破壊の創造士

ノンレム睡眠

001:プロローグ1 

わからない。なにもわからない。
自分は誰なのか、ここはどこなのか、どうしてここにいるのかも。


 己の名もわからない彼?は周りが真っ黒な、霧に覆われたような無の空間を
ただ前へ前へと流されていた。その流れに逆らおうといった意志も起こらず、
むしろ心地よささえも感じていた。
 すると前のほうから二つの光がこちらに向かってくるのがわかった。
周りを見るといくつかの青い炎が自分と同じ方向へ流されているのがわかった。
・・・俺もあんな感じなのか?
己の存在を覚えていない彼だが、それには少し違和感を覚えた。


 二つの光は、青い炎一つ一つを手分けをして、覗き込むように何かを
確認しているようだ
 一つの光が俺の目の前で止まり、少しとどまったと思うとすぐに
去ってしまった。
あれは何だったんだ?
不思議に思っていると、今度は二つの光が同時に目の前へ現れた。
それらは俺を覗き込むようにして、
何かに気が付いたようで二つの光は向かい合って、話しているように見えた。
そうしてもう一度俺のほうを向き、二つの光が周りの影を振り払うくらいの強い光を放った。


  俺、神谷 竜翔 は強い光を目に浴び、しばらくふさがっていた両目を開いた。
目の前には真っ白いワンピースを着た美女と、その隣には頭の上はわっかを、
腰には羽を生やした幼女が同時に俺を見つめていた。
・・・なっ、なんだこの包み込まれるような暖かい視線は、、、。ここは天国か!?
そんなことを思っていると、ワンピースの美女が口を開いた。
「神谷 竜翔さん。お気の毒ですが、あなたは死んでしまいました。」
 







「へ?」


俺は何を言われたのか理解できず間抜け顔をした。
周りをよく見渡すと、そこは神殿のような造りをしており、光源という光源は無いのだが明るい。
装飾は質素のように見えるがどことなく絢爛である。


「へ~、あんた自分の死に際覚えてないんだ。記憶も元に戻してあげたのに。あんまそういう人いないんだけどね」


そう明るい口調で話したのは横の天使である。


「いいんですよ、死に際なんて覚えていてもいいことはありません。それよりご紹介が遅れました。私は魂を正しい方向へ導く聖の女神、メフィレ。左は霊界の天使統括兼私の秘書の大天使、カーシルです。」


・・・マジの天国か。


「それで俺はどうすれば、いや、この際どうなると聞いたほうがいいのか?」


ぶっちゃけいい予感がしない。俺は生前良人だったかと聞かれると答えはNOだ。
かと言って殺人やら盗みやらをしたわけじゃない。両親が2年半前に交通事故にあい、死別してからというもの、俺はずっと家に引きこもり怠惰をむさぼっていた。
唯一残された1つ違いの妹は、そのために高校にも進学できず、就職することを決めた。
俺は家事の手伝いすらせず、妹一人に全ての負担を担がせていた。
今思い返せばあいつが半年前に失踪したのもうなずけちまうな、、、。


「私達はあなたに頼みがあってここへ呼びました。お願いです。暴走した勇者たちから世界を救ってください!」


本日2回目の間抜け顔をさらした。







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