VRゲームでも身体は動かしたくない。

姫野佑

<従業員の一日 フラン編>

 皆様おはようございます。
 『セーラム』従業員のフランと申します。
 ラビちゃんが自分の一日を書いたそうなので、私も書いてみようと思います。

 私の起床時間は午前6時、ちょうどラビちゃんが仕事を始める時間ですね。
 私は朝起きてから、すぐに晩御飯の材料を買うために外に出ます。
 今日の晩御飯は何にしようかな?
 そう考えながら、商店を回るのがたまらなく好きです。
 今日はお肉が安いのでチェリーに教えてもらったハンバーガーというものを作ろうかな。
 ハンバーガーは確か小麦から作るパンで肉を挟む、片手で食べられるおいしい物だったと記憶しています。
 小麦の在庫は本店のキッチンにあったはずなので、それ以外の材料を買い込みます。
 それと少なくなっていた紅茶の茶葉を買い、アクセサリーや、洋服を眺めてから部屋に帰ります。
 一通りの荷物を整理し、キッチンへ降りるといつもハンナちゃん、カンナちゃんがラビちゃんの作ったご飯を食べている時間になります。大体7時ちょっとすぎですね。

 「おつかれさま」
 そうキッチンで二人に話しかけます。
 「おつかれさまですー」
 「おつかれさまー」
 食べている手を止め、返事をくれます。
 もう二人もここでの仕事に慣れたようで、空いた時間を有効活用しているようです。
 ハンナちゃんは【称号】を取るための勉強、カンナちゃんはお菓子の研究と意外とアクティブな二人です。
 簡易的な朝ごはんを作り、もうじき食べ終わるハンナちゃん、カンナちゃんと話ながら食べます。
 「お店どうだった?」
 「お客さんは少なかったですねー」
 「閑古鳥」
 「いつも通りだね。でも売り上げはなぜかプラスになるんだよね」
 「不思議です」
 お店の話を聞き、最近はやっている物などの情報を交換し、食べ終わったハンナちゃん、カンナちゃんを見送ります。
 
 私も食べ終え、一度部屋に戻り、支度をはじめます。
 いつも通りの従業員服に袖を通し、髪を結びます。
 そうすると従業員としてのスイッチが入るようで、気合もたっぷり充填されます。
 「よっし!」
 そういい、階段で1階まで降ります。
 エレベーターを使ってもよいのですが、あの外の世界の便利品に慣れてしまうと、あまり言いたくはないのですが、チェリーみたくなってしまいそうなので、必要最低限の使用にとどめています。
 いつかは、外の世界にも行ってみたいものですね。

 「おはようございます」
 「おはようございます」
 そう挨拶すると、ラビちゃんから返事があります。
 手元にある道具を見ると、雑貨を作っている用ですね。たぶんお財布かな?
 「今日は、お財布作ってるの?」
 「そうだよー!」
 「いいものができるといいね」
 「うん!」
 ラビちゃんは空き時間にこうして雑貨を作り、市場やお店の陳列棚の並べ販売しているようです。
 「売上とか確認するね」
 そう言ってカウンターに置いてある書類を手に取り、一通り目を通します。
 
 そうして前日の売り上げと深夜帯の売り上げを確認しているとポテトちゃんがエレベーターで降りてきます。
 「おはようございます」
 そう挨拶されたので返します。
 「「おはようございます」」
 ラビちゃんとともに挨拶を返し、市場関係の書類をまとめてカウンターに置きます。
 「市場の確認をさせていただいてもよろしいですか?」
 「はい。どうぞ」
 そう答え、ポテトちゃんに市場の書類を渡します。一通り見た後に、ポーション類の棚をチェックし分店に向かっていきました。
 
 「案内所いってくるねー!」
 そうラビちゃんが言い、案内所に向かっていきました。
 ここからラビちゃんが帰って来るまで一人でお店を守ります。
 ですがそこまでお客さんも来ないので、床掃除や、裏の整備をします。
 チェリーはあまりつかっていないようですが、私達従業員がほどほどに使っているので毎日掃除しておかないと、汚れがたまってしまうのです。
 そして裏の掃除を終えたあと、その掃除道具を持って地下室まで行きます。
 地下室にいても来店があった際はベルの音が鳴り、すぐ戻れるようになっています。この辺りはチェリーの知恵ですね。

 一通り、掃除を終える、カウンターに戻り、制作中の革ポーチを作り始めます。
 この革のポーチが完成したら、レシピ化して量産し、小さめの持ち運び倉庫を入れたら可愛いと思うのでみんなに渡したいな。

 少し制作しているとラビが帰ってきます。
 「ただいまー!」
 「おかえりー」
 「お客さん来た?」
 「ちらほらとねー。今日はあまり来ないかもしれないね」
 「そっかーじゃぁお菓子でも食べながら雑貨づくりがんばろー!」
 「私はいま革のポーチを作ってるからそれを完成させたいな」
 「いいねー!」
 そう会話をし、制作をすすめます。
 もうじきラビちゃんが休憩の時間なのでそれまで二人で黙々と作っていきます。
 12時になり、ラビちゃんに休憩の指示を出します。
 「ラビちゃん休憩どうぞー」
 「はーい。いってきますー」
 制作途中の雑貨を倉庫にしまい、店を出ていきます。
 今日も『セーラムツー』に食べにいくのかな?
 私は休憩時間にお店のキッチンで作るので、あまり食べに行ったことがないんですよね。
 ではラビちゃんが帰って来るまで、小物を作りつつ、たまに来るお客さんの接客をします。

 そうしてラビちゃんが休憩戻ってきたので15時の休憩まで一緒に制作をします。
 
 15時になったので休憩に行きます。
 「休憩行ってくるね」
 「はーい。いってらっしゃーい!」
 キッチンに入り、お茶と軽めのご飯、そしてカンナちゃんが買ってきたお菓子を出し、食べながら一息つきます。
 お店くるお客さんとラビちゃんの会話を聞きつつ食べるのが日課ようになってしまい、他のところに食べに行く気になれないんですよね。
 
 そして休憩を終え、売り場に戻ると、ラビちゃんが作った引継ぎ用の書類を確認します。
 問題はないようですね。
 15時45分になるとシドニーちゃんが出勤してきます。
 「おはようございます」
 「「おはようございます」」
 「これ引継ぎの書類!」
 「ありがとー」
 ラビちゃんが出勤してきたシドニーちゃんに書類を渡し、部屋に帰っていきました。
 ラビちゃんが仕事終わりに何をしているのか気になります。

 この先の時間はちょくちょくお客さんも増えてくるので、雑貨の制作はあまりできません。
 いつもシドニーちゃんと陳列棚の掃除をしつつ、会話をしていますね。
 ご飯を提供するお店ですと18時くらいから混むんですが、道具を売っている私のお店は意外と混まないんです。
 なので私は18時に仕事が終わります。
 
 「もうじき18時よー」
 そうシドニーが言うので時計を確認すると17時45分になっていました。
 「じゃぁこれで上がるね。休憩の時食べれるようにご飯作っておいたから」
 「ありがとー」
 そう伝え、部屋に戻ります。

 とりあえず仕事が終わったらご飯を食べてお風呂に入り、買い物に出かけます。
 これが私の一日になります。
                                      <従業員の一日 フラン編>

コメント

コメントを書く

「SF」の人気作品

書籍化作品