アナザー・ワールド 〜オリジナルスキルで異世界とダンジョンを満喫します〜
60 ポーション作り
ラナとの内緒話も終わった後、それからは楽しい会話に包まれる── 
「でねーッ!その時レイアったら私じゃなくてカリナに助けを求めて・・・」 
「お姉ちゃん!」 
聞いたのはあの日から父さんやラナ、そしてよくラナの勉強を見に来るカリナ姉さんなんかに僕の様子や近状を聞いていたこと、このお店の店主マレーネが彼女らの祖母であること、最近起こったレイアの身近な出来事や世間話などであった。 
再会してすぐには戸惑いを見せていたレイアであったが、現在は心を開いて笑顔を見せている。 
「だから・・・その、リアムはすごいな〜っていつも話を聞いてた・・・」 
その戸惑いを作った原因は、どうやら同じ年齢で学校に行って差を感じていたこと・・・そして── 
「それに後からリアムが精霊と契約できなくて落ち込んでるって話をこっそり聞いてたから・・・ごめんなさい」 
あの日精霊と契約できなかった僕に声をかけれなかったこと、結果僕が落ち込んでいたことを後に聞いたレイアは、ずっと僕のことを心配していてくれたらしい。 
「大丈夫・・・詳しくは言えないけど、原因はもうわかったから」 
そんな優しい彼女に僕は、もう心配がないこと、原因も密かにわかったことを述べる。 
「よかった・・・ありがとう」 
本当にこの子は良い子だ。一度は打ち解けた仲・・・そんな彼女と僕がもう一度打ち解け合うのに、そう時間は必要なかった。 
その ”ありがとう” からは、彼女の優しさが心に響く。 
「こちらこそ・・・ありがとう」 
そんな彼女に、僕も気持ちを込めて礼を返す。 
「さーてとッ!お互い仲良くなったところで、暇だし何かして遊ぼ〜ッ!」 
再び親睦を温めた僕とレイアを見て、場をリセットするように提案をするラナ。 
「あっ!でもそろそろポーションを入れ替えなきゃ・・・」 
しかしラナの提案も束の間、途中だったポーションの精製を思い出し、あっ!と声をあげるレイア。 
「あ〜・・・そう言えば出かける前に火にかけてたんだっけ・・・」 
そんなレイアに追随するように、ラナも火にかけていたポーションのことを思い出したようだ・・・・・・確かに、お茶をしていた机の隅では何やら実験的な液体と物質が入ったフラスコやらが火にかけられ、蒸留されていた。 
これからどうしようかと思案するラナとレイア。 
「あの・・・だったらポーション作り、一緒にやってもいいかな?」 
そこで僕は彼女らに、一緒にポーション作りをして良いかと提案する。 
「へっ?・・・リアムが?」 
戸惑いを見せるラナ。 
「ダメかな・・・」  
ラナの反応に、僕は思わず項垂れる。 
「ああっ!・・・ダメってわけじゃないんだけど、これが結構難しくてね!?」 
するとラナは先ほどとは打って変わって、ソワソワと落ち着きをなくす。 
 
・・・もしかすると、ポーションの製法やらレシピは秘匿情報だったかもしれない。 
そのラナの反応に後になってそう気づいた僕は、ふと自分の軽率な発言を反省する・・・しかし── 
「ううん!一緒にやろう!」 
 
戸惑いを見せたラナとは裏腹に、僕の提案を聞いてレイアは、嬉しそうに笑顔で承諾をくれるのであった。 
▽   ▽   ▽   ▽ 
ポーション作りは意外と簡単。 
というのも、材料はもともとセットされており、ポーション素の薬草を煮出した液体を蒸留してより濃密にしたものをブレンドしていくだけで、そのほとんどをレイアが指示してくれる。 
「すごいね。同じ齢なのに・・・いつも作ってるの?」 
僕は同じ年齢・・・といっても精神的に生きてきた時間は圧倒的にこちらの方が上なのだが、そのレイアの手際の良さと知識に感心する。 
「うん!お店のお手伝いでほとんど毎日!」 
 
そんな僕の質問に笑顔で答えてくれるレイア。 
「最後に、この液体に魔力を巡らせたら終わり!」 
レイアは同時に手も動かしながら、最後の工程を教えてくれる。ちなみにラナは僕たちがポーション作りをしている横で見学だ。 
「でもこのポーションの魔力調整が一番大事で難しいの・・・だから」 
机の上にあった一本の木でできた棒のようなものを握り構えるレイア。 
どうやらそれは簡易的な短杖であり、これから行う魔力調整は工程の肝、それは繊細な作業であるらしい。そして── 
「きてアリエル・・・いつも通りお願い」 
祈りるように名を呼び、願いをかけるレイア。するとレイアの前に優雅に泳ぐ魚が現れ、ポーション瓶の周りをグルグルと周り始めた。 
その姿はまるで幻影、水面に映える影のような霧のような抽象的な存在で若葉色の優しい光を纏っていた。 
──次第に淡い光を放ち始める原液。 
「すごいよね〜レイアは!・・・レイアの精霊ってね、カリナほど特殊じゃないけど一年で中位精霊になっちゃって、更に水と回復の属性も持ってるの」 
そんな光景を一緒に見ていたラナは、同じくその光景に見入っていた僕にレイアの精霊、アリエルについて教えてくれる。 
「綺麗だ・・・」 
一秒・・・一秒と時が経つにつれ、瓶の周りでアリエルが優雅に舞う度に原液はその光の鮮やかさを増し、やがて消えていく。 
「私はまだ魔力操作が下手だから、アリエルに手伝ってもらってるの」 
作業が終わったレイアが、アリエルが担っていた役割について教えてくれる。 
「作れるポーションもまだ初級だけだし・・・」 
少し落ち込むみ呟くレイア。しかし ──
「でもね!おばあちゃんが作るポーションはもっとすごいんだよ!」 
その落ち込みも一瞬、彼女は次第に自分の祖母の凄さについて語り始めた。 
「普通は精製の過程で何度も魔力を与え続けなきゃより高品質なポーションは作れないんだけど、おばあちゃんは精製するときに魔力を使わなくても最後の魔力調整で高品質なポーションを作っちゃうの!」 
レイアは興奮しながら、祖母であるマレーネの凄さについて語る。 
「材料の調合や工程もまた全然違くて難しくて・・・私もいつかおばあちゃんみたいにお客さんに喜んでもらえるような薬屋さんになりたいの!」 
レイアは本当にマレーネのことを尊敬しているようだ。 
「レイア興奮しすぎ・・・」 
すると目を輝かせ、将来の夢を語るレイアに精製中、隣で見学していたラナが注意を促す。 
「あっ・・・ごめんなさい」 
そしてレイアも自分が思った以上に興奮していたことを悟ったのか、先ほどと変わりシュンとして僕たちに謝罪する。すると── 
「レイアがそこまで褒めてくれるとは嬉しいね・・・」 
作業場から店の方へ通じる扉の方から、ふと感慨深そうに優しく語りかける声が聞こえてきた。 
「おばあちゃん!」 
その視線の先、声の主に気づいたレイアが声を上げる。 
「レイアはその歳でそこまで出来れば十分だよ。お前は十分にやっている」 
そしてこちらへとやってきたマレーネが、レイアを褒めながらその頭を撫でる。 
「えへへ〜」 
そんなマレーネに頭を撫でてもらったレイアは、嬉しそうに無垢な笑顔を見せる。 
「あの、父さんは?」 
マレーネがレイアの頭から手を離して数秒、ふと父さんがいないことに気づいた僕は、その所在をマレーネに尋ねる。 
「ああウィル坊か。リム坊には悪いけどちょっと私用で走ってもらってるよ」 
すると今は外に出ていると説明をしてくれるマレーネ。どうやら使いっ走りに出されているらしい。 
『・・・リム坊か・・』 
しかし父さんの所在も分かり、僕はマレーネにリム坊と呼ばれたことに関心を向ける。そう呼ばれるのは温かくあり、なんだかくすぐったい。 
「リム坊・・・お主は魔力を込めないのかい?」 
すると感傷に浸るのも束の間、レイアに対して僕が未だに原液に魔力を込めていないことを指摘するマレーネ。 
「難しいらしいし・・・失敗したら商品にならないから」 
ここまでポーション作りを体験させてもらえただけでも僕は十分だ。それに初級のポーション作りといってもそこに材料費がかかっているし、出来れば最後までやってみたい気もするが、それはスクールで薬物学を取っているためにいずれは挑戦する機会が巡ってくるだろう。 
僕はマレーネに、それから先は遠慮する旨を伝える。すると── 
「なあにウィル坊とアイナの息子だ。そんなことを気にする必要はないし、もし失敗しても喜んでウィル坊が使ってくれるさ」 
僕の懸念を杞憂だと言い、挙句に冗談を言ってみせるマレーネ。 
「それにあんた、相当な魔法の才能を持っているんだろう?だったら失敗してもいいから、一度それを見せてもらえると嬉しいよ」 
どうやら父さんはこのマレーネのことを相当信用しているらしい。まさか家族以外に僕の能力について少しでも語っているとは思いもしなかった。 
▽   ▽   ▽   ▽ 
 
「そうだ、その調子で世界と対話をするように・・・ポーションに巡る魔力を感じてゆっくり丁寧に流してやるんだ・・・」 
「・・・っ!」 
僕はマレーネの指導を受けながら、ポーションの原液にゆっくりと魔力を巡らせていく。 
初めは液体という不安定な媒質を感覚として把握するのに苦労したものの、今はだんだんと慣れてきた。 
「よし、あとは流れを鎮めるためにゆっくりと魔力を絞り、供給を止めるんだ」 
「はい・・・」 
マレーネに言われた通り、僕は原液に巡らせていた魔力を絞っていき、そして── 
「よーし・・・完成だよ」 
完了の知らせ。 
「ふぅー・・・」 
その言葉に僕は瓶の周りから手を離し、一息つく。 
 
「すごい・・・成功させちゃった・・・」 
「綺麗・・・」 
感嘆するラナとレイアの声。 
『やはりこの子は・・・』 
完成したポーション瓶の周りで、各々がそれぞれの感想を抱く・・・そして── 
「ただいま〜・・・行ってきたぜ!マレーネ!!」 
全くもって場違いな、そんな空気を瞬変させる父さんの声が店中に響わたるのであった。 
「でねーッ!その時レイアったら私じゃなくてカリナに助けを求めて・・・」 
「お姉ちゃん!」 
聞いたのはあの日から父さんやラナ、そしてよくラナの勉強を見に来るカリナ姉さんなんかに僕の様子や近状を聞いていたこと、このお店の店主マレーネが彼女らの祖母であること、最近起こったレイアの身近な出来事や世間話などであった。 
再会してすぐには戸惑いを見せていたレイアであったが、現在は心を開いて笑顔を見せている。 
「だから・・・その、リアムはすごいな〜っていつも話を聞いてた・・・」 
その戸惑いを作った原因は、どうやら同じ年齢で学校に行って差を感じていたこと・・・そして── 
「それに後からリアムが精霊と契約できなくて落ち込んでるって話をこっそり聞いてたから・・・ごめんなさい」 
あの日精霊と契約できなかった僕に声をかけれなかったこと、結果僕が落ち込んでいたことを後に聞いたレイアは、ずっと僕のことを心配していてくれたらしい。 
「大丈夫・・・詳しくは言えないけど、原因はもうわかったから」 
そんな優しい彼女に僕は、もう心配がないこと、原因も密かにわかったことを述べる。 
「よかった・・・ありがとう」 
本当にこの子は良い子だ。一度は打ち解けた仲・・・そんな彼女と僕がもう一度打ち解け合うのに、そう時間は必要なかった。 
その ”ありがとう” からは、彼女の優しさが心に響く。 
「こちらこそ・・・ありがとう」 
そんな彼女に、僕も気持ちを込めて礼を返す。 
「さーてとッ!お互い仲良くなったところで、暇だし何かして遊ぼ〜ッ!」 
再び親睦を温めた僕とレイアを見て、場をリセットするように提案をするラナ。 
「あっ!でもそろそろポーションを入れ替えなきゃ・・・」 
しかしラナの提案も束の間、途中だったポーションの精製を思い出し、あっ!と声をあげるレイア。 
「あ〜・・・そう言えば出かける前に火にかけてたんだっけ・・・」 
そんなレイアに追随するように、ラナも火にかけていたポーションのことを思い出したようだ・・・・・・確かに、お茶をしていた机の隅では何やら実験的な液体と物質が入ったフラスコやらが火にかけられ、蒸留されていた。 
これからどうしようかと思案するラナとレイア。 
「あの・・・だったらポーション作り、一緒にやってもいいかな?」 
そこで僕は彼女らに、一緒にポーション作りをして良いかと提案する。 
「へっ?・・・リアムが?」 
戸惑いを見せるラナ。 
「ダメかな・・・」  
ラナの反応に、僕は思わず項垂れる。 
「ああっ!・・・ダメってわけじゃないんだけど、これが結構難しくてね!?」 
するとラナは先ほどとは打って変わって、ソワソワと落ち着きをなくす。 
 
・・・もしかすると、ポーションの製法やらレシピは秘匿情報だったかもしれない。 
そのラナの反応に後になってそう気づいた僕は、ふと自分の軽率な発言を反省する・・・しかし── 
「ううん!一緒にやろう!」 
 
戸惑いを見せたラナとは裏腹に、僕の提案を聞いてレイアは、嬉しそうに笑顔で承諾をくれるのであった。 
▽   ▽   ▽   ▽ 
ポーション作りは意外と簡単。 
というのも、材料はもともとセットされており、ポーション素の薬草を煮出した液体を蒸留してより濃密にしたものをブレンドしていくだけで、そのほとんどをレイアが指示してくれる。 
「すごいね。同じ齢なのに・・・いつも作ってるの?」 
僕は同じ年齢・・・といっても精神的に生きてきた時間は圧倒的にこちらの方が上なのだが、そのレイアの手際の良さと知識に感心する。 
「うん!お店のお手伝いでほとんど毎日!」 
 
そんな僕の質問に笑顔で答えてくれるレイア。 
「最後に、この液体に魔力を巡らせたら終わり!」 
レイアは同時に手も動かしながら、最後の工程を教えてくれる。ちなみにラナは僕たちがポーション作りをしている横で見学だ。 
「でもこのポーションの魔力調整が一番大事で難しいの・・・だから」 
机の上にあった一本の木でできた棒のようなものを握り構えるレイア。 
どうやらそれは簡易的な短杖であり、これから行う魔力調整は工程の肝、それは繊細な作業であるらしい。そして── 
「きてアリエル・・・いつも通りお願い」 
祈りるように名を呼び、願いをかけるレイア。するとレイアの前に優雅に泳ぐ魚が現れ、ポーション瓶の周りをグルグルと周り始めた。 
その姿はまるで幻影、水面に映える影のような霧のような抽象的な存在で若葉色の優しい光を纏っていた。 
──次第に淡い光を放ち始める原液。 
「すごいよね〜レイアは!・・・レイアの精霊ってね、カリナほど特殊じゃないけど一年で中位精霊になっちゃって、更に水と回復の属性も持ってるの」 
そんな光景を一緒に見ていたラナは、同じくその光景に見入っていた僕にレイアの精霊、アリエルについて教えてくれる。 
「綺麗だ・・・」 
一秒・・・一秒と時が経つにつれ、瓶の周りでアリエルが優雅に舞う度に原液はその光の鮮やかさを増し、やがて消えていく。 
「私はまだ魔力操作が下手だから、アリエルに手伝ってもらってるの」 
作業が終わったレイアが、アリエルが担っていた役割について教えてくれる。 
「作れるポーションもまだ初級だけだし・・・」 
少し落ち込むみ呟くレイア。しかし ──
「でもね!おばあちゃんが作るポーションはもっとすごいんだよ!」 
その落ち込みも一瞬、彼女は次第に自分の祖母の凄さについて語り始めた。 
「普通は精製の過程で何度も魔力を与え続けなきゃより高品質なポーションは作れないんだけど、おばあちゃんは精製するときに魔力を使わなくても最後の魔力調整で高品質なポーションを作っちゃうの!」 
レイアは興奮しながら、祖母であるマレーネの凄さについて語る。 
「材料の調合や工程もまた全然違くて難しくて・・・私もいつかおばあちゃんみたいにお客さんに喜んでもらえるような薬屋さんになりたいの!」 
レイアは本当にマレーネのことを尊敬しているようだ。 
「レイア興奮しすぎ・・・」 
すると目を輝かせ、将来の夢を語るレイアに精製中、隣で見学していたラナが注意を促す。 
「あっ・・・ごめんなさい」 
そしてレイアも自分が思った以上に興奮していたことを悟ったのか、先ほどと変わりシュンとして僕たちに謝罪する。すると── 
「レイアがそこまで褒めてくれるとは嬉しいね・・・」 
作業場から店の方へ通じる扉の方から、ふと感慨深そうに優しく語りかける声が聞こえてきた。 
「おばあちゃん!」 
その視線の先、声の主に気づいたレイアが声を上げる。 
「レイアはその歳でそこまで出来れば十分だよ。お前は十分にやっている」 
そしてこちらへとやってきたマレーネが、レイアを褒めながらその頭を撫でる。 
「えへへ〜」 
そんなマレーネに頭を撫でてもらったレイアは、嬉しそうに無垢な笑顔を見せる。 
「あの、父さんは?」 
マレーネがレイアの頭から手を離して数秒、ふと父さんがいないことに気づいた僕は、その所在をマレーネに尋ねる。 
「ああウィル坊か。リム坊には悪いけどちょっと私用で走ってもらってるよ」 
すると今は外に出ていると説明をしてくれるマレーネ。どうやら使いっ走りに出されているらしい。 
『・・・リム坊か・・』 
しかし父さんの所在も分かり、僕はマレーネにリム坊と呼ばれたことに関心を向ける。そう呼ばれるのは温かくあり、なんだかくすぐったい。 
「リム坊・・・お主は魔力を込めないのかい?」 
すると感傷に浸るのも束の間、レイアに対して僕が未だに原液に魔力を込めていないことを指摘するマレーネ。 
「難しいらしいし・・・失敗したら商品にならないから」 
ここまでポーション作りを体験させてもらえただけでも僕は十分だ。それに初級のポーション作りといってもそこに材料費がかかっているし、出来れば最後までやってみたい気もするが、それはスクールで薬物学を取っているためにいずれは挑戦する機会が巡ってくるだろう。 
僕はマレーネに、それから先は遠慮する旨を伝える。すると── 
「なあにウィル坊とアイナの息子だ。そんなことを気にする必要はないし、もし失敗しても喜んでウィル坊が使ってくれるさ」 
僕の懸念を杞憂だと言い、挙句に冗談を言ってみせるマレーネ。 
「それにあんた、相当な魔法の才能を持っているんだろう?だったら失敗してもいいから、一度それを見せてもらえると嬉しいよ」 
どうやら父さんはこのマレーネのことを相当信用しているらしい。まさか家族以外に僕の能力について少しでも語っているとは思いもしなかった。 
▽   ▽   ▽   ▽ 
 
「そうだ、その調子で世界と対話をするように・・・ポーションに巡る魔力を感じてゆっくり丁寧に流してやるんだ・・・」 
「・・・っ!」 
僕はマレーネの指導を受けながら、ポーションの原液にゆっくりと魔力を巡らせていく。 
初めは液体という不安定な媒質を感覚として把握するのに苦労したものの、今はだんだんと慣れてきた。 
「よし、あとは流れを鎮めるためにゆっくりと魔力を絞り、供給を止めるんだ」 
「はい・・・」 
マレーネに言われた通り、僕は原液に巡らせていた魔力を絞っていき、そして── 
「よーし・・・完成だよ」 
完了の知らせ。 
「ふぅー・・・」 
その言葉に僕は瓶の周りから手を離し、一息つく。 
 
「すごい・・・成功させちゃった・・・」 
「綺麗・・・」 
感嘆するラナとレイアの声。 
『やはりこの子は・・・』 
完成したポーション瓶の周りで、各々がそれぞれの感想を抱く・・・そして── 
「ただいま〜・・・行ってきたぜ!マレーネ!!」 
全くもって場違いな、そんな空気を瞬変させる父さんの声が店中に響わたるのであった。 
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