VRゲームでも身体は動かしたくない。

姫野佑

第2章最終幕 免罪<acquittal>

 『花の都 ヴァンヘイデン』の『セーラム』に愛猫姫を連れ戻ってきました。
 「俺はここで失礼するっす」
 「ありがとね」
 「いいっすよー。何かあったらチャットで教えてくださいっす」
 「わかった」

 そしてホームの扉を開け中へ愛猫姫を誘導します。
 「少しごちゃごちゃしてますけど気にしないでください」
 「ありがと」
 「フラン。この方を地下室までご案内して」
 「わかったー」
 こちらでございます。そう言いながら、フランは愛猫姫を連れて地下へ降りていきます。
 「無理言っちゃってごめんね」
 ラビに話しかけます。
 「気にしなくて大丈夫! お父様も会いたいて言ってた」
 「そっか。詳しいことはジュンヤから聞いてもらえるかな?」
 「俺かよ!」
 「たのんだ」
 「まぁ仕方ねぇ。つまりだ……」
 そうジュンヤが話し出すのを聞き、私も地下へ降ります。
 もちろんエレベーターで。
 「お待たせしました」
 「平気よ」
 私も席に座り、お茶を飲みます。
 「やはりフランが淹れた紅茶はおいしいね」
 「ありがとうございます」
 愛猫姫がいるからか随分丁寧な対応をしていますね。
 「フラン、っていうの? いい名前だわ」
 「光栄です」
 「かわいいわね」
 「マオ。国王様に直接会って、自分の知ってること……ないかもしれないけどちゃんと話せますか?」
 「えぇ。できる、わ。でも、その前に」
 そう呟きながらメニューを操作し、ギルド画面を呼び出しているようです。
 「もう、こんなギルド、怖いわ。どうやったら、いいの?」
 ギルドの脱退方法でしょうか。
 「脱退方法のことですか?」
 「そう、かしら?」
 「それならギルドメニューの一番下に、ギルドマスター委任、副マスター任命、脱退、解散の4つがあります」
 「あるわね」
 「ギルドマスターは所属メンバーがいる場合、脱退と解散が押せない仕様なので、まずギルドマスターを委任してください」
 「それなら……ジルで、いいかしら」
 「どなたでも大丈夫ですよ」
 「なら、ジルにするわ」
 ポフっとボタンをタップすると愛猫姫が一瞬光ります。
 「これで、いいの?」
 「はい。大丈夫です」
 「どうするの?」
 「次は、ギルド脱退ボタンをタップしてください」
 「こう、ね」
 またもポフっと押し、警告ウィンドウがでます。
 「なぁに?」
 「それは警告ウィンドウですね。脱退したギルドには1ヶ月入れないということです」
 「なら、いいわ」
 そのままボタンを押し、ギルドからの脱退を済ませます。
 愛猫姫がギルドを抜けたことに気付かない人が居て、攻撃されたら危険ですね。私の戦争許可バッジでも渡しておきましょうか。
 「これを身に着けておいてください」
 「戦争バッジね。初めて、見たわ」
 ジルファリ……戦争バッジすら渡していなかったのか。まぁデスペナルティーにならないことを知っていたからかもしれませんね。
 「これで準備は大丈夫ですかね」
 「他に、なにか、しておくこと、あるの?」
 「現時点ではないですね。アポイントの時間までこちらでゆっくり過ごしてください」
 「ありがと」
 そう言い、紅茶に口を付け、『セーラムツー』で作り置きしてもらっているお菓子を口に運んでいます。
 「おいしいわ」
 「ありがとうございます。うちの分店のほうでカフェ&レストランを営んでおりまして、そちらで出しているお菓子です」
 「そう」
 「何かあったらフランに言ってください。私も少し準備してきますね」
 「わかったわ」
 
 愛猫姫のいる地下室から出て、エレベーターで4階に行き、倉庫からお金を取り出します。
 そしてそのまま1階へ降りると、ちょうど店から出ていくジュンヤが見えました。
 「俺もちょっと準備してくるわ」
 「りょうかい」
 ジュンヤと別れ、ファーナのお店へ向かいます。

 チリリンとベルを鳴らしつつ、扉を開け、入ります。
 「チェリー。いらっしゃい」
 「こんにちは。えっと、正装っぽく見えるメイド服ってないかな?」
 「うーん。これならどう?」
 超高級そうな材質のメイド服を見せてくれます。
 可愛い。
 「これでエプロンを外せば結構正装っぽいかな?」
 「ちょっと着てみていい?」
 「いいよ。もともとチェリーサイズで作ってあって、他の人が買うようならリサイズしようとおもってたからね」
 「そっか」
 すぐに試着し、ファーナに確認してもらいます。
 「うん。大丈夫そう。ちょっとうちの女の子たちにも確認させるね」
 そう言い、手をパンパンと叩き従業員を集めます。
 「チェリーの服どう? 正装に見える?」
 「問題ないと思うです」
 「いいんじゃにゃい?」
 「いいと思われー!」
 クール系高身長メイドさん、低身長猫耳メイドさん、低身長活発メイドさんが順に答えてくれました。
 「だってさチェリー。どうする? 買ってく?」
 「では購入させてもらいますね」
 そう言って試着を解き、品物をファーナに渡します。
 「じゃぁ代金は200万金ね」
 「安っ!」
 「十分高い方だよ。賭け麻雀で金銭感覚壊れてるんじゃない?」
 「ひどい……」
 「たはー! それはこっちか!」
 あははーと笑いながら商品を渡してくれます。
 「あっそうそう」
 「ん?」
 「いま新作作ってるんだけど、完成したら着てもらってもいい?」
 「お安い御用だよ」
 「たすかるー! うちの子達は確かに可愛いけど、チェリーほど素晴らしいモデルはいないからね」
 「褒めても何も出ないよ」
 「嘘つけー。出るんだろー? こ・こ・か・ら」
 そう言ってファーナは私の小銭が入っているお財布をツンツンします。
 「くっ。これでお菓子でも食べに来て」
 『セーラムツー』の無料券を進呈します。
 「さっすがぁー!」
 「ふぅー。じゃぁ私はもどるね」
 「うん。またきてねー」
 「またくるね」
 私はファーナの店を出、ホームへ帰ります。
 その途中でハリリンからメッセが来ていたので歩きながら返事します。
 
 『現時点で国王様はもう味方になるのをきめてるっぽいっす。でも一部の有力者たちが大反対してるっす。もしかしたら面倒なことになるかもしれないっすよ?』
 『私ができることならうまくやるよ』
 『監視を付けるとかなったらより面倒っすから、チェリーが監視するとか言ってギルド入れちゃってくださいっす。ジュンヤもそれでいいっていってるっす』
 『わかった』
 『じゃぁ俺は影ながら護衛させていただくっすね』
 『助かる』

 そうチャットしながらホームへ帰って来ると、愛猫姫が商品を眺めていました。
 すこしびっくりしつつも話しかけます。
 「何かいいものありましたか?」
 「みてる、だけ。でもどれも、いいものね」
 「ありがとうございます」
 「これなんか、すごく、いい」
 そう言って彫刻の入った刀を手に取ります。
 「欲しいわ」
 「それはもう使わない物ですし、差し上げますよ」
 「それは、悪いわ。お代は出すの」
 「ではお代はいりません。国王様との話が終わったら一杯おごってもらえますか?」
 「そんなこと、でいいの?」
 「はい」
 「とっても、優しいのね。チェリー」
 あぅっ。こんな美人に名前を呼ばれると心臓が……。
 バクバクと鳴き始める心臓をなだめ、手続きをします。
 「終わりました」
 「ありがと。こういう、細工のある、武器は好きなの」
 「可愛いですよね。普段は何の武器を使っているんですか?」
 「普段……? あまり、戦ったことないから、わからないわ。でもしいて、言えば、扇子かしら?」
 扇子ですか。
 「では扇子で今度うちの職人に作ってもらいましょうか」
 「いいの?」
 心なしか顔が明るくなりましたね。
 美人度2倍です。
 「はい」

 店の商品を眺める愛猫姫と片っ端から説明をする私という謎の構図が成立してから1時間ほどするとラビから「時間だよ!」と声がかかりました。
 「ラビありがと」
 「いいよー! ところで私も行くんだよね?」
 「えっ? こないの?」
 「いくー! すぐに着替えるね」
 「うん」
 数分でラビが着替え、降りて来たのでいよいよ出発します。

 「マオ。準備はいいですか?」
 「いいわ」
 「ラビは?」
 「もちろんおーけいだよ!」
 「≪ディメンション・ゲート≫」
 
 『騎士国家 ヨルデン』に到着しました。
 「ここが、『ヨルデン』、なのね」
 「初めてきたんですか?」
 「そうね、初めてに、なるわね」
 「観光にすぐ行けなくてごめんなさい」
 「いいの。それよりも、やることがある、でしょう?」
 「その通りです」
 「いくわ」
 「じゃぁラビ案内よろしくね」

 ラビの案内で城に向かって歩いているとジュンヤからチャットがきます。

 『お前ら今どこ?』
 『えっ? 『ヨルデン』だよ』
 『はっ? 置いてくなよ!』
 
 あっ!

 『ごめん。完全に忘れてた』
 『ったくしょうがねぇな。転送屋使っていくから城の前で待ち合わせな』
 『わかった』

 「ごめん。ジュンヤ置いてきちゃったみたいで。お城の前で待ち合わせすることになった」
 「わかった!」
 
 数分歩き、お城が見えてきます。
 「豪華な、お城なのね」
 「一国の主が住まうわけですからこのくらいでないといけないんでしょうね」
 「マオの、前のおうちは、ここまで広く、なかったもん」
 すねた顔もちょっと、いや、かなり可愛いですね。ごちそうさまです。
 
 門の前で胡坐を掻いているジュンヤを見つけ声を掛けます。
 「ごっめーん。まったー?」
 「いや。俺も今来たとこ……ってそうじゃねぇだろ! 置いてくのはさすがにひどくねぇ?」
 「悪気はなかったから」
 「あとで酒奢れや」
 「うーっす」
 
 門をくぐり、恒例の敷地内馬車に乗り、大きな扉までやってきました。
 「おかえりなさいませ。お嬢様、チェリー様。愛猫姫様、ジュンヤ様ようこそおいで下さいました。ではご案内させていただきます」
 そう執事が出迎え、言われるがまま案内されます。
 「ではお時間になりましたらお呼びに参りますので、こちらでごゆっくりお過ごしくださいませ」
 そう大きな客室に通されます。
 「あら。ベルがあるのね」
 チリリンリン。
 すぐに愛猫姫がベルを鳴らします。
 「如何されましたでしょうか」
 扉の外からメイドの声が聞こえてきます。
 「ベルがあったから、鳴らしてみたの」
 「左様でございますか。御用がございましたらベルを鳴らして私共にお教えくださいませ。御紅茶の準備致しますか?」
 「お願い、するわ」
 「かしこまりました。失礼いたします」
 そう言い、扉を開け、部屋の前で一礼し入室してきました。
 いつみても丁寧ですね。どういう教育したらこのレベルになるんだろう。
 あっ! この娘見覚えある!
 そう私が考えている間にテキパキと紅茶を準備し、目の前に置いてくれます。
 「では私はこれで失礼いたします」
 退室しようとしている彼女をすぐに引き留め、話しかけます。
 「あっまって! あなたこの間私の髪洗ってくれた娘でしょう?」
 「覚えておいででしたか。拙い点もあったでしょうが、お許しください」
 「いえいえ。そんなこと!」
 私が両手を前に突き出して、首とともにブンブン振っていると、クスクスと笑い声が聞こえてきます。
 「チェリー。貴女、面白いわ。別のゲームを遊んでる、みたいね」
 「別ゲーは言いすぎだと思う」
 「そんなこと、ないわ。今まで、こんな楽しいと思わなかったの」
 「そっか。これからもっと楽しいことあるといいね」
 「そう……ね」
  
 「これいくらくらいすんだろうなー」
 とつぶやくジュンヤにラビがこっそり金額を教えます。
 「はぁっ!? やべぇ……金を……飲んでいるのか俺は……」
 なんか困惑してますね。
 
 「ラビエル様。お召物の準備ができてございます」
 「わかりましたわ。すぐ参ります。ちょっといってくるね!」
 そう言ってラビが出ていきます。
 「なぁ? あのこチェリーんとこの従業員だよなぁ?」
 「そうだけど?」
 「やけに丁重にあつかわれてね?」
 「そりゃ……」
 おっとラビの素性は秘密でしたっけ……。あっでもどうせばれるのか……。
 なら言わないで、国王様の前でひっくり返ってもらいましょうか。
 「そりゃ、大事なお客様だからだよ」
 「そういうもんかねぇ」
 「そういう、もの、なのよ」
 締めのセリフを愛猫姫が持っていきました。
 愛猫姫と話していて思ったんですが、表裏がないんですよね。言葉が素直だし、最初からこの為人を知っていたら、あの戦争も別の結果に……。いや、戦争前に知り合えていたら……。そう考えてしまいます。

 ジュンヤの失敗談で盛り上がり、ある程度時間が経った頃、迎えがやってきました。
 「ご歓談中、申し訳ございません。お時間ですので迎えに参りました」
 扉の外からそう聞こえてきます。
 「じゃぁ行こうか」
 「いくわ」
 「っと俺もNPCとは言え国王だもんな。ちゃんとした服きとかねーと」
 ジュンヤはいつもの袴に半裸ジャケットという変態スタイルから、高級スーツを着た就活生に変身しました。
 「就活生じゃん」
 「うるせー」

 私達3人は執事に連れられ、謁見の間に向かって歩いています。
 「そういや、ラビちゃんだっけか? あの娘はどこいったんだ?」
 「先についてると思うよ」
 「そーかい」

 そして謁見の間、扉の前に到着します。
 ゴクリ。
 誰の喉から発せられた音なのかはわかりませんが、緊張感で私も心臓が爆発寸前ですね。
 「扉を開けよ!」
 「はっ!」

 そう重厚な扉の向こうから聞こえ、ギギッと音を立て、扉が開きます。
 私達三人は俯きながら歩を進め、既定の位置まで到着し、跪きます。
 「面をあげよ」
 スッと顔を上げ、国王様の顔を再び拝見します。
 「なーんてな! ガハハハ! 堅苦しいのは嫌いじゃ いつも通りでよいぞ!」
 「陛下!」
 「よいではないか!」
 あっそのセリフって悪代官がよく使うやつだ!
 「ふむ。見たところたしかに重罪人には見えんな」
 「だって、マオ、悪くない、もん」
 ボソっと愛猫姫が呟きました。
 私の背中から滝のような汗が溢れます。
 「こ……国王陛下! チェリーでございます」
 「覚えておるぞ! うむやはり美し」
 「陛下?」
 となりに座っていた国王夫人のカロンティアが声を発し、部屋の温度が数度下がりました。
 「おっほん! それで話とはなんだ?」
 真面目にしてももう遅いですよ国王陛下……。
 「はい。恐れながら申し上げます。こちらにいらっしゃる、愛猫姫は先日の国家侵略及び市人民総殺害、戦争等の主犯として手配されておりました」
 「無論存じておる」
 「しかし、我々が討伐に出向いた際、少し言葉を交わしたのですが、主犯格と断定するには至りませんでした」
 「続けよ」
 「はっ。独自に調査したところギルド『猫姫王国』の事実上のトップ、ジルファリなるプレイヤーが主犯であるという結果に至りました」
 「ふむ」
 「現に彼女は重罪判定を受けておらず、ペナルティーからも即刻復帰いたしました」
 「ほう」
 「我々は、愛猫姫の無罪を主張致します」
 「わかった。元老会の方でも審議しよう」
 「感涙の極みでございます」
 「よい。あと……敬語やめてくれんかのぅ?」
 「流石にそれは……」
 「……しかたない。愛猫姫とやら」
 「なぁに?」
 「肝が据わっておるな……。主犯ではないのは確かであろう。だが、お主が指示をだし、自らの手を汚さずに事を起こしたと考えられるが?」
 「そう、ね。そう言われても、仕方ないとは思うわ。でも本当に、知らなかったの」
 「……。ふむ。アレを」
 すっっと現れた執事が国王様に巻物を一つ手渡します。
 「やはり、報告通りだな」
 「お父様。私も主犯ではない、と考えております」
 「ラビエル。それはなぜだ?」
 「はい。彼女からは悪意というものが感じられないのです。些か根拠に欠けますが、私が思うすべてを述べさせていただきました。」
 ラビがそれにですね、と付け加えます。
 「それほどの悪人でしたらチェリー様が許し、庇うとお思いですか?」
 「一理ある。最も説得力という意味では最上級だな」
 この家族私にどんな印象持ってるんだ?
 「旦那様、私からもよろしいですか?」
 「申せ」
 「悪意を探知する結界が貼ってあるのは知っていますよね?」
 「無論だ」
 「それに彼女はかからなかったのです」
 そうカロンティアが言うと、謁見の間に居た他の人も困惑の声をあげます。
 「ならば良いな。我々『ヨルダン』は愛猫姫を無罪と証明する。この旨を他国へ伝え、認識を共通化せよ」
 「おまちください国王様!」
 そうひょろ長い眼鏡の男性が飛び出してきます。
 「このまま無罪放免というのは虫が良すぎます! いくら自分で行っていないとはいえ、これほどの重罪を犯したギルドを統括していた身。責任はあるはずでございます」
 「お前の言うことはもっともである。それについては判断に困っているのだ」
 「で、でしたら……」
 ジュンヤが発言をします。さっきまでカチコチで空気になっていたようですがやっと回復したようですね。
 「なんだ? 申せ」
 「あっはい。ワタクシのギルド『虎の子』で責任を負いたいと思います」
 「どう責任を取るのだ?」
 「それは……」
 言い淀んだジュンヤに代わり私が続きを述べます。
 「今後、この世界に対し愛猫姫が重罪となるような行為を働いた場合、私達『虎の子』は解散し、全ての国家から重罪判定をうけてもよい、そう考えております」
 「…………」
 すこし驚いた顔をする国王様でしたがすぐにニタッと笑みを零し、大声で言います。
 「ガーッハッハッハ! チェリー殿! いい覚悟であった! よく言ったぞ!」
 えっ? 何か喜ばれてる……。
 「全国家に通達。『猫姫王国』事件の主犯はジルファリであり、一切、愛猫姫は加担していなかった。そう伝え、共有せよ」
 急に慌ただしくなる室内に再び国王の声が響きます。
 「元より、重罪判定されていなかったということはそういうことだったのであろう。そこでだ、愛猫姫と言ったか、この国に住むつもりはあるか?」
 「ないわ」
 「ガーッハハ! そうであろうな! ならばあとのことはチェリー殿、貴殿に任せるとしよう。何か困ったことがあったら申せ。必ず力になろうぞ」
 「ありがとうございます」
 「ワシが気に入った娘なだけはある」
 やっぱ気に入られてた……。

 『【称号】【仙姿】を獲得しました。』
 
 は? 意味が分からない。
 そういい国王様は謁見の間から退場し、私達と奥様、ラビ、数人の文官が残されます。
 「チェリーさん」
 「カロンティアさん。どうされました?」
 「いえ、大したことではないのですが……」
 「はい」
 「こんなうわさを耳にしたのでお伝えしようと思いまして……」

 その話を聞いた私は……ジュンヤとラビに愛猫姫を任せ、一目散にハリリンのもとへ≪テレポート≫しました。
                                      <第2章完>

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