アナザー・ワールド 〜オリジナルスキルで異世界とダンジョンを満喫します〜
36 スキルの個人授業 Ⅱ
僕はそれから、真剣に・・・しかし恐る恐る臆病にも沈黙して、その質問の返事を待つ。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
「・・・そんなことを気にしていたので?」
すると、ケイトから返ってきたのは、そんな僕の不安をも一蹴する強烈な一言であった。
「へっ・・・?」
その言葉のインパクトに、僕は思わず間抜けな声を出す。
「確かに、これまで魔道具や魔石にあなたが触れなかったのは不幸中の幸いでしたね。もし軽い気持ちで触っていたらと思うとゾッとしますが・・・」
その僕の間抜けな声を汲み取ったからだろうか・・・突然否定的な意見を述べるケイト、しかし ──
「リアムさん・・・あなた、スキルの中にExスキル《知の書》をお持ちではありませんか」
それから、ケイトは僕の持つExスキルの一つである《知の書》を話の引き合いに出す。
『・・・?』
しかし、そんなケイトの言葉の意味がわからず、 表情を浮かべる僕。
「おや?・・・その様子では《知の書》の有用性をご存知ないようですね」
それから、そんな僕の様子を察したケイトはまたまたスキルの個人授業を始める。
「Exスキル《知の書》は特殊なスキルです。このスキルを保有している者は、この国でも、王都の優秀な学生や教授、文官の方々と、学術的な分野に秀でた方達が多いのです」
「・・・・・・」
まさかの新情報であったが・・・・・・しかし、それだけでは僕のこの状態を説明するには至らないため、僕はその続きを黙って待つ。そして ──
「そのスキルの一端は、ある一定の知識を保持者にもたらすこと・・・。私も、リアムさんに初めて会ったその時は、あなたの学問的な優秀さに様々な疑問を抱えましたが、先ほどの授業でリアムさんのステータスを拝見した際、ステータスボードに《知の書》があることを確認した時に殆どの疑問が解消されましたよ?」
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
『嘘だろ・・・』
そんな重大な種明かしをするケイトに、今まで妙な気を使ってなるべく・・・・・・一応これでも自重していた僕は、その情報に面食らいながらも、肩の重荷をストンと降ろす。
「ですから、お若いリアムさんに妙に分別があっていくら優秀でいらしても、そのスキルを見せることで大抵の人は納得してくださるのではないでしょうか?」
そしてそんな僕の意味のなかった自重に追い打ちをかけ、トドメに入るケイト。
『つまりこれから先、Exスキル《知の書》について理解を深めていけばある程度の自重は捨てることができるというわけか・・・?』
なんという御都合主義。これならば、これからの僕の精神的負担は、グーッと減るというものである。
「この世界には不思議があふれています。そして私はその不思議な摂理を解くことが楽しくて仕方ありません。ですから、私は現象に文字や図形を使ってアプローチする魔法陣学を専門としています・・・ですから、もしリアムさんがExスキル《知の書》をお持ちでなくても、あなたは私にとって純粋な未知の研究対象・・・改め、大事な生徒です!」
ケイトは悟るような表情で、しかし徐々に恍惚としたものにその表情を変えながらも、最後には諭し落ち着いた口調に戻ったのに、また締まらなくそう語る。
『ああ・・・やっぱりこの人に質問して正解だったな』
だがそんな風に言ってくるケイトに、僕はそのケイトの優しさと気遣いに感謝する。
しかし ──
「ああ、そうそう・・・それから忠言ですがリアムさん、あなたは魔力コントロールに完全に慣れるまで、大杖は握らないほうが良いでしょう」
これからの薔薇色の展望と、ケイトへの感謝を頭に浮かべる僕を他所に、ケイトが横槍を、僕の与り知らない忠告を横から入れる。
「・・・なんでですか?」
魔力コントロールに慣れるまでは大杖は握るなと突如横槍を入れるケイトに、僕はその理由を求める。
「それはまあ、あなたの膨大な魔力に起因するのですが・・・小杖が繊細な魔法・魔力コントロールを補助するものならば、あれは単純に威力を強化するものですから」
「まずは加減を覚えてから♪」と人差し指を顔の前に立て、ケイトが上機嫌そうに意外な一面を見せて忠告をする。
・
・
・
「ははは・・・」
しかしそんなケイトへの反応に困った僕は、上手い返しも思い浮かばず、ついつい愛想笑いをする・・・・・・すると ──
「あらあら・・・どうかされましたか?・・・リアムさん?」
突然いつものクールさを通り越し、笑顔のまま黒いオーラを纏うケイト。
「な・・なんでもありません!・・・そ・・それでは、お聞きしたい内容も全て聞きましたし、僕はそろそろお暇させて戴きます!」
そんなケイトの圧力に押され、ついつい言葉を並べてその場から離れようとする僕。そして ──
「失礼しました〜!」
結局、僕は逃げるように研究室の出口で一礼し、外へと飛び出した。
「やれやれ・・・普段毅然としていると、やはりこういうのはダメですね・・・」
そんな僕の後ろ姿を見て、ボヤきながらもいたずらが成功したようにクスッと笑うケイトの表情は、どこか温かく優しかった。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
「・・・そんなことを気にしていたので?」
すると、ケイトから返ってきたのは、そんな僕の不安をも一蹴する強烈な一言であった。
「へっ・・・?」
その言葉のインパクトに、僕は思わず間抜けな声を出す。
「確かに、これまで魔道具や魔石にあなたが触れなかったのは不幸中の幸いでしたね。もし軽い気持ちで触っていたらと思うとゾッとしますが・・・」
その僕の間抜けな声を汲み取ったからだろうか・・・突然否定的な意見を述べるケイト、しかし ──
「リアムさん・・・あなた、スキルの中にExスキル《知の書》をお持ちではありませんか」
それから、ケイトは僕の持つExスキルの一つである《知の書》を話の引き合いに出す。
『・・・?』
しかし、そんなケイトの言葉の意味がわからず、 表情を浮かべる僕。
「おや?・・・その様子では《知の書》の有用性をご存知ないようですね」
それから、そんな僕の様子を察したケイトはまたまたスキルの個人授業を始める。
「Exスキル《知の書》は特殊なスキルです。このスキルを保有している者は、この国でも、王都の優秀な学生や教授、文官の方々と、学術的な分野に秀でた方達が多いのです」
「・・・・・・」
まさかの新情報であったが・・・・・・しかし、それだけでは僕のこの状態を説明するには至らないため、僕はその続きを黙って待つ。そして ──
「そのスキルの一端は、ある一定の知識を保持者にもたらすこと・・・。私も、リアムさんに初めて会ったその時は、あなたの学問的な優秀さに様々な疑問を抱えましたが、先ほどの授業でリアムさんのステータスを拝見した際、ステータスボードに《知の書》があることを確認した時に殆どの疑問が解消されましたよ?」
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
『嘘だろ・・・』
そんな重大な種明かしをするケイトに、今まで妙な気を使ってなるべく・・・・・・一応これでも自重していた僕は、その情報に面食らいながらも、肩の重荷をストンと降ろす。
「ですから、お若いリアムさんに妙に分別があっていくら優秀でいらしても、そのスキルを見せることで大抵の人は納得してくださるのではないでしょうか?」
そしてそんな僕の意味のなかった自重に追い打ちをかけ、トドメに入るケイト。
『つまりこれから先、Exスキル《知の書》について理解を深めていけばある程度の自重は捨てることができるというわけか・・・?』
なんという御都合主義。これならば、これからの僕の精神的負担は、グーッと減るというものである。
「この世界には不思議があふれています。そして私はその不思議な摂理を解くことが楽しくて仕方ありません。ですから、私は現象に文字や図形を使ってアプローチする魔法陣学を専門としています・・・ですから、もしリアムさんがExスキル《知の書》をお持ちでなくても、あなたは私にとって純粋な未知の研究対象・・・改め、大事な生徒です!」
ケイトは悟るような表情で、しかし徐々に恍惚としたものにその表情を変えながらも、最後には諭し落ち着いた口調に戻ったのに、また締まらなくそう語る。
『ああ・・・やっぱりこの人に質問して正解だったな』
だがそんな風に言ってくるケイトに、僕はそのケイトの優しさと気遣いに感謝する。
しかし ──
「ああ、そうそう・・・それから忠言ですがリアムさん、あなたは魔力コントロールに完全に慣れるまで、大杖は握らないほうが良いでしょう」
これからの薔薇色の展望と、ケイトへの感謝を頭に浮かべる僕を他所に、ケイトが横槍を、僕の与り知らない忠告を横から入れる。
「・・・なんでですか?」
魔力コントロールに慣れるまでは大杖は握るなと突如横槍を入れるケイトに、僕はその理由を求める。
「それはまあ、あなたの膨大な魔力に起因するのですが・・・小杖が繊細な魔法・魔力コントロールを補助するものならば、あれは単純に威力を強化するものですから」
「まずは加減を覚えてから♪」と人差し指を顔の前に立て、ケイトが上機嫌そうに意外な一面を見せて忠告をする。
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「ははは・・・」
しかしそんなケイトへの反応に困った僕は、上手い返しも思い浮かばず、ついつい愛想笑いをする・・・・・・すると ──
「あらあら・・・どうかされましたか?・・・リアムさん?」
突然いつものクールさを通り越し、笑顔のまま黒いオーラを纏うケイト。
「な・・なんでもありません!・・・そ・・それでは、お聞きしたい内容も全て聞きましたし、僕はそろそろお暇させて戴きます!」
そんなケイトの圧力に押され、ついつい言葉を並べてその場から離れようとする僕。そして ──
「失礼しました〜!」
結局、僕は逃げるように研究室の出口で一礼し、外へと飛び出した。
「やれやれ・・・普段毅然としていると、やはりこういうのはダメですね・・・」
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