Azurelytone【3】アズレリイトオン
006赤い紐
白い肌に対照的な紅い瞳が、
オトネを見つめる。
笑顔を浮かべているが、
瞳は、残酷な輝きを孕んでいる。
「……私の部下達を、あなたを迎えによこしたはずだけど……?」
店は不自然なくらい片付いている……息を潜めているかのようだ。
「私と来てもらうわ」
オトネの肩に手をのせる。
その瞬間、全身が固まる。
f が、麻痺した頭をふりながら立ち上がる。
白い女を見たその目が、見開かれた。
「………サヤなのか?」
サヤのアルカイックスマイルが凍りつく………。
「……クロウズ?」
「…………生きてたの?」
「なるほど」
「…………この店の"結界"はあなたね」
「どおりで悪趣味な」
fは……fの身体を支配したクロウズと呼ばれた者は、わざとらしく肩をすくめてみせる。
「お前なら大歓迎だったんだが、
ミヅキがどうしてもダメだとよ~」
「しかし、美人に成長したじゃねぇか」
「また、昔のように仲良くやろうじゃないか………」
近づこうとするクロウズを、制するように、サヤの傍らから、黒い犬がうめき声を放つ。
「!!!!」
「それ………その犬は……」
「いや………その御体は……」
f は、後ずさる……。
「復活させてしまったのか?」
「なんてことを……」
サヤは、静かに右手の手袋を外すと、それを クロウズの前ににかざす。
その手首には、編み込まれた深紅の紐が絡み付いている………それは、脈うっている。
「悪いわね」
「私、再婚したの」
紐の片側は、漆黒の犬の首につながっている。
黒い塊が、クロウズを吹き飛ばす。
その身体は、叩きつけられたテーブルを粉々にするだけでは飽きたらず、カウンターを破壊し厨房までも破壊した。
しかし、素早く壁に溶け込んだクロウズは、次の瞬間、サヤの後方から出現し襲いかかる。
それは、肩にかかった髪を振り払うような何気ない仕草に思えた……。
クロウズは、軽く手のひらが触れると同時に床にめり込んだ。
「無駄」
「キャリア(ダスト)が違うのよ」
「あなたと過ごした日々は悪夢でしかなかったけど……」
「おかげでこのコ(犬)を手に入れる事ができた」
「始祖に喰われて死ぬがいい」
口腔までもが黒いあぎとが、頭を被う。
「やめて!!」
サヤのこめかみに、リボルバーの銃口が向けられている。
「なんのつもり?」
僅かに、感情にみだれがあったとはいえ、サヤに間合いをつめる事ができたのは、サヤがチカラを手に入れてから、初めてのことだった……。
「f を離して」
震えた声でオトネはサヤに命令した。
「……fが死んじゃう……」
オトネを見つめる。
笑顔を浮かべているが、
瞳は、残酷な輝きを孕んでいる。
「……私の部下達を、あなたを迎えによこしたはずだけど……?」
店は不自然なくらい片付いている……息を潜めているかのようだ。
「私と来てもらうわ」
オトネの肩に手をのせる。
その瞬間、全身が固まる。
f が、麻痺した頭をふりながら立ち上がる。
白い女を見たその目が、見開かれた。
「………サヤなのか?」
サヤのアルカイックスマイルが凍りつく………。
「……クロウズ?」
「…………生きてたの?」
「なるほど」
「…………この店の"結界"はあなたね」
「どおりで悪趣味な」
fは……fの身体を支配したクロウズと呼ばれた者は、わざとらしく肩をすくめてみせる。
「お前なら大歓迎だったんだが、
ミヅキがどうしてもダメだとよ~」
「しかし、美人に成長したじゃねぇか」
「また、昔のように仲良くやろうじゃないか………」
近づこうとするクロウズを、制するように、サヤの傍らから、黒い犬がうめき声を放つ。
「!!!!」
「それ………その犬は……」
「いや………その御体は……」
f は、後ずさる……。
「復活させてしまったのか?」
「なんてことを……」
サヤは、静かに右手の手袋を外すと、それを クロウズの前ににかざす。
その手首には、編み込まれた深紅の紐が絡み付いている………それは、脈うっている。
「悪いわね」
「私、再婚したの」
紐の片側は、漆黒の犬の首につながっている。
黒い塊が、クロウズを吹き飛ばす。
その身体は、叩きつけられたテーブルを粉々にするだけでは飽きたらず、カウンターを破壊し厨房までも破壊した。
しかし、素早く壁に溶け込んだクロウズは、次の瞬間、サヤの後方から出現し襲いかかる。
それは、肩にかかった髪を振り払うような何気ない仕草に思えた……。
クロウズは、軽く手のひらが触れると同時に床にめり込んだ。
「無駄」
「キャリア(ダスト)が違うのよ」
「あなたと過ごした日々は悪夢でしかなかったけど……」
「おかげでこのコ(犬)を手に入れる事ができた」
「始祖に喰われて死ぬがいい」
口腔までもが黒いあぎとが、頭を被う。
「やめて!!」
サヤのこめかみに、リボルバーの銃口が向けられている。
「なんのつもり?」
僅かに、感情にみだれがあったとはいえ、サヤに間合いをつめる事ができたのは、サヤがチカラを手に入れてから、初めてのことだった……。
「f を離して」
震えた声でオトネはサヤに命令した。
「……fが死んじゃう……」
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