ニートの魔法

山本の熊

8話 山2


チュンチュンチュン…

鳥の鳴き声で目を覚ました。

うーん、と軽く伸びをして起き上がる。ん?なんか話し声が聞こえるぞ?

「その件についてはわかっています。はい。あなた様の時間が少ないことも。」

セジアントだ。電話みたいに目を瞑って誰かと話してる?

「魔法使いですか?順調に育成できてます。」

俺のことか。

「はい。ジムラスの事はまだ話してません。そのときになったらぼくから説明します。」

ジムラス?なんのことだろう。気になるな。

「それでは失礼します。」

こっちを振り向く!

………

反射的に隠れてしまった。

「幕くん?」

「んわぁっ!?」

セジアントが首を傾げる。

「何をそんなに驚いてるんだい?おはよう、よく眠れた?」

「ああ…つい今さっき起きてな。い、いまここまで歩いてきたとこだ。」

セジアントもいつもと違う口調を察しつつも、あまり深追いはしなかった。

「うん!元気みたいだね!さあ!朝ごはんを食べたら修行だ!」




朝ごはんはりんごと焼いたキノコに野いちご。ヘルシーだ。
俺は飯をすぐに食べ終わり、魔法使いの衣装に着替えた。

「修行の内容は簡単だよ!ひたすら魔法を交互に放ってくだけさ!」

「簡単だな。それだけで良いのか?」

「うん!」




「ゼェ…ハァ…ショックル!」バシュッ!

たかが言葉一つだと甘く見ていた。魔法を使うごとに気力が削られてるみたいだ。
疲れた…だけど、ニートのときとは考えられないほど汗をかいている。

「今日はここまでにしとこうか!」

セジアントの一言で今日の修行は終了する。

「お疲れ様!疲れたろう!今日はゆっくり休もう!」

「ああ…」

力ない返事とともに拠点へともどる。
いやーくたびれた。

だけど、楽しいな。

そんな充実感が満ちる中、後ろで物音がしたのを俺は気づかなかった。





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