破壊の創造士

ノンレム睡眠

007:冒険者として

 ラッキー主人公的展開もなく無事朝を迎えた俺と、それにもかかわらず赤面顔のミリアはギルドへ向かっていた。
昨日は寝ぼけていたとはいえ、俺を同じベッドに誘ったことが相当恥ずかしいらしい。


「ここか。」


会話一つなく目の前に指定された建物を迎えてる。それは三階建ての木造建築で、ところどころ腐食が見られる。
しかし作りはしっかりとしており物々しい雰囲気を醸し出している。


「入るか」


「うん」


 扉を開けると、朝早いにもかかわらずギルド内は騒がしかった。
賭け事をしているもの、掲示板に目を通しているもの、飲んだくれているもの。人それぞれだった。
すると、一人の女性が俺にかけよ寄ってきた。


「リューク様に、ミリア様ですね?ギルド長からうかがっております。受付はあちらになります。」


女性がそう言うと、即座に周りの視線が俺たちに向けられた。ミリアはいやそうに俺の影へと隠れた。


「あいつが特別急進の新人か。なかなか幼い顔をしているな。」


「飛び級でCランクに昇格した奴か。いけすかねえ、俺らが何年かかってたどり着いたと思ってんだ。」


「それに三つ名持ちみたいだぜ。どうせ貴族のボンボンが大金を払って昇格したんだろ。」


周りから散々な話し声が聞こえてくる。結構噂になっているんだな、、、。・・・あとあと怖い。
 ところで、話しかけてきた彼女はギルド嬢のニームルというハーフエルフで、俺たちの担当を受け持つようにギルド長から申し付けられたそうだ。


「それでは、ギルドの説明を始めます。」


受付の前に立った俺たちに説明を始めた。


「まずリチエスタについてです。リチエスタとは依頼のことです。難易度別に、ギルド内にあるボードに掲示されます。それは市民のささやかな頼みであったり、時には国からの指令だったりします。ギルドは基本的には国の干渉を受けない機関ではありますが、国が魔物に襲われたり、悪しきものから襲撃を受けた際には国を守る義務を課せられています。それが国内でのギルド設置の条件となっておりますので仕方がないですが、それによって失われる命も少なくはありません、、、。」


彼女は悲しげにそう告げた。


「すみません。話がそれてしまいましたね。、次にギルドには階級制度が採用されています。階級はSS~Hランクの10過程に分かれており、そのランクに対応するリチエスタを10回連続で達成しますと昇格となります。一回の依頼失敗につき、違約金として依頼報酬の3割を支払っていただくことになります。また五回連続の失敗となりますと、ランク降格ですのでご了承ください。また、自分のランク、その一つ上、一つ下のリチエスタを受けることができます。Bランク以降の昇格時には、昇格クエストを受けていただきます。リューク様たちはCランクスタートということで、最初のランクアップでそれを体験していただくことになります。詳細はまたその都度お伝えします。
ちなみに存在する最高ランクはSSですが、その境地にたどり着いた者は、、、今は悪し勇者のみでした。彼らもその時はレベル300超えでしたので、くれぐれも無理はなさらないようにお気をつけください。命あっての冒険者です。
最後にギルドへの集納税についてです。冒険者には、手に入れた魔石や報酬の1割を支払う義務があります。これはギルドがみな私営機関となります故、その運営に不可欠であるものだということをご理解ください。」
 

 簡単にまとめると、そのリチエスタというのはゲームでいうクエストみたいなもので、それをこなしていくことでランクが上がる。あと税金があるだけか。
意外とうまくできてるな。


「それでは契約と移らせていただきます。」


そう言うとニームルは二つのカードを取り出し、そこに自分たちの血を垂らすように促した。俺たちはかなり焦ったが、ここで拒否するのも逆に怪しいので言われるままにやると、血の滴ったカードが一瞬輝いた。


「どうぞ。」


俺たちは貰うとともに、自分たちのカード内容を確認した。どうやら持ち主の意思で個人情報を露呈するようだ。よかった、、、。


  名前 神谷 竜翔     性別 男     年齢 18歳      種族 人間      職業 創造士


・・・やばい。誰にも見せられない、、、。
そう思いながら横目にミリアのカードを覗くと職業だけが目に入った
   /闇魔導士/
こっちもやばい。なんかそそられる。


「これで俺も立派な社会人か。とりあえずこれからよろしくな、ミリア。」


「うん、頑張る。」


 こうして俺たちの冒険は幕を開けた。

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