ニートの魔法

山本の熊

3話 承諾


「なるほどねぇ…」


たいしてわかってもないのについ‘なるほど’なんて言ってしまう自分の悪い癖だ。
だが目の前の動物は流暢な日本語で事の経緯を話してくれた。




事の経緯はこうだ。

日本魔法学校より暇そうな人間に使い魔を派遣し、魔法使いになってもらい敵を倒す…

ざっくりすぎたか。でもこれぐらいしか頭で処理できない。

「それで、なんで俺みたいな落ちこぼれが選ばれたんだ?」

「落ちこぼれかどうかなんて関係ないよ。暇そうだったから選ばれた。暇を持て余していたほうが魔術の修行も捗るからね!」

「俺の‘暇’はそこらの奴らの‘暇’ではないのだがなぁ…」

だが、色々話を聞いていて思ったことが2つある。

それは

これはリアルである。

と、

面白そうだ。

俺は確かに暇を持て余していた。
自分の人生を他の優秀な人に分けてやりたいとも願った事もある。

そんな日常にこうまで非日常なことが起こると、やはり人は何かをする気になるものなのかもしれない

ニートならなおさら。

俺は承諾した。

「いいだろう、確かに俺は暇だ。人生もほとんど捨ててた。だから魔法使いでもなんでもやる。」

半ばさじを投げたような承諾の仕方だが、セジアントはにっこりと笑い

「ありがとう、助かるよ。」

などと言った。久しぶりに感謝されたなぁ、などと感慨深い。

「で、何をすればいいんだ?」

セジアントは空中でくるりと宙返りをし、思わず苦い顔をしてしまう一言を放った。

「明日はショッピングに出よう!」

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