アナザー・ワールド 〜オリジナルスキルで異世界とダンジョンを満喫します〜
97 稽古開始
「あら、リアムちゃんって人じゃなかったのね・・・」
「いえ、一応人なんですけど」
「うふッごめんなさい❤︎・・・でもやっぱりもう人ってレベルじゃないわよ?」
閑静な森の中、リゲスが僕のステータスを見て呟く。
「人がぶつかる魔法の壁は最上級のⅣ。・・・既にリアムちゃんは3つもそれを超えてるじゃない」
「人種で確認されている最高魔法レベルはⅨでしたっけ?・・・高位精霊と契約している王族の精霊魔法の・・・」
「そうね・・・。それ以外の一般魔法で超級以上のレベルを持つ人は10万人に一人、この国の総人口推定が600万人〜700万人の間だから60人ほどかしら。その9割が王立学院に所属しているらしくて残りはリアムちゃんみたいに隠れた実力者のになるのかしら。でも王立学院に在籍しているそれのほとんどがまた貴族、平民がこんな魔法レベルとスキルも持っている挙句に魔王クラスの魔力を持ってるなんて最早神話ね」
そしてさらっと僕に新しい重荷を追加するリゲス。
「・・・あの、僕の魔力はまだ絶賛成長中なんですけど」
「そうなの?・・・それはもう笑うしかないわね、フフフッ❤︎」
「笑えないですよ!? 本当に人辞めちゃってるじゃないですか!?」
「報告 マスターと魔王の魔法練度には天と地ほどの差があると推測します。・・・まだ」
「それは励ましてくれてるの? それともただもっと落ち込ませたいだけ?」
「解 ただいじりたいだけ・・・マスターは愛されていますね」
「どこが!!」
途中勝手に魔力干渉し話に乱入してきたイデアにツッコむ。因みにイデアのことは既にリゲスに話してある。さもないと修行に支障をきたしそうだったから。
「・・・ふぅ。それじゃあそろそろ試合しましょうか」
「はい・・・リゲス師匠」
「あら〜・・・師匠なんて可愛くない呼び方はダメよ? どうせならリッちゃんーとかスーちゃんーとかがいいわ❤︎」
「じゃあ普通にリゲスさんで・・・」
「ま、いいでしょ」
軽く僕の言葉をあしらって、距離を取り始めるリゲス。そして ──
「ふんぬッ!」
「・・・クッ!」
「・・・まあこんなところかしらね」
「はぁ・・はぁ・・・。ありがとうございました」
「ええ。お疲れ様」
実力を測るための模擬戦。魔法なしの打ち合いで結果はボロボロ、あらゆる攻撃を寸止めしてもらいなんとか僕は立っていた。
「実戦で得られる経験は大きなものよ」
模擬用の木剣で素振りし、友人たちと試合する練習とは違う。
「モンスターだって生きていて種族ごとに特徴があり思考し、行動する。相手の目や体の動き方を経験として蓄積し、ある程度の先入観を持っておくことも重要・・・」
そして応用力はそれをしているうちに勝手に身につくというリゲス。確かに、これまでモンスターには弱点や規則的な動きは見られスクールでもその特徴を教えられたが、襲ってくるパターン、自分の攻撃に対する回避の仕方、それらによりズレてくる攻撃パターンはどれ一つ取っても同じであるとは言い難かった。
「だからリアムちゃんの思い切りは私は正解だと思うわよ。武器を扱う基礎もできてるみたいだし、ここはダンジョン、こんな環境(もの)がなければもっと地道な訓練をするのが賢明だけど、せっかく便利なものがあるんだから活用しないとね」
「はい・・・。あの、それでリゲスさん、ちょっと相談があるんですけど・・・」
だがリゲスの話が終わって早々、やっと息が整ってきた僕はある事をリゲスに相談する。
── それは昨日のこと、交流会で出会ったアオイの経営する鈴屋を訪問した時のことだった。
・
・
・
「こっちが酒でこれは甘く仕上げたみりんって酒、どっちも火を通せばアルコールも飛ぶし、料理にコクが出ていい調味料だよ」
「煮物に照り焼き・・・ああ、肉じゃがもいいかも・・・」
鈴屋を訪れた僕は、並べられた食品の数々に想像を膨らませだらしない顔をしていたのだが ──
「あの、これってもしかして・・・」
「ああ、それは倭国で使われてる刀って武器だ」
壁に飾り掛けられていたそれを指してアオイが改めてその武器の名を教えてくれた。
「それは展示用の模造刀だけど、本物なら店の倉庫にいくつかあるよ? 見てみるかい?」
「是非!」
店の一角に展示されていた刀。それからアオイに本物を見せてもらった僕は直様、自分用に合わせて短刀を購入したのだった。
・
・
・
「・・・刀、ね。確かに面白い武器よね。私も過去に数回だけ目にした事があるわ・・・」
「本当ですか!?」
「でもそのほとんどが場を盛り上げるための余興。はっきり言って実践には使えないレベルの剣さばきで、これを扱ったことのない私から剣術が教えられるのかどうかは怪しいところね・・・」
「・・・そうですか。やはり難しいですかね・・・」
リゲスの言葉に僕はその難しさを改めて痛感する。元日本男児として、歴史や物語に出てくる侍が使う刀に憧れ購入したのはいいものの、やはり指南なしにそれを振るうことは難しい。しかし──
「でも全部が全部応用出来ない事もないと思うのよね? 片刃だから決め手を刃のある方で刺す型に調整する必要があるでしょうけど、受けは剣の背でもできるでしょうし・・・」
「すみません。我儘言っちゃって」
「まあ、とりあえずやってみましょ? 私も結構色んな武器が使えるから、できなければ状況に応じて作っていけばいいのよ」
「・・・! はい! ありがとうございますリゲス師匠!」
「リアムちゃん? 次に師匠って呼んだら腕立て千回だからね?」
「・・・はい!すみませんでしたリゲスさん!」
現実を考慮した上でなんとか用途をひねり出してくれたリゲス。僕はそんな優しい師匠の元、ついに本格的な剣の修行を始めるのだった。
・
・
・
「ゴブリンが2体ね。一体は私が片付けちゃうから、もう一体は・・・」
「わかりました。なるべく魔法なしで頑張ります」
「よろしい・・・じゃあ、行くわよ」
「はい・・・」
午前は1対1の組手で欠点を洗い出しては型の改善をひたすら行い、午後はより実践的なモンスターを狩り行う修行。ここ1週間はこのサイクルでほとんどダンジョンに籠っていた。
「一撃擦っちゃっみたいだけど、ようやく魔法なしで勝てるようになってきたわね・・・」
「はい。でも時々使われる無属性の武器強化が怖くて・・・」
「そうね〜・・・それなら──」
そしてまた、僕の相談を受けて改善策を提案するリゲス。
「やっぱり魔力感知を習得することが一番ね。これを習得すれば相手の位置も感覚的にわかるし、敵の魔力の変化にも気づけるから魔法の発動を予測することができるし」
「だけど僕は・・・。これはスクールの先生にも言われたんですが、どうやら魔力が多すぎるせいで小さすぎる魔力に対して感覚が鈍いみたいで・・・」
「リアムちゃんは魔力に付随して魔法防御も異常だものね・・・」
魔法防御の値は保有する魔力に依存する。これがどういうわけかきっちり魔力値の1/10のため、自動的に僕の対外魔力への耐性もまた、おかしなものになっているのだ。
「まずは自分から手離れた魔力まで感知してもう一度操れるようになれればいいわね。魔法が解除された後なら魔力は自然魔力に復元されるまで緩やかに残留してるから、あとはその残留魔力に再リンクする感覚で感知してみる練習よ」
魔力感覚を鋭くするための高等テクを応用した修行。本来手離れた魔力を再操作することは王立学院学院部で習うレベルの技術らしい。因みに学院部とは前世で言うところの大学と院を合わせたような高等部より上の学部である。
「リアムちゃんなら何回も試行できるし、魔法に込める魔力を多くして魔力密度を濃くできるからピッタリの修行ね」
通常、魔力がある程度なければ十数回で魔力切れを起こしてしまうため子供では推奨できない修行法であるが、リゲスの言う通り僕にとってはピッタリの修行のようだ。
「あれ・・・意外とかんた・・・冷たッ!」
早速、僕はリゲスが提案した修行を試み、自分の魔法の後に残った残留魔力に再リンクすることができた。しかしリンクが成功すると、自分の残留魔力がそれを通して逆流してきたのだ。
「それは一度属性変換された上に自分の魔力だからね〜。そして一度手から離れているものだから、再リンクすればより近い魔力に惹かれ勝手に逆流してくる・・・その制御も同時にしないとね」
「僕が使ったのは氷魔法だから・・・」
「ごめんなさいね〜。すっかり注意するの忘れてたわ、テヘッ」
「・・・・・・」
「何よその顔は〜」
「・・・いえ、ただ逆流した魔力があまりにも冷たかっただけです」
「もうリアムちゃんったら、お・ちゃ・め・さん!」
「ぎゃ〜!ぎ・・・ギブ! ごめんなさい嘘つきました!リゲスさんのぶりっ子にテンションが凍りつきました!思考が停止しましたぁ!」
「あら、じゃあ嘘ついたお仕置きに全力100mダッシュ連続30本ね」
「それって全力3kmダッシュ長距離走って言いません!?」
「そうとも言うわね」
ぶりっ子に目を細め少し引いていた僕を一瞬で羽交い締めにし、解放した後には残酷な罰を告げるリゲス。
「そ、そんな! そんなの途中で死んじゃいますって!!」
「マスターが途中で歩行、または倒れる確率100%。師 リゲスにそれはまだ早いと進言します」
「そ、そうだよね!・・・リゲスさん、ジョギングならまだしも全力ダッシュは無理です! 僕まだ6歳の子供ですよ!?」
訂正。リゲスは確かに弟子思いの優しい師匠であるが、罰に至ってはスパルタだった。僕は完遂不可能な罰を告げたリゲスに抵抗するべく、意外にもイデアから出た助け舟に直様飛びつく。
「・・・仕様が無いわね。それじゃあ連続じゃなくて間に1分ずつインターバルをあげるわ、これならまだましでしょ?」
「少しも変わってない気が・・・」
「ピ──ッ! 数値を再入力しシュミレーションを実行 ・・・マスターがそれを完遂できる確率が1%に上がりました」
「だそうよ? 100%の力を出して頑張ってね♪」
「神も仏も無いのか・・・」
しかし船はあえなく沈没、結局変わってもあまり意味のないレベルでの譲歩がなされた。その後、もちろん99%の全力を引き出せるわけもなく、僕は見事に十数回目で地面に倒れ伏したのであった。
「いえ、一応人なんですけど」
「うふッごめんなさい❤︎・・・でもやっぱりもう人ってレベルじゃないわよ?」
閑静な森の中、リゲスが僕のステータスを見て呟く。
「人がぶつかる魔法の壁は最上級のⅣ。・・・既にリアムちゃんは3つもそれを超えてるじゃない」
「人種で確認されている最高魔法レベルはⅨでしたっけ?・・・高位精霊と契約している王族の精霊魔法の・・・」
「そうね・・・。それ以外の一般魔法で超級以上のレベルを持つ人は10万人に一人、この国の総人口推定が600万人〜700万人の間だから60人ほどかしら。その9割が王立学院に所属しているらしくて残りはリアムちゃんみたいに隠れた実力者のになるのかしら。でも王立学院に在籍しているそれのほとんどがまた貴族、平民がこんな魔法レベルとスキルも持っている挙句に魔王クラスの魔力を持ってるなんて最早神話ね」
そしてさらっと僕に新しい重荷を追加するリゲス。
「・・・あの、僕の魔力はまだ絶賛成長中なんですけど」
「そうなの?・・・それはもう笑うしかないわね、フフフッ❤︎」
「笑えないですよ!? 本当に人辞めちゃってるじゃないですか!?」
「報告 マスターと魔王の魔法練度には天と地ほどの差があると推測します。・・・まだ」
「それは励ましてくれてるの? それともただもっと落ち込ませたいだけ?」
「解 ただいじりたいだけ・・・マスターは愛されていますね」
「どこが!!」
途中勝手に魔力干渉し話に乱入してきたイデアにツッコむ。因みにイデアのことは既にリゲスに話してある。さもないと修行に支障をきたしそうだったから。
「・・・ふぅ。それじゃあそろそろ試合しましょうか」
「はい・・・リゲス師匠」
「あら〜・・・師匠なんて可愛くない呼び方はダメよ? どうせならリッちゃんーとかスーちゃんーとかがいいわ❤︎」
「じゃあ普通にリゲスさんで・・・」
「ま、いいでしょ」
軽く僕の言葉をあしらって、距離を取り始めるリゲス。そして ──
「ふんぬッ!」
「・・・クッ!」
「・・・まあこんなところかしらね」
「はぁ・・はぁ・・・。ありがとうございました」
「ええ。お疲れ様」
実力を測るための模擬戦。魔法なしの打ち合いで結果はボロボロ、あらゆる攻撃を寸止めしてもらいなんとか僕は立っていた。
「実戦で得られる経験は大きなものよ」
模擬用の木剣で素振りし、友人たちと試合する練習とは違う。
「モンスターだって生きていて種族ごとに特徴があり思考し、行動する。相手の目や体の動き方を経験として蓄積し、ある程度の先入観を持っておくことも重要・・・」
そして応用力はそれをしているうちに勝手に身につくというリゲス。確かに、これまでモンスターには弱点や規則的な動きは見られスクールでもその特徴を教えられたが、襲ってくるパターン、自分の攻撃に対する回避の仕方、それらによりズレてくる攻撃パターンはどれ一つ取っても同じであるとは言い難かった。
「だからリアムちゃんの思い切りは私は正解だと思うわよ。武器を扱う基礎もできてるみたいだし、ここはダンジョン、こんな環境(もの)がなければもっと地道な訓練をするのが賢明だけど、せっかく便利なものがあるんだから活用しないとね」
「はい・・・。あの、それでリゲスさん、ちょっと相談があるんですけど・・・」
だがリゲスの話が終わって早々、やっと息が整ってきた僕はある事をリゲスに相談する。
── それは昨日のこと、交流会で出会ったアオイの経営する鈴屋を訪問した時のことだった。
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「こっちが酒でこれは甘く仕上げたみりんって酒、どっちも火を通せばアルコールも飛ぶし、料理にコクが出ていい調味料だよ」
「煮物に照り焼き・・・ああ、肉じゃがもいいかも・・・」
鈴屋を訪れた僕は、並べられた食品の数々に想像を膨らませだらしない顔をしていたのだが ──
「あの、これってもしかして・・・」
「ああ、それは倭国で使われてる刀って武器だ」
壁に飾り掛けられていたそれを指してアオイが改めてその武器の名を教えてくれた。
「それは展示用の模造刀だけど、本物なら店の倉庫にいくつかあるよ? 見てみるかい?」
「是非!」
店の一角に展示されていた刀。それからアオイに本物を見せてもらった僕は直様、自分用に合わせて短刀を購入したのだった。
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「・・・刀、ね。確かに面白い武器よね。私も過去に数回だけ目にした事があるわ・・・」
「本当ですか!?」
「でもそのほとんどが場を盛り上げるための余興。はっきり言って実践には使えないレベルの剣さばきで、これを扱ったことのない私から剣術が教えられるのかどうかは怪しいところね・・・」
「・・・そうですか。やはり難しいですかね・・・」
リゲスの言葉に僕はその難しさを改めて痛感する。元日本男児として、歴史や物語に出てくる侍が使う刀に憧れ購入したのはいいものの、やはり指南なしにそれを振るうことは難しい。しかし──
「でも全部が全部応用出来ない事もないと思うのよね? 片刃だから決め手を刃のある方で刺す型に調整する必要があるでしょうけど、受けは剣の背でもできるでしょうし・・・」
「すみません。我儘言っちゃって」
「まあ、とりあえずやってみましょ? 私も結構色んな武器が使えるから、できなければ状況に応じて作っていけばいいのよ」
「・・・! はい! ありがとうございますリゲス師匠!」
「リアムちゃん? 次に師匠って呼んだら腕立て千回だからね?」
「・・・はい!すみませんでしたリゲスさん!」
現実を考慮した上でなんとか用途をひねり出してくれたリゲス。僕はそんな優しい師匠の元、ついに本格的な剣の修行を始めるのだった。
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「ゴブリンが2体ね。一体は私が片付けちゃうから、もう一体は・・・」
「わかりました。なるべく魔法なしで頑張ります」
「よろしい・・・じゃあ、行くわよ」
「はい・・・」
午前は1対1の組手で欠点を洗い出しては型の改善をひたすら行い、午後はより実践的なモンスターを狩り行う修行。ここ1週間はこのサイクルでほとんどダンジョンに籠っていた。
「一撃擦っちゃっみたいだけど、ようやく魔法なしで勝てるようになってきたわね・・・」
「はい。でも時々使われる無属性の武器強化が怖くて・・・」
「そうね〜・・・それなら──」
そしてまた、僕の相談を受けて改善策を提案するリゲス。
「やっぱり魔力感知を習得することが一番ね。これを習得すれば相手の位置も感覚的にわかるし、敵の魔力の変化にも気づけるから魔法の発動を予測することができるし」
「だけど僕は・・・。これはスクールの先生にも言われたんですが、どうやら魔力が多すぎるせいで小さすぎる魔力に対して感覚が鈍いみたいで・・・」
「リアムちゃんは魔力に付随して魔法防御も異常だものね・・・」
魔法防御の値は保有する魔力に依存する。これがどういうわけかきっちり魔力値の1/10のため、自動的に僕の対外魔力への耐性もまた、おかしなものになっているのだ。
「まずは自分から手離れた魔力まで感知してもう一度操れるようになれればいいわね。魔法が解除された後なら魔力は自然魔力に復元されるまで緩やかに残留してるから、あとはその残留魔力に再リンクする感覚で感知してみる練習よ」
魔力感覚を鋭くするための高等テクを応用した修行。本来手離れた魔力を再操作することは王立学院学院部で習うレベルの技術らしい。因みに学院部とは前世で言うところの大学と院を合わせたような高等部より上の学部である。
「リアムちゃんなら何回も試行できるし、魔法に込める魔力を多くして魔力密度を濃くできるからピッタリの修行ね」
通常、魔力がある程度なければ十数回で魔力切れを起こしてしまうため子供では推奨できない修行法であるが、リゲスの言う通り僕にとってはピッタリの修行のようだ。
「あれ・・・意外とかんた・・・冷たッ!」
早速、僕はリゲスが提案した修行を試み、自分の魔法の後に残った残留魔力に再リンクすることができた。しかしリンクが成功すると、自分の残留魔力がそれを通して逆流してきたのだ。
「それは一度属性変換された上に自分の魔力だからね〜。そして一度手から離れているものだから、再リンクすればより近い魔力に惹かれ勝手に逆流してくる・・・その制御も同時にしないとね」
「僕が使ったのは氷魔法だから・・・」
「ごめんなさいね〜。すっかり注意するの忘れてたわ、テヘッ」
「・・・・・・」
「何よその顔は〜」
「・・・いえ、ただ逆流した魔力があまりにも冷たかっただけです」
「もうリアムちゃんったら、お・ちゃ・め・さん!」
「ぎゃ〜!ぎ・・・ギブ! ごめんなさい嘘つきました!リゲスさんのぶりっ子にテンションが凍りつきました!思考が停止しましたぁ!」
「あら、じゃあ嘘ついたお仕置きに全力100mダッシュ連続30本ね」
「それって全力3kmダッシュ長距離走って言いません!?」
「そうとも言うわね」
ぶりっ子に目を細め少し引いていた僕を一瞬で羽交い締めにし、解放した後には残酷な罰を告げるリゲス。
「そ、そんな! そんなの途中で死んじゃいますって!!」
「マスターが途中で歩行、または倒れる確率100%。師 リゲスにそれはまだ早いと進言します」
「そ、そうだよね!・・・リゲスさん、ジョギングならまだしも全力ダッシュは無理です! 僕まだ6歳の子供ですよ!?」
訂正。リゲスは確かに弟子思いの優しい師匠であるが、罰に至ってはスパルタだった。僕は完遂不可能な罰を告げたリゲスに抵抗するべく、意外にもイデアから出た助け舟に直様飛びつく。
「・・・仕様が無いわね。それじゃあ連続じゃなくて間に1分ずつインターバルをあげるわ、これならまだましでしょ?」
「少しも変わってない気が・・・」
「ピ──ッ! 数値を再入力しシュミレーションを実行 ・・・マスターがそれを完遂できる確率が1%に上がりました」
「だそうよ? 100%の力を出して頑張ってね♪」
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