異世界に貴族として転生しました!〜兄が神な男〜

御隠居村長

18、料理

 俺は、またまた面倒なことをしてしまった。全く知らなかったのだが、魔剣を扱えることは本当にすごいことらしい。ストロンさんが、冗談っぽく俺に持たせたらしい。そしたら、俺が魔剣を扱えたというわけだ。でも、そのあとストロンさんたちは、そこまで驚いていなかった気がするけど……。まあ、関係ないか。

 まあ、とにかく、俺が魔剣を扱ったせいで魔剣の教師が俺につくことになったらしい。面倒だ。原因は、俺にある。でも、面倒だ。本当に面倒だ。


 しかし、教師が来るのはもう少し先だという。その教師についてバトラーから、説明された。
 名前は、スパード。王国で数えるほどしかいないSランク冒険者らしい。俺の父さんとは、腐れ縁みたいなやつらしい。

 でも、今は、まだ来ない教師のことを考えるより、明日で別れるストロンさん達のことを考えるべきだろう。

 でもなぁ。俺がプレゼントできるものなんて、ないと思うし……。特に何も渡すつもりはないかなぁ。お金は、父さんが払っていると思うし……。


 あー、でもなにかしら渡したいよなあ。一応、お世話になったんだし……。それが、礼儀だよなぁ。

 あっ! あれなら俺でも作れるな。弁当とか自分で作ったときは必ずいれてたし。材料もあるし。まあ、作るの簡単だし、明日準備すればよいだろう。バトラーに厨房の使用の許可と材料の準備をやってもらうか。その後、バトラーから許可をもらい、風呂入ってご飯食べて寝た。



□次の日

 バトラーによると、ストロンさんたちは朝早くから来るらしいから、今日は少し早めに起きた。

 作るものは、ずばり「卵焼き」だ。弁当の色合い調整のためなんかにも使われるだろう。俺は、そう使ってた。まあ、食べてもおいしいしね。

 必要なものは、フライパン、ボール、混ぜるもの、ひっくり返すやつ、油、卵。あと、砂糖だな。砂糖はなくてもいいのかもしれないけど、俺は使っている。

 厨房に向かい、ついいたらドアの前に人が立っていた。恰好的に、料理人だろう。

「シリウス様ですよね? 私は、インブンランド家につかえる料理人です。」

 見ればわかるんだけど……。

「あー、うん。おはようございます。」

「おはようございます。私は、シリウス様の補佐につかせていただきます。短い期間だとは思いますが、よろしくお願いいたします。」

 へぇ、補佐についてくれるのか。よく考えれば、俺って厨房の備品とか背の高さ的に使えなそうだし、火とか使うの危ないお年頃だもんなぁ。いやでも、魔法で火使った気がするぞ。いや、細かいことはどうでもいいか。

「では、厨房の中に入りましょう。きちんと、準備はしてあります。」

 俺はいわれた通りに、厨房の中に入り手を洗った。

 この厨房は広いし、料理人の数もめちゃくちゃ多いんだな。流石、貴族様。

「えっと、何をお作りになられるのですか? この材料で。」

「あー、うん。卵焼きだよ。」

「タマゴヤキ? どのようなお料理なのですか?」

「まあ、見てなって。」

 まず、シリウスはボールに卵を入れる所からスタートした。シリウスが、卵焼きを作る様子を解説するのはなんだから、省略するとしよう。

「これで、完成だね。」

「早いですね。そして、いい匂いがしますね。」

「うん、そうだね。にしても、四角のフライパンなんてあるんだね。」

「ああ、それはですね。昔、我々が丸いフライパンを注文したのに、間違えて四角いフライパンを作ってしまった、鍛冶屋がいましてね。廃棄するのはもったいないと御屋形様がおっしゃって一応とっておいたんですよ。」

「……。そ、そうなんだ。」

 突っ込みどころが満載なんですけど……。丸いフライパンを注文して、四角いフライパンがくるって、どんな間違えだよ。それを間違えたやつ、いくら何でもキチガイすぎるだろう。

「あっ、シリウス様。この料理真似して作ってみてもよろしいですか?」

 真似して、作る……? 全然、どうでもいいな。

「べつに、いいよ。」

「ありがとうございます。」

 そして、この料理人が真似して作り始めた。プロだから、俺よりもうまく作っちゃいそうだけどな。

 しばらく経過し、
「こんな感じでしょうか?」
ちおと、料理人が聞いてきた。

 もう、できたのか。いや、こんなもんか。

「おお、おいしそうじゃん。」

 普通に、俺より形整ってるな。流石、プロ。食べてみたら、普通においしい。流石、プロ。


「でも、シリウス様。よく、こんな料理思いつきましたね。」

「思いついてないです。僕は、異世界から来たので、もともと知っていたんです。」とはいいませんよ、皆さん。

「まあ、頭にふってきたんだよ。この料理がね。」

「な、なんと……! すばらしいです。そして、羨ましいです。」

 そんなに、ほめたってなにも出ませんよー。そろそろ、朝食の時間だな。
 
「じゃあ、じゃあね。」

「ええ、では。」

 俺は、この部屋を出ていく。にしても、我ながらいい案だよな。料理をプレゼントというのは。もし、欲しいと言ったら、レシピも書いてあげることにしますか。

 本当に、俺ってやさしいなぁ。別にナルシスト的なのではないからね。

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