アナザー・ワールド 〜オリジナルスキルで異世界とダンジョンを満喫します〜
24 初登校と通学路
── 今日はいよいよ初の登校日だ。
「リアム・・・これッ!」
朝食を食べ終わり、ローブを羽織ろうとした時、カリナ姉さんが何かが入った菓子折りくらいの大きさの箱を差し出してきた。
「これは・・・」
一体何が入ってるのか・・・検討がつかない。
「それがね、昨日学長先生からリアムくんに渡してほしいって頼まれたの」
そういってニコニコしているカリナ姉さん。
『なんで昨日渡さなかったんだろうか・・・・・・あ、さては勝手に中身を見たな・・・』
昨日ではなく今、この箱を渡したことをまるで間違っていない様ニコニコしているカリナ姉さんに、推察する僕。
「ありがとう、カリナ姉さん・・・」
しかしながら、この箱をカリナ姉さんがお使いしてくれたのもまた事実なので、お礼を言いながらその箱を受け取る。そして蓋を取ると・・・
── そこに入っていたのはスクールの校章がついたローブと手紙だった。
僕は箱の中に入っていたローブをテーブルに広げて置き、一緒に入っていた手紙を開く。
『公爵様からのプレゼントです。・・・やったね! ── 学長』
端的な短い文章だったが、これが公爵様からのプレゼントだということ、そしてこのプレゼントが僕に送られた理由も、プレゼントのローブを見ればその大体が理解できた。きっと、入学式の僕の締まらないダボダボローブ姿をみた公爵様が、特別に僕用の調整でこのローブを発注してくれたのだろう。
『こんな短い期間で仕立てるとは・・・ミシンみたいな機械があるのかな?それとも魔法?』
ところどころ前のローブと縫い合わせが違うのはこの短期間で出来上がる様、元々6歳用だったローブを調整したのだろうか。それでもしっかりと裁断、縫合され調整してあった。ともかく、これは僕にとってかなりありがたいプレゼントであった。既存のスクール制服が着れる様になるまでは重宝しそうだ。
── 杖ホルダーを腰につけ、新しいローブに腕を通す・・・・・・まあ、前のローブも十分新しかったのだが。
「さあ、行きましょうか!」
ローブを羽織り、準備も整った僕はカリナ姉さんが出発の合図とともに初のスクール登校を迎える。
▽      ▽      ▽      ▽
スクールまでの通学路を一緒に歩くカリナ姉さんと僕。
「これから毎日一緒に登校しましょうね!」
そう張り切って告げるカリナ姉さんに僕は『流石に毎日は無理じゃないかな・・・』と思いながらも、頬を掻きながら「うん」と答えを返す。そして、その後もしばらくカリナ姉さんと他愛ない話をしながら通学路を歩く。すると ── 
「カリナーッ!」
前方の曲がり角から手を振りカリナ姉さんを呼ぶ一人の女の子がいた。
「げッ・・・ラナ・・・・・・」
その声に気づき、声の主を確認するやいなや、カリナ姉さんはまるで嫌なものでも見たかの様に悪態をつく・・・・・・そして、こちらがラナに気づいたのを彼女も確認できた様だ。ラナは手を振りながらこちらに近づき、そして朝の挨拶をする。
「おはようカリナ・・・そしてリアムくん!」
「おはようございます」
僕はラナに挨拶を返す。しかし、挨拶をされたもう一人であるカリナ姉さんは、嫌なものから目を逸らす様に、ラナからその視線を外している。
「あれ〜、カリナ?どこか具合でも悪いの?挨拶もせずに目を逸らしちゃって・・・?」
ラナは「いつもと違うよ?」という様にカリナ姉さんに尋ねる。すると ── 
「あのね・・・!今日はリアムと初めての登校デートだから邪魔しないでって言ったでしょ!」
「え?・・・そうだったっけ?」
不満を撒き散らす様に咎めるカリナ姉さん。しかしラナはその罪に心当たりがない様に「?」を浮かべている。
「・・・!もういいわ・・・全く・・・、あんたは本当に大事な人の話だけは聞いてないんだら・・・・・・」
意外も意外・・・。これ以上は議論しても無駄と判断したのだろうか、カリナ姉さんはそこから更に咎めるわけでもなく、あっさりと引き下がった。
「えへへ〜、ごめんごめん」
そう手を合わせ笑顔で謝るラナに、カリナ姉さんは視線を横に腕を組み、片頬を少し膨らませ「まったくよッ!」と苦言を呈していた。
「あっそういえば今日はリアムくんもいたんだった・・・」
忘れていたことを思い出した様に手を「ポンッ」と合わせるラナ。
「── スクール入学おめでとう、リアムくん!こうして会うのはリアムくんの入学試験の日以来かな・・・?」
「あ・・・ありがとうございます・・・・・・」
突如思い出した様に言葉を連ねるラナ。そんなラナに、僕は反応に困る。── すると、僕の横からスッと伸びた手が、そのまま対面で話すラナの耳を引っ張る。
「本当、あんたは調子がいいわね・・・。そんな調子で今日の宿題も忘れたりしてないでしょうね・・・まったく・・・・・・」
「イデテテテッ・・・・・・あ ッ!忘れてた・・・ッ!」
「あのねぇ・・・」
そのラナの宿題忘れた宣言に、「あのねぇ」と耳を引っ張る手を緩め完全に呆れているカリナ姉さん。そして、僕はそんな2人の様子を不思議なものを見る様に口を少し開けたままボーッと見ていた。
「?・・・どうしたの?リアム?」
すると、その僕の様子にカリナ姉さんが気づいた様だ。
「いや・・・ちょっとイメージと違ったというか・・・・・・」
「イメージ?」
カリナ姉さんの質問に曖昧な返事をする僕に、更に詳細を聞こうと質問を返すカリナ姉さん。
「カリナ姉さんもそうなんだけど・・・ええっと、ほらッ・・・ラナさん?って僕が入学試験を受けた時も勘違いだったとはいえ、一応先生に試験官を任せられていたわけだし・・・・・・。それに、入学式のときだって箱を落としたカリナ姉さんを注意してるみたいだったから・・・その・・・真面目な人なのかな・・・と・・・・・・」
『カリナ姉さんにこんな一面があったのも意外だけど・・・。確かに入学試験の時も勘違いとはいえ先生に試験官を任せられたぐらいだししっかり者とは言わずとも真面目な人なのかと・・・・・・いや、でもよく考えると試験監督中に結構面白い動きをしていた気が・・・・・・!』
僕は言葉に出す今まで抱いていたイメージと頭の中で記憶をすり合わせる様に検証し、そういえば記憶が必ずしもイメージどうりではなかったことを思い出す。
「え?・・・そう?イヤ〜、照れるな〜」
「はぁー・・・」
僕の発言に照れるラナとため息をつくカリナ姉さん。すると、カリナ姉さんが仕方のない子供を見る様な目でラナを見ながら、彼女の本性を話してくれる。
「この子・・・かなりのおっちょこちょいよ?・・・ ── それに、リアムが入学試験を受けた時ラナが試験官をしたのだってね、その時この子は補講の最中で、アラン先生にその一環で手伝いをさせられていただけなのよ・・・・・・」
普段優しいカリナ姉さんが冷たい。そう語るカリナ姉さんの声はいつもより呆れたものだった・・・。
「てへっ」
そんなカリナ姉さんの冷たい評価に、ラナは舌を出しておどけてみせる。
「バチンッ」
「アテッ」
すると、突然ラナの額にデコピンをかますカリナ姉さん。ラナはそのデコピンに鈍い音をさせた額を押さえながらも、目で不満を訴えている・・・・・・そして ──
「さ、リアム・・・・・・こんなバカは放っておいて行きましょ!」
カリナ姉さんに手を取られ引っ張られる僕は『先入観に頼りすぎてはいけないな』と、改めて物事に疑問を絶やさず接する大切さを再確認した。
「リアム・・・これッ!」
朝食を食べ終わり、ローブを羽織ろうとした時、カリナ姉さんが何かが入った菓子折りくらいの大きさの箱を差し出してきた。
「これは・・・」
一体何が入ってるのか・・・検討がつかない。
「それがね、昨日学長先生からリアムくんに渡してほしいって頼まれたの」
そういってニコニコしているカリナ姉さん。
『なんで昨日渡さなかったんだろうか・・・・・・あ、さては勝手に中身を見たな・・・』
昨日ではなく今、この箱を渡したことをまるで間違っていない様ニコニコしているカリナ姉さんに、推察する僕。
「ありがとう、カリナ姉さん・・・」
しかしながら、この箱をカリナ姉さんがお使いしてくれたのもまた事実なので、お礼を言いながらその箱を受け取る。そして蓋を取ると・・・
── そこに入っていたのはスクールの校章がついたローブと手紙だった。
僕は箱の中に入っていたローブをテーブルに広げて置き、一緒に入っていた手紙を開く。
『公爵様からのプレゼントです。・・・やったね! ── 学長』
端的な短い文章だったが、これが公爵様からのプレゼントだということ、そしてこのプレゼントが僕に送られた理由も、プレゼントのローブを見ればその大体が理解できた。きっと、入学式の僕の締まらないダボダボローブ姿をみた公爵様が、特別に僕用の調整でこのローブを発注してくれたのだろう。
『こんな短い期間で仕立てるとは・・・ミシンみたいな機械があるのかな?それとも魔法?』
ところどころ前のローブと縫い合わせが違うのはこの短期間で出来上がる様、元々6歳用だったローブを調整したのだろうか。それでもしっかりと裁断、縫合され調整してあった。ともかく、これは僕にとってかなりありがたいプレゼントであった。既存のスクール制服が着れる様になるまでは重宝しそうだ。
── 杖ホルダーを腰につけ、新しいローブに腕を通す・・・・・・まあ、前のローブも十分新しかったのだが。
「さあ、行きましょうか!」
ローブを羽織り、準備も整った僕はカリナ姉さんが出発の合図とともに初のスクール登校を迎える。
▽      ▽      ▽      ▽
スクールまでの通学路を一緒に歩くカリナ姉さんと僕。
「これから毎日一緒に登校しましょうね!」
そう張り切って告げるカリナ姉さんに僕は『流石に毎日は無理じゃないかな・・・』と思いながらも、頬を掻きながら「うん」と答えを返す。そして、その後もしばらくカリナ姉さんと他愛ない話をしながら通学路を歩く。すると ── 
「カリナーッ!」
前方の曲がり角から手を振りカリナ姉さんを呼ぶ一人の女の子がいた。
「げッ・・・ラナ・・・・・・」
その声に気づき、声の主を確認するやいなや、カリナ姉さんはまるで嫌なものでも見たかの様に悪態をつく・・・・・・そして、こちらがラナに気づいたのを彼女も確認できた様だ。ラナは手を振りながらこちらに近づき、そして朝の挨拶をする。
「おはようカリナ・・・そしてリアムくん!」
「おはようございます」
僕はラナに挨拶を返す。しかし、挨拶をされたもう一人であるカリナ姉さんは、嫌なものから目を逸らす様に、ラナからその視線を外している。
「あれ〜、カリナ?どこか具合でも悪いの?挨拶もせずに目を逸らしちゃって・・・?」
ラナは「いつもと違うよ?」という様にカリナ姉さんに尋ねる。すると ── 
「あのね・・・!今日はリアムと初めての登校デートだから邪魔しないでって言ったでしょ!」
「え?・・・そうだったっけ?」
不満を撒き散らす様に咎めるカリナ姉さん。しかしラナはその罪に心当たりがない様に「?」を浮かべている。
「・・・!もういいわ・・・全く・・・、あんたは本当に大事な人の話だけは聞いてないんだら・・・・・・」
意外も意外・・・。これ以上は議論しても無駄と判断したのだろうか、カリナ姉さんはそこから更に咎めるわけでもなく、あっさりと引き下がった。
「えへへ〜、ごめんごめん」
そう手を合わせ笑顔で謝るラナに、カリナ姉さんは視線を横に腕を組み、片頬を少し膨らませ「まったくよッ!」と苦言を呈していた。
「あっそういえば今日はリアムくんもいたんだった・・・」
忘れていたことを思い出した様に手を「ポンッ」と合わせるラナ。
「── スクール入学おめでとう、リアムくん!こうして会うのはリアムくんの入学試験の日以来かな・・・?」
「あ・・・ありがとうございます・・・・・・」
突如思い出した様に言葉を連ねるラナ。そんなラナに、僕は反応に困る。── すると、僕の横からスッと伸びた手が、そのまま対面で話すラナの耳を引っ張る。
「本当、あんたは調子がいいわね・・・。そんな調子で今日の宿題も忘れたりしてないでしょうね・・・まったく・・・・・・」
「イデテテテッ・・・・・・あ ッ!忘れてた・・・ッ!」
「あのねぇ・・・」
そのラナの宿題忘れた宣言に、「あのねぇ」と耳を引っ張る手を緩め完全に呆れているカリナ姉さん。そして、僕はそんな2人の様子を不思議なものを見る様に口を少し開けたままボーッと見ていた。
「?・・・どうしたの?リアム?」
すると、その僕の様子にカリナ姉さんが気づいた様だ。
「いや・・・ちょっとイメージと違ったというか・・・・・・」
「イメージ?」
カリナ姉さんの質問に曖昧な返事をする僕に、更に詳細を聞こうと質問を返すカリナ姉さん。
「カリナ姉さんもそうなんだけど・・・ええっと、ほらッ・・・ラナさん?って僕が入学試験を受けた時も勘違いだったとはいえ、一応先生に試験官を任せられていたわけだし・・・・・・。それに、入学式のときだって箱を落としたカリナ姉さんを注意してるみたいだったから・・・その・・・真面目な人なのかな・・・と・・・・・・」
『カリナ姉さんにこんな一面があったのも意外だけど・・・。確かに入学試験の時も勘違いとはいえ先生に試験官を任せられたぐらいだししっかり者とは言わずとも真面目な人なのかと・・・・・・いや、でもよく考えると試験監督中に結構面白い動きをしていた気が・・・・・・!』
僕は言葉に出す今まで抱いていたイメージと頭の中で記憶をすり合わせる様に検証し、そういえば記憶が必ずしもイメージどうりではなかったことを思い出す。
「え?・・・そう?イヤ〜、照れるな〜」
「はぁー・・・」
僕の発言に照れるラナとため息をつくカリナ姉さん。すると、カリナ姉さんが仕方のない子供を見る様な目でラナを見ながら、彼女の本性を話してくれる。
「この子・・・かなりのおっちょこちょいよ?・・・ ── それに、リアムが入学試験を受けた時ラナが試験官をしたのだってね、その時この子は補講の最中で、アラン先生にその一環で手伝いをさせられていただけなのよ・・・・・・」
普段優しいカリナ姉さんが冷たい。そう語るカリナ姉さんの声はいつもより呆れたものだった・・・。
「てへっ」
そんなカリナ姉さんの冷たい評価に、ラナは舌を出しておどけてみせる。
「バチンッ」
「アテッ」
すると、突然ラナの額にデコピンをかますカリナ姉さん。ラナはそのデコピンに鈍い音をさせた額を押さえながらも、目で不満を訴えている・・・・・・そして ──
「さ、リアム・・・・・・こんなバカは放っておいて行きましょ!」
カリナ姉さんに手を取られ引っ張られる僕は『先入観に頼りすぎてはいけないな』と、改めて物事に疑問を絶やさず接する大切さを再確認した。
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