異世界に貴族として転生しました!〜兄が神な男〜

御隠居村長

16,魔剣を得る

 毎日、やりたくもない剣の訓練と少し興味のある魔法の訓練を一か月くらいやった。

 そして、いよいよ冒険者になるための試験が行われるらしい。
 俺は、ストロンさんとシーアさんと共にこの都市の冒険者ギルドに向かっている。ちなみに、ピリアさんとピーアさんは、所用で来れないらしい。

 だるいなあと思いながら歩いていると、ストロンさんが、
「坊主は、俺との勝負で少し勝てるようになったんだし、冒険者の試験なんて簡単だぞ!」
と言ってきた。

 たしかに、俺はストロンさんに少しくらいなら勝てるようになった。まあ、ほとんど負ける中、たまに勝てる程度のものだけど……。流石、Bランク冒険者。チートが、あるはずの俺よりも強いなんて。

「貴方、駄目ですよ……。シリウス様は、貴族様なんですからね。坊主なんて呼んだりしちゃ。」
と、シーアさん。

「いやぁ、別に僕はそれで構いませんよ。ストロンさんは、剣の師匠ですから。」

「おー、坊主。嬉しいことを言ってくれるな。そんな坊主には、この剣をあげよう。」

 剣とか……、別にいらんな。それより、金が欲しい。

「聞いて驚け! この剣は魔剣と呼ばれる剣なんだ!」

「魔剣? なんですか、それは。」

「魔剣というのはなあ。まあ、わかりやすく言うと普通の剣より強いんだ。」

 なるほど……。
 売れば、高そうだな。

「でも、魔剣って高くないんですか?」

 魔剣って、いかにも高そうだよな。売れば、億万長座になれたりして。

「大丈夫だ。昔、魔物からドワーフが多く住んでいる町を救ったことがあるんだ。その時にドワーフ達からなんかお礼がしたいといわれてなあ。俺は、普通の剣をもらったんだ。まあでも、それだけじゃ悪いとドワーフ達が、言い出してな……。魔剣をもらったわけだが……。俺は、魔剣なんて扱えないしな。ドワーフが作った魔剣なんて、売ればえげつない金銭を得られるけどな。売るのは、ドワーフ達の感謝の意を踏みにじるみたいだろ。だから、坊主にあげるんだ。」

 な、なるほど。じゃあ、もらっとくか。でも、こんなこといわれたら、さすがに売るのはなぁ。きちんと、大事に使うか。

「ありがとうございます。遠慮なく、もらいます。」

「おう。魔剣の扱いは、なれるまで少し大変かもしれないが……。まあ、頑張れよ。この魔剣は、魔力を込めてふると水が出るものだ。ちょっと、やってみ。」

 今、なんかおそろしいことを言ってないですか……。魔力を込めてふると、水が出るって。普通の剣より強いどころの話じゃないだろ。

「ほい、魔剣だ。」
と、魔剣を渡される。

 俺は、剣のさやから剣を抜く。

「おお。かっこいいな、魔剣。坊主、ここは街からまだ遠いし……。振ってみな。」

 そう、屋敷と都市はかなりの距離がある。冒険者ギルドまで、馬車でいってもよかったのだが、なんとなく歩いて行っている。

 そんなことは、どうでもいいか。

 俺は、試しに魔力を込めて、剣を振ってみる。

 すると……。

「う、うわぁ! びびったぁ。」

 あ! 魔剣をストロンさんの方向に向かって、うってたわ。ギリギリ水は、ストロンさんに当たらなかったけど……。危ない、危ない。

「あっ! ストロンさん、ごめんなさい。」

「別にいいけどさぁ。凄いな。魔剣というのは……。木の枝が、何本か折れてるし。まあ、坊主が魔剣を使えたというのにも充分驚いたけどな。」

 確かに、魔剣は凄いな。遠くの木の枝を折ってしまうなんて……。

「これは、辺境伯様に報告すべきだな。あの方なら、魔剣の扱いが上手い先生を連れてきてくれるぞ。よかったな。」

「?!」

「どうした? かたっまているぞ。」

「えっと。父に報告するのはやめていただけませんか……?」

 父さんに報告なんて。冗談じゃない。

「ごめんな。坊主のお願いでもそれはできん。報告する義務があるからな。それに今回の依頼の主は、辺境伯様だからな。でも、なんで嫌なんだ? 魔剣を扱える先生が来るかもしれないんだぞ。」

 それは、いやでしょ。俺は、強くなりたいとか思わないし……。訓練なんて、面倒なだけだ。

「まあ、どうでもいいか。よし、ギルドにいくぞ! 坊主の試験だ。」

 はあ、まあとりあえず目の前の課題をこなさないとだな。頑張るか、冒険者になるための試験。

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