育のし直しね」

 魔道具に映し出されたそれぞれ自分たちの家族に、各々の反応を見せる周りの知人達。
 因みに俺が護衛の建前を一応履行するため、ヴィンセントとリンシア、マレーネは前の席に移動、俺の隣にはブラームス、そしてアイナを挟んでマリア、パトリックの順に横一列に公爵一家が席に着いた。更に彼らの前や後ろは護衛達が取り囲んむ様に座っており、ダリウスやルキウスは斜め後ろのベンチに座ってコンテストの観戦をしていた。

「リアム様はきっと大物になりますね! お父様!」

「あ、ああそうだな」

 後ろのベンチから、テーゼ商会の売り子であるパピスが声をかけてくる。俺はそんな彼女にふと、商売を放っておいていいのだろうか・・・と心配になる。しかしそんなことを考えていると──

「おおーっと!どうしたことか先ほど大物発言をしたリアムを残し、他のパーティーメンバー全員が後退していくが・・・?」

「ん? なんか知らんがみんな後ろに下がってリアムだけボスに近づいていくな」

「実験って何か面白いことでもするのかしら?」

 ナノカの実況によりまた映像に視線を戻すが、ボスは既にスポーン済み、何故かリアムが「実験」などと言って一人だけトード達に近づいていく。そして──

「バースト」

 魔道具から流れてきたその声を皮切りに、先ほどまで騒がしかった会場が一瞬で静まり返った。映像越しでも分かるあれは、Sランク級のモンスターが放つ殺気に近い・・・いや、もしかするともう届いているかもしれない。

「ヒィ・・・」

 それからは、司会なのにうずくまってしまうナノカに──

「お、おい。なんかさ、寒気が・・・しねぇか?」

 寒気を訴える観客。

「あ、あぁ・・・み、見ろ!トード達が!」

 そして映像の中では、突然ボスのトードーズが慌てた鳴き声を出して一心不乱にリアムから逃げていく。その勢いはフィールドを囲む魔法壁に彼らが躊躇いもなく突っ込んでいってしまうほどだった。

「・・・さすがね」

 すると、隣でその様子を見ていたアイナが真剣な口調で呟く。

「あいつ・・・」

 俺はその瞬間、映像超しでも感じるものすごい殺気を放った息子に、何故か心の奥底からゾクゾクした。こんな感情は、スリルを求めて冒険していたあの頃以来か・・・──

「やはりお前の息子は異常だな・・・あれは危」

「危険か? そうやって自分より真に強い弱者を早計に危ぶむのは、貴族の悪い癖だ」

「いや、私はただ気に食わんと言おうとしただけだ。早とちりするな」

 それから何事もなかったかのようにケロッと仲間の元に戻るリアムを見たジジイの発言に、俺は食ってかかる。なんだか今日は発言が若い・・・感情の起伏が激しいな。

「ああリアム様。あれはあの時の・・・」

 すると、後ろの方から気になる発言が・・・

「パピスちゃんはあれを知ってるのか?」

「はい。それこそ昨日、店の中でリアム様に絡んできたゴロツキを一瞬で黙らせた時にお見せなられたのがあの殺気でした。そして私はその瞬間・・・! リアム様の無垢な愛らしさの中にあるあの危ない魅力に取り憑かれてしまったのです・・・・・・はふぅ」

 恍惚とした表情でその時の状況を語るパピス。どちらかというと、こちらの方が危険な気がするのは何故だ。

「はっ! し、失礼しました! ええーっと先ほどのあれは経験不足ゆえに私にはよくわからず申し訳ないのですが・・・どうやら今からパーティー全員で分担して攻めるようです・・・はい」

「ほらウィル。どうやらこれから本当に始まるらしいわね」

「ああ」

 だが俺は今、そんなことに気を散らしている場合ではなかった。これから始まる息子の晴れ舞台をしっかり見届けてやらね・・ば・・・──

「・・・素揚げってなんだ?」

「あらあら、今度はリアムだけ置いていかれちゃったわ?」

 どうやらそのよくわからない発言に、リアムも動揺していたようだ。反対側で分散して固まるトード達に向かっていく仲間達に置いていかれ、一人だけ数秒その場に立ち竦んでいた。

 ・
 ・
 ・

「ミリア! 勝手に前に出ちゃダメでしょ!?」

「だってリアムが来なかったから私がやるしかないでしょ?」

「それはそうだけど・・・」

 僕は今、先に走って行ってしまったミリアにようやく追いついた。しかしようやくといっても、まだ彼女は攻撃を開始できていなかった頃にだが・・・──

「丁度3匹まとまってるわね。ほら、さっさとやっちゃっえば?」

 その壁隅にまとまったトード達を見て、不満げにさっさとしてちょうだいとジェスチャーするミリア。因みにボスのジャイアントトード達は壁に激突した後混乱して分散、その後近くにいる仲間達と身を守るためかうまい具合に別れてくれて分断の手間が省けたのだが──

「はぁ・・・わかったよ。2匹片付けて残りの一体になったら役割交代してあげる」

「本当!?」

 僕の提案に一変、飛び跳ねてはしゃぎ喜ぶミリア。まあここまではギリギリ許容範囲、流石にロガリエ&ボスデビューでずっとサポートというのもキツすぎるだろう・・・いや、そうしなければならないような気が一瞬したのだ・・・何故かはわからないが。

「やったー!一匹倒しちゃった!」
「ティナちゃん強いです!」
「・・・ありがとうございます」

 すると、少し離れた場所から早速、トードの一匹を倒したという班の歓声が聞こえる。そしてその班はまさかのレイア、フラジール、そしてティナという最年少二人に気立ての良いフラジールを加えた3人組。いくら3人+2匹と一番負担が少なかったとはいえ、流石に早すぎ──

「おっしゃいっちょあがり!」
「ふん。やはり蛙ごとき僕の敵じゃあないな」

 そんな3人組の班に気を取られていると、またもや一匹討伐の声が耳に入ってくる。今度はウォルターとアルフレッドの漢二人組だ。

「よっ! ってい!」
「トードよりラナの動きが速すぎてサポートできない!」

 一方で、エリシアとラナの班は連携がうまくいっていないようだった。ラナが戦っているのは2匹のトードで、今回の機動力ツートップの無属性身体強化を使えるジャイアントトードに、風を操り自身の跳躍効果を高めているジャイアントウィンドトードであった。またエリシアは残り一匹のジャイアントホーリートードを足止めしつつ、パートナーのサポートをしようと隙を伺うが、なにせそんなトード達以上に彼らの周りを飛び回り、ナイフで体に傷をつけていくラナについていけていない様子だった。
 
「ほらリアム! さっさと倒して私の番を作ってよ! こんなんじゃビリになっちゃうわよ!」

「競争じゃないんだから慌てないでミリア。それに主役は最後に登場するものなんだから」

「あ、そっかぁ〜・・・なるほど・・・そうね!」

 ・・・チョロい。最近は特に彼女に振り回され気味な僕はこの時ついに、ミリアの扱い方についての極意を垣間見た気がした。まあ実際のその言葉には、ピンチになった仲間の元へ・・・という条件があるのだが、今はそんなことどうでもいい。僕の心のノートには『猿もおだてりゃ木に登る』と、少し悪意のあるメモを残させてもらおう・・・あれ? 実は本質はあまり変わっていない?

「僕らの相手はウォーター、アース、ダークの3種・・・ミリアはどれか相手したいのがいる?」

「私は青がいい。一番相性がいいはずだから・・・」

「はず?・・・わかった。それじゃあ僕は残りの2匹を担当するから、周りに気をつけながら援護を──」

 すると──

「危なッ!・・・速い!」

 3匹の内の1匹、ダークトードがその巨体をまるで砲弾のようにして、一直線に僕へと突撃してきた。

「けど──・・・動きは直線的、スピードはバニラやウィンドより数段速いけど、対処はこっちの方が・・・」

 僕は、背後をミリアに任せ振り返り、もう一度こちらに突っ込んでこようとしているダークトードを迎え撃つべく刀を一口構える。そして──

「自分から突っ込んできてくれるなら構えているだけでいい・・・レビテーション!」

 ギリギリ刀身を壊さないまでに調整した魔力を刀に込め、敵が地面から足を離した瞬間に前方へ放り投げて刃先を標的に向けた状態で空中に固定する。
 ダークトードの高速移動の秘密は跳躍の際に闇力子の力場を発生させ自らを反発、更に思考力が極端に低く短絡的なため、直線でしか突っ込んでこない。

「・・・まるで闘牛だね、次」

 そうして跳躍、突進してきたダークトードは切れ味を最大限まで強化され、空中に固定された刀の切っ先に軌道修正もなく突っ込んできたがために真っ二つ・・・綺麗に頭から二つに裂けて息絶えた。

「おっしゃ流石リアムだ!」

 俺はその光景を見て歓声をあげる。初心者にはその特徴に気づくのに、そして突進のタイミング感覚を掴むのに苦労するあのダークトードを初見で、それもあっさりと倒してしまった。流石は俺の息子だ。

「ん?・・・ねえミリア?」

 しかしリアムがダークトードの対処を終え、その間残り2匹の注意を引いているはずのミリアの方を向くと──

「私の圧倒的な力の前にひれ伏しなさい・・・」 

 まだ9歳、もうすぐ始まる来年度には10歳という第2次成長を迎えていない彼女の中から、普段周りでは感じることのないほどの途轍もない魔力の拍動を感じる。貴族の、それも公爵であり現王の弟を父に持つ彼女であれば、このくらいの魔力量があっても不思議ではないが・・・──

「ちょっと待って!そんな魔力量で攻撃したら跡形も──」

 だが時既に遅し。あと僕はミリアの使える属性を知らない。しかしウォーターとの相性が良いということは──

「いけミリア!我が公爵家の力の本の一欠片、だがいかにそれが偉大なものかとくと見せつけるのだ!」
「あなた・・・でもやるならやりしっかりなさい、ミリア」
「おいおい・・・あれは」

 他の班に続き、息子が素晴らしい判断力と応用力で厄介なダークトードをいともあっさりと倒したのを観てハイだった俺のテンション。だがそれも隣のジジイの叫びと映し出された束の間後に視線の先に映った映像に、一気に冷めて冷静さを取り戻す。

「ちゃんと見てなさいよねリアム! これが私の──!」

 そして場所は戻って戦場、ミリアが僕に叫びながら全ての練り出した魔力を前方に集中させると・・・──!

「眷属魔法《雷神の籠手》! セヤッ!」

 その場で軽く右腕を振りかぶったかと思うと、拳の先からとんでもない出力の雷を放ち撃つ。

「ゲ──・・・」

 そして一瞬、まばゆい電光が瞬く間もなく一瞬で通り過ぎて視界が晴れると、気付いた時にはつい数秒前までそこにいたウォータートードは綺麗に丸焦げ、既に息絶えていた。
 最終的にその魔法はこの戦場を囲む壁に激突、帯電しているのか未だ壁上でバチバチいっている。

「ねぇ見た見たリアム! これが私の実力よ!」

 魔法を放ち終わり、僕に嬉しそうに手を振るミリア。そんな彼女の右腕には何やら不思議な籠手がはめられている。対して──

「・・・・・・」
「・・・ゲ、ゲコッ」

 今目の前で起こった現象に放心状態で何にも言えない僕に、属性故か雷の砲弾をなんとか耐えきった満身創痍に鳴くアーストード。

「あっ!あんたなんで倒れていないのよ!蛙のくせに私に楯突こうなんて生意」

「っていやいやいや構え直したらダメだって! もう一回さっきの撃ったら流石に魔力切れ起こしちゃう!・・・っていうかさっきの凄い魔法は何!?」

 豪雷砲を耐え切ったアーストードにもう一度、さっきの魔法を放とうとするミリアを僕は慌てて制止して、その雷と腕についている籠手にについて問う。

「ふふーん凄いでしょ! これが大精霊クラスの精霊と契約する者の血縁が受けられる加護、眷属契約によってのみ習得できる精霊魔法と同等の眷属魔法よ!・・・フッ、惚れたら火傷じゃすまないわよ」

 ミリアは僕の質問に得意げに、まるで天狗のように鼻高々とそれについて語る。そして最後にはキリリと流し目で決める。気分が良くなってこうしたおふざけを交えてミリアが調子に乗ることは時々・・・いや、よくあることだが・・・──

「さ、流石はミリア様・・・あれが噂に聞く眷属魔法らしいです。凄まじい威力でした・・・」

「「「ォ・・・ぅおぅ・・・」」」

 映像の中、自慢げに眷属魔法のことを語るミリアに会場の観客はナノカも含め唖然としていた。もしこの観客の中にあれと同等の魔法を使うために一生修練を積んだとして、習得できるものが果たして何人いるだろうか。

「マリア様、ミリア様は一体どのクラスまで」

「おそらく今使った魔法は階位Ⅲで上級の《雷砲》。私もミリアがあの魔法を使うところを見たのは2回目だから正確なことは言えないけど、今見てもらった通り根本的に扱える魔力量が多いから、威力だけなら更にそれ以上ね・・・」

 俺はマリアが告げたその情報に素直に驚く。そりゃあ息子リアムの力に比べたら霞みはするが、それでもあの歳の子が既にその高みまで届いてしまっているというのは、いやはや驚きでしかない。

「あの子もまた・・・天才か」

「そうね。親の私が言うのもなんだけれども、あの子はしっかり父親の魔力を引き継いでいるし、今のを見て天性の才を持っていると確信したわ。実際あの籠手を具現化させるのにもそう苦労せずあっさりと成功させてしまったし・・・ただ──」

 末恐ろしいとは正にこの事だ。一体俺達の子供の世代はどこまで高みへと、そしてその次の世代は一体。

「眷属魔法は大精霊と契約した契約者の血縁のみが得られる恩恵、そして私と眷属契約した大精霊の主契約者は──」

 ミリアのドヤ顏から一転、話は眷属魔法についてに移行する。

「現アウストラリア国王、バルド・テラ・アウストラリス。そして契約精霊は大精霊の中でも属精霊を束ねる十柱が一柱にして、国家を守る雷が化身・・・雷帝王パトス」

 これはこの国の歴史を習うものなら誰でも知っている事実。この国の王政は守られるべきものが守るという互いを助け合う相互扶助の関係にある。国の王でありながら雷の精霊王と契約し、国家を強大な力で守る守護者。

「そうそうバルドおじさん。でもその契約にしても知の書の獲得にしても、私が1歳の時にお父様達が王都に連れて行ってくれたきりで顔も覚えてないんだけどね〜」

 軽いな〜。僕はそんなとても軽い感じで経緯を語るミリアを見て、内心呆れてしまう。なぜならパトスは王家を王家たらしめる存在といっても過言ではない程の重要な役割を果たしており、初等部の授業にも出てくる程有名な精霊だ。

 この世界で精霊王といえば唯一無二の存在、僕のステータスにも同様の文字が含まれた称号があるわけだが、これは無を司る精霊王にして他に九柱いる精霊王たち含め、精霊界全体を束ねる存在を指している。だが一方で、精霊の属性種ごとにも長が存在し、彼らもまた精霊王と呼ばれる存在である。
 そんな彼らの違いは呼称、精霊王の前に『〜の精霊王』とつく場合はその属性種の長を指しており、または精霊王クラス・・・といった具合に、高位精霊の中でも別格の強さを表現するものとして、線引きにその単語が用いれらることも多々ある。
 そういえば確か、パトスのついでに授業でちょこっとつまみ程度に触れられた話なのだが、この国にはもう一柱、パトスの兄弟にして火の精霊王がいるとも・・・──

「ミリア・・・一応叔父にあたる方でも王様なんだし、多分今この時も僕たちの様子が映像と音声付きでコンテスト会場で流れているはずから、もう少し呼び方には気をつけたほうが・・・」

 しかし思考脱線するのもこのくらいにしておいて、うやむやに、忘れないうちに彼女に注意しておこう。プライベートな場ならまだしも今はコンテスト中、別の場所にある会場ではそれなりの人たちが僕らの戦いを観戦しているはずだ。

「大丈夫よ少しくらい。そりゃあまあ、もしお母様が見てたら怒られちゃうかもだけど・・・まさか観にきているわけないし?」

 僕の忠告にも関わらず、どんどん調子に乗り始める有頂天なミリア。アーストードには耐えられたとはいえ、やはり初めてモンスターを倒せたことが嬉しかったのだろう。しかし──

「あちゃ〜・・・」

 そのまさかだよミリアちゃん。彼女はきっと自分が知らぬ内に虎の尾を踏んだことに気づいていないだろう。俺は魔道具から流れてきた音声を耳にし、隣のアイナを挟んだ席に座るマリアの方を見る。・・・というかその瞬間、俺だけじゃなくミリアの発言を聞いた会場中の視線が、彼女に注がれた。
 
「・・・・・・」

 しかしそんな会場の雰囲気に動揺することもなく、静かに微笑み続けるマリアは流石だった。だがその心内では一体、何を考えているのか・・・・・・想像もしたくない。

「げ・・・ゲコリ」

 一方で、なんとかミリアの攻撃を耐えたアーストードは懸命に体勢を立て直そうとしていた。

「これは・・・僕がここから手を出せば横取りするようなものか・・・」

 討伐による素材はメンバーで山分け、出来るだけ平等になる様に分配して報酬とする手筈となっているが、もし仮に僕が今、力つきる寸前のアーストードを仕留めれば、それは完全に横取りのそれと変わらないだろう。

「仕方ないからアーストードもミリアに任せるよ。ただ眷属魔法はなし、通常魔法を使ってね」

 僕はこれ以上は先ほどの籠手での攻撃は無しだと釘を刺しておく。なぜならもし、もう一度あれを使うようであれば完全にオーバーキル、更にはミリアが魔力切れを起こして倒れてしまう可能性が大だからだ。しかし──

「えーっと・・・それは無理・・・」

 頬をポリポリと掻きながら、言葉も途切れ途切れに呟くミリア。

「なんで? あれだけ凄い魔法が使えるんだから他にも・・・」

 僕はその反応に思わず聞き返す。あれだけ凄い魔法が使えるのだ。今なら普通の通常魔法で、更に言えば相性の悪い初級の雷魔法程度で小突く程度でも、あっさりアーストードは倒れてしまいそうだ。一体なぜ、ミリアは僕の提案を拒否したのか。

「・・・実は・・・私、普通の魔法がまだ一つも使えないの・・・へへッ」

 すると、もじもじしながら恥ずかしそうに自嘲するミリア。しかしこの違和感はなんだろうか。例えばレイアあたりがこんな風に笑って見せればキュンとちょっとときめいてしまいそうになりそうなものだが、ミリアがしてみせるとタチの悪い悪戯が好きな子供が反省しているかもわからない苛立ちが募るような、そんな錯覚に陥る。

「本当のこと言うと今の魔法も使ったのは2回目って言うか1回目は暴発だったし・・・それからは城で籠手の具現化だけお父様と練習したことしかなかったから・・・」

『魔法が使えない? そんな馬鹿な。だってさっきはあんなに凄い魔法も使えてたし、何よりミリアは魔力量も並みじゃないから練習だって人よりずっと多くできるはず・・・なのに何故通常魔法が・・・って』

 そして同時に、ミリアの説明の続きを聞きつつ考察・・・って馬鹿正直に考察するんじゃなくて──

「・・・それってもしかして僕をからかうための冗談?」

 これは初めに聞いておかなければならない状況確認。

「失礼でしょリアム!私はまだ魔法の練習をしたことがないから魔法が使えないの!」

「イタイイタイ! 悪かったからその籠手を装着した手で叩かないで!」

 しかしこの質問は完全に選択ミスだった。そもそもこれがミリアの冗談であれば話はそこで終わるため、まず初めにそれが冗談なのかどうかを問うたのだが・・・──

「ん? ・・・あのさ、確か僕が初めてミリアにあった日、ミリアはアルフレッドを魔法で吹っ飛ばしてなかったっけ?」

 ここで更に一つ、僕はある夏の日の城での出来事を思い出す。実際にミリアが魔法を使っているところを見たわけではないが、僕が彼女に初めて出会った日、ドアを突き破るようにして飛ばされたアルフレッドに続いて容赦無く椅子が飛ばされてきたあの光景は、今でも鮮明に記憶に残っていた。

「あああれね。あれは護身用の魔道具なんだけど今日は持ってきてないの。だってあれは私の居場し」

「あぁー!わぁー!・・・自分から聞いといてなんだけど、今はそれはいいや! それよりも早くしないと、アーストードがどんどん回復しちゃうよ?」

 何かとても重要な機密をさらりと漏らしそうなミリアを止めるため、僕は態とらしく大声を上げると、蚊帳の外となっていたアーストードにミリアの注意を逸らすべく誘導する。

「ほら、このウォーターシュートのスクロールを貸してあげるから」

 僕は亜空間からA4サイズ程の紙を一枚取り出してミリアに渡す。魔道具にしろ魔法陣が描かれたスクロールにしろ、魔法は使えずとも魔力は操作できるようだから、これなら使えるはずだ。
 そしてこれは後で聞いた話になるのだが、件の魔道具はルキウスが作った身体強化の魔法が込められたもので、一時的に身体機能を向上させることで物理的な攻撃も防御も上げる代物らしい。そしてやはり、複合された魔道具でもあった。陣が刻まれた媒体はギルド内で時々見かけるメッセージ/遠話のレガシーであり、そのベースの上にメッセージを阻害しないよう上手く調整した身体強化の陣が掘られていた。

「陣の書かれた面を相手に向けて構えて、その魔道具を使う時と同じように魔力を流すだけで使えるから」

「こ、こう?」

 僕に渡された紙を持ち、敵に向けて魔力を流すミリア。すると──

「ゲッ!・・・コ」

 スクロールから飛び出した水の塊が見事にアーストードを捉え、トドメを刺す。この魔法は殺傷性の低い魔法であるが、水属性はアーストードの苦手属性ゆえ効果は抜群で、かつ残りの体力を奪うには十分な威力であった。

「私これ欲しい! ねえ頂戴リアム!」

 2体のトードを倒したミリアが、子供のようにはしゃぎながらそのスクロールが欲しいと強請る。

「別にギルドで大銅貨1枚で売ってる安めのスクロールだからいいけど・・・それにばっかり頼って魔法の練習をしないのはダメだよ?」

「ギクッ・・・」

 だがその裏に隠れた魂胆は見え見え、僕に図星をつかれたミリアはギクリとする。

「で、なんでそんな基礎を飛び越していきなりあんなとんでもない魔法が使えるわけ・・・?」

「えーっとあれは確かある日中庭で開催されたパーティーの席で酒に酔ったお父様が見せびらかした籠手を見て、魔力を出しながらイメージしたらできたというか、そのまま暴発して魔法がでちゃったというか」

 もしやミリアは天才なのでは・・・と僕は彼女の才能に一瞬、感心してしまうが──

「ミリア。ちょっとその籠手見せてくれる?」

「り、リアム?」

 同時に、まだ魔法が使えないというのに眷属魔法を使っている彼女のことが気になり、その未知の魔法について解析をしたくなった。僕に籠手をはめた手を取られ、初め驚きはしていたミリアであったが、その後は終始ボーッとしていた。流石に魔力切れが近いのだろうか。

『マスター。この籠手の解析が完了しました』

『それでどうだった?』

『はい。あの籠手には、魔石のように魔力を属性変換し、更には魔法陣のように魔法を構築するまでの一連のプロセスが組み込まれています。それも通常の魔道具、魔法、精霊魔法よりもずっと相乗による増幅の幅が広いとても高度な回路で。・・・これ一つで攻撃と防御、一つで二役こなせる理想的な魔装の一種です』

『・・・魔装の一種?』

 魔装は魔族が使う魔力を武器として形成し、魔法と物理の両方を兼ね備えた魔族のみが発現できる代物だ。それをミリアが使えるというのは・・・──

『構造が似ているだけで、本質は全く別の代物かと。意識して振るだけで魔法が使える部分は酷似していますが、自力で魔装を発現できる魔族と違い、眷属魔法と呼ばれるこれはどうやら後付けされた力のようです。おそらくその契約とやらがなくなれば、この籠手の具現化すらできなくなると推察できます』

 なるほど。確か眷属魔法の別名は加護魔法。つまりこの魔法は魔族が使う魔装と違って、大精霊から与えられた加護の恩恵。

「ミリア、これどうぞ」

「これは・・・ポーション?」

「そう。それは僕が作った魔力を回復させるポーションだよ。何か顔が赤くてボーッとしてたから、魔力切れが近いのかと思って・・・」

 一通りの解析も終わり、僕は先ほどから少しボーッと顔の赤いミリアにポーションを差し出したのだが──

「なんで!あんたはそうッ!  私の神経を逆撫でするのが!   うまいのよ!!!」

「だ!・・・だから! その籠手をはめた手で叩くのは!! イタイッ!?」

 何故かまた叩かれるハメに。一体僕が何をしたというのか・・・皆目見当もつかない。

「ボス戦後だってのに随分元気だなー!・・おっ? なんかもう1匹既に素揚げになってるぞ?」

「本当だな。・・・というかやはりお前らは仲がいい」

 すると、どうやら自分たちの担当トードを倒し終えたウォルターとアルフレッドが、僕たちの方へと近づいてくる。

「どこが!? これのどこをみて仲がいいと・・・」

「この! この鈍感の! おバカ!」

「まってミリア! これ以上その魔装で強く殴られると___!」

 どんどんと叩く勢いを増していくミリアに、僕はついにたまらなくなってそこから逃げ出す。

「まてこのバカ! 唐変木ッ!」

「僕ってそんなに偏屈!?」

「鈍感と両方よ!」

 草原で追いかけっこをする二人。

「何故あいつはああも鈍感なんだ?」

『ハハハ・・・どっちもどっちかな』

 この時のアルフレッドの呟きに、ウォルターはそう思った。なにせ今は客観的にリアムたちをみれているアルフレッドも、自分のこととなれば話は別、従者であるフラジールが彼のことを大事に思っているのか気づけていない少し鈍感な節がある。すると──

「おつかれさま・・・でした」

「お、おつかれー・・・うっぷ」

 そんなことを思っていると、駆けるリアムたちとは別方向から何やら気分の悪そうなエリシアとラナの声が・・・──

「おいおい大丈夫か? 二人とも?」

「・・・ラナよりかは」

「うへぇー・・・気持ち悪いー・・・」

 一体二人に何があったというのか、これはただ事ではない。

「ら、ラナの動きが速すぎて・・・でもサポートととしてどうにか手助けしようと・・・そしたら偶然リアムが刀を空中に固定してトードを倒すところが視界に入って・・・」

「それで名案を思いついたエリシアちゃんが、私たちの周りに闇魔法で足場を作ってくれたんだけど・・・」

 それから二人の話を聞くと、どうやらサポートであるエリシアが身体強化して縦横無尽に飛び回るラナの手助けをなんとかしようと、なんと即席で闇魔法を応用した反発力のある足場をあちこちに作ったらしい。そして──

「スピードは上がるし空中で方向転換できるわで楽しくなっちゃって・・・。それでどんどんスピードを上げていくうちに・・・うぷッ!」

「私は更にスピードを上げたラナの先を予測して足場を形成するのに精一杯で・・・全部倒した時に気がついてみたら、魔力切れの一歩手前・・・」

「それは・・・なんというかまあ、頑張ったな二人とも。・・・おつかれ」

 そうしてウォルターに労われた二人は──

「はぁ〜・・・」「誰か穴ほって」

 エリシアは地面にへたり込み、ラナは膝と手をついて地面とにらめっこしながら”穴”の要求をする。すると──

「ティナちゃんはよく頑張ってくれましたよ? だからそんなに落ち込まないで」
「そうです!ティナさんがいなかったら私たちはあのトードに攻撃することもできませんでした!」
「・・・でも」

 最後に、ようやく残りの1匹を狩り終えた3人組が集まってくる。

「レ! レイアちゃん! 私に魔力回復のポーションを分けて!」
「レイア! 私にリカバリーをはやうぐっ!」

 そして、レイアに気づき群がる調子の悪い二人。

「え、エリシアさんごめんなさい! 実は今の戦闘でポーション使い果たしちゃって」

「えぇ!?」

「それにラナ姉も・・・今私、リカバリーが使えるほど魔力が残ってないの」

「そんな!?」

 だがその希望はあっけなく潰えた。

「1匹目は良かったが2匹目のくじ運が悪かったな〜・・・お前ら」

「初めは順調だったんけどね・・・ティナちゃんとポイズンの相性があまり良くなくって」

「そうだな。ティナちゃんはグローブで殴る接近戦タイプ、一方でポイズンは毒を吐く他に全身に毒を纏うから殴るとそれが飛び散るし・・・」

「でも兄さん! ティナちゃんは一生懸命頑張ってくれたんだよ?」

「ああわかってるさ。フラジールちゃんの身体強化を得ながら一生懸命に殴っては引き、レイアが回復してあげてるところは見えていたからな」

 メンバーの中の攻撃ソースであるティナが頑張っている様子は遠目からでも十分に分かるほどだった。絶えず動きながら敵を攻撃し、フラジールが気をひいているうちに、飛び散った毒でおった傷をレイアが回復する。更に言えば回復属性は空間に続き、消費魔力が多い属性だ。それに本来は日常生活において主人をサポートし、また守る力に特化したフラジールが積極的に戦闘に参加するのは完全に経験値不足、それを考えると3人とも十分に頑張った。

「やっぱりウォル兄さんはすごいや。戦闘中でもみんなのことを見てたなんて・・・」

「まあ俺らの戦闘は単純だったからな。それにアルフレッドが優秀だったのもある」

 俺はレイアの賞賛を受け取りつつも、アルフレッドのことも褒めておく。

「はぁ!? こいつが優秀? それって何かの冗談でしょ?」

 すると、少し離れたところから聞こえてくる、それは虚言だと訴える声。

「なんだと! お前こそリアムの足を引っ張ってたんじゃないのか!」

「なんですって! 私はちゃーんとリアムの代わりに2匹も倒したんだから!」

 その声の主はリアムを捕まえて引きずっていたミリア。そしてその言葉にいち早く反応したアルフレッドと口論に突入・・・──

「冗談なんかじゃないさミリアちゃん。アルフレッドは十分に戦闘に貢献していたぞ!」

 が、俺は口論が激化する前に先ほどの言葉が冗談ではなかったことを彼女に伝えつつ、アルフレッドの名誉を守る。・・・然もないと、口論が激化したのちに立場上逆らえないアルフレッドが、今彼女の傍らで襟をあの物騒な魔法を放った籠手で掴み引きずられ、借りてきた猫のように大人しいリアムの如くなりそうで怖い。

「じゃああんたたちはどうやってトードを倒したっていうのよ」

 すると、ミリアが俺たちにどうやってトード達を倒したのか訪ねてくる。そこで──

「俺らか?俺らは力と──!」
「火力で──!」

「「余裕だっ!」」

 と、アルフレッドと息を合わせて、存分に決めポーズをとる。これも一緒に戦った経験が育んだコンビネーションというやつだ。しかし──

「男ってどうしてこう脳筋なの? あっリアムは別だけど」

 やはり女にはこの様式美というやつがわからなかったらしい。うまく決まったのに残念だ。ところで──

「リアム!? 大丈夫!?」

「んっ? ああエリシア・・・それにティナにレイアも。別にどうってことはないよ・・・ただ後ろから迫ってくるミリアに気を取られていたら魔力壁に激突しただけで」

「鼻血が・・・」

「ああ本当だ・・・気がつかなかった。・・・ヒール」

 ウォルターとアルフレッドと口論するミリアを他所に、僕を心配してくれたエリシア、それにティナとレイアが駆けつけきてくれる。

「ほらこの通り! だからそんなに心配してくっつかなくても大丈夫だよ? ティナ」

「・・・・・・」

 しかしティナは僕から離れようとはしない。他の人がいる場所でこんなに甘えてくるとは、心配してくれているか相当に落ち込んむことでもあったのか。

「・・・で、エリシアも何かあったの? なんか顔色があまり良くないけど」

「・・・えーっとその実は魔力切れ寸前で・・・魔力回復のポーションをもらえれば・・・」

「あっ・・・その私もポーション切らしちゃっててよければ・・・」

「お安い御用だよ・・・はい、どうぞ」

「「ありがとうリアム」」

 僕は二人に魔力回復のポーションを取り出して渡す。とはいえ、初めに魔力壁に激突させたトードたちより間抜けな激突をしてしまった自分・・・・・・情けない。

「おぉーっと!これで戦闘終了! 途中色々とありましたが、各班無事に集合して余裕の勝利です!」 
「すげぇー・・・本当に今日が初めてかよ」
「初心者だと普通は何人か欠けるんだがな・・・」

 一方、コンテスト会場。ナノカの勝利コールに湧くオーディエンスに──

「無事に終わったな」
「ええ。でもリアムはこれから先も色々と大変かもね」
「だな」

「エリシアのあの発想、実に面白かったな。リアムくんの影響か?」
「私もエリシアの成長が見られて嬉しかったわ」
「ウォルターとレイアはよくやったがラナは帰ったら説教だね」
「あの子リアム様になんてことを!」

「いやー、まさかあいつらがあんだけやれるとは」
「そりゃあ我々が目をかけてるだけはあるさ。ね、パトリック様?」
「ああ。実に素晴らしい勝利だ。だが──」
「おいリアム! 貴様ミリアと手など繋ぎよって! それに追いかけっこなど最近は私とも──」
「あなた? 領民の前でこれ以上醜態を晒すのであれば、容赦しませんよ」
「・・・はい」

 保護者たち。

「オイウィリアム・・・ヤハリオマエノムスコハキケンダ」

「・・・なんで片言なんだよ」

「仕方なかろう。・・・公爵の私にも恐れるものの一つや二つあるということだ」

 様子がおかしなブラームスが隣に座る俺に語りかける。先ほどまで映像の中のリアムに叫び、不満をぶつけまくっていたブラームスがここまで・・・やはりマリアの存在は偉大だ。しかし──

「おい、戦闘って終わったんだよな? ならなんで転送の魔法陣が出てこないんだ?」
「本当だ。なんで・・・」
「ま、まさか・・・」

 徐々に会場を包み込んでいく不穏な空気。ナノカの戦闘終了のコールが流れた後も、いつもなら直ぐに出てくるはずの転送陣を形成する魔法文字がいつまでたっても現れない。

「ウィル・・・これって」
「ああ。これはマズイかもな」

 俺はもう一方の隣に座るアイナと己の見解を共有し、一致する。

「おいウィリアム! どういうことだ! ・・・まさか閉じ込められたのか!?」
「ウィ、ウィリアム?ミリアやみんなは大丈夫なのかしら?」

 これにはブラームスだけでなく、マリアも少し動揺を見せる。

「落ち着いてくださいブラームス様マリア様。こういうことは時々起こるんです」
「そ、そうなの?閉じ込められたわけじゃないのね?」
「それは過去に前例があるということか?」

 アイナの説得に落ち着きを取り戻した二人。

「ああ。本当に時々、100戦に一度くらいの確率でエリアAではこれが起こる。ちゃんと手順を踏めれば戻れないことはないが・・・ただ」

「ただなんなのウィリアム? お願い、教えてちょうだい」

 そんな彼らに、俺は状況を説明するべく口を動かす。そもそも閉じ込められるというニュアンスで論じるならば、あいつらは初めからボスを倒しきるまで、または死んでリヴァイブで復活するまでは閉じ込められていると言える。つまり、これが意味するところは──

「あいつらの戦闘は・・・まだ終わっていない」

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