異世界に貴族として転生しました!〜兄が神な男〜
閑話特別編、国王と宰相
〈王城にて〉
「た、大変です! 陛下。」
と、宰相が慌ただしく、国王陛下の執務室に入る。
「どうした? いつも、落ち着いている、お前にしては、珍しいな。お前の息子が宰相になるのを決心したとか?」
と、宰相に比べて国王は、落ち着いていた。
国王は、宰相の子供くらいの年齢なのだが、『どんな時でも落ち着いた対応を』をキャッチフレーズにしている。だから、たとえ宰相がこんな感じでも、落ち着いていられるのだ。
「我が息子には、さっさと宰相の椅子を貰ってほしいんですけどね……。陛下も我が息子と年がほぼ変わりませんしね。別に、あの年で宰相をやっても良いというのに……。馬鹿貴族どもが、うるさいんですよね。で、陛下。今回は、そんな話ではありません。我が国の数学が大きく、他国にリードする話です。」
「ほぅ。どういうことだ?」
と、国王は内心驚きつつも、落ち着いて聞く。
国王が、驚くのも、無理はない。宰相は、数学に関しては、ちょっとやそっとでは、驚かないのだ。そんな宰相が、驚く。おそらく、かなりの大発見なんだろう、と、国王は内心で確信した。
「えっと、私が説明するより、この本を御覧ください。」
と、宰相が、本を机の上に置く。
国王は、その本を一ページ目から最後までじっくり読む。ときには、近くの紙で計算しながら。
最後のページまで、読み終わった時、国王は、
「むむ、こ、これは、素晴らしいな!」
と、驚いていた。
「ええ。全くです。世の中、広しとは、よく言ったもので、この事を発見したのは、5歳の子供。そして、いざ本にしてまとめたのが、8歳の子供らしいです。」
と、宰相は説明する。
「な、なんだと。その二人は、どんな身分なんだ!」
と、国王は、驚くあまり、椅子から立った。
こんな素晴らしいものを発明したのが、子供なのだ。嫌でも驚くだろう。国王も『どんなときでも落ち着いた対応を!』という、キャッチフレーズを忘れて、驚いていた。
「陛下、落ち着いて下さい。私の話を最後までお聞きください。この功績を立てた二人について、提案があります。」
と、宰相は言いながら、国王を椅子に座らせる。
「提案?」
と、国王が、首をかしげる。
「えーと。この二人についてですが……。この事を理由に男爵位を与えては、いかがでしょうか?」
と、宰相。
「その二人が、もともと貴族、そして、跡継ぎじゃない。で、性別が男性ならば、問題ないぞ。」
と、国王が言う。
これほどの功績があるのなら、平民でも貴族になれるだろう。しかし、今回は幼い子供。何かと、難しいのだ。例えば、貴族になったあとが、色々と面倒だったりとか……。
女性が、男爵位以上の貴族の当主になることは、できない。これは、王国建国当初からのしきたりだ。
「陛下、安心してください。その二人は、貴族です。それに、この二人は、兄弟です。私の息子が、インブンランド辺境伯の誕生日パーティーに行ったときに、私の息子に渡されたものなんです。」
と、宰相。
「なるほど……。ということは、二人は、辺境伯の子供ということか? それとも、辺境伯の親戚とかか……。」
と、察する国王。
「辺境伯の息子たちです。まあ、流石というべきですね。あの、家は……。まあ、話を戻しまして……。母親は、第二夫人ですが、伯爵令嬢。血筋的にも叙爵させても、何の問題もありません。むしろ、これほどの功績を残し、何も与えないのは……。」
と、宰相。
「わかった。二人を男爵に。ということだな? それで、いつのタイミングに叙爵すべきだと思う?」
と、国王が、聞くと、
「6歳の貴族の子供を集めて、毎年、王家主催のパーティーを行います。そのときに、絶対辺境伯も来るでしょう。」
と、宰相が言う。
「分かった。そのタイミングな。まあ、細かいことは色々やっておけ。任せる。あと、この数学の件については、一年間隠しておけ!」
と、国王。
「はっ! 畏まりました!」
と、宰相が、生き生きとした表情で答えた。
いつも、宰相は国王から頼まれた仕事は、完璧にこなす。しかし、だるそうな顔をして、仕事に取り組むのだ。だが、今回は、違った。もしかしたら、自分の数学の頭脳を超えるかもしれない、二人。嫉妬しても可笑しくないが、宰相は、今すぐにでも、その二人と会いたいと思っていた。そして、自らの眼でその才能を確かみたいと思っていた。あわよくば、自分の孫を婚約者にでもして、義理の孫ということで、毎日のように話したいと、思っていた。
そんな訳で、シリウス達の知らない間に、シリウスとジャックは男爵になることが、決まったのだった。
□■□
シリウスが男爵になると決まった時、本人は自室でバトラーに持ってきてもらった本を読んでいた。
「ッハックション」
「大丈夫ですか? シリウス様。」
「うん、大丈夫だよ。」
「一応、医者を呼びますか?」
「心配いらないよ、バトラー。」
「そうですか……。体が少しでもおかしいなと思いましたら、声をかけてくださいね。」
「うん、わかったよ。」
「た、大変です! 陛下。」
と、宰相が慌ただしく、国王陛下の執務室に入る。
「どうした? いつも、落ち着いている、お前にしては、珍しいな。お前の息子が宰相になるのを決心したとか?」
と、宰相に比べて国王は、落ち着いていた。
国王は、宰相の子供くらいの年齢なのだが、『どんな時でも落ち着いた対応を』をキャッチフレーズにしている。だから、たとえ宰相がこんな感じでも、落ち着いていられるのだ。
「我が息子には、さっさと宰相の椅子を貰ってほしいんですけどね……。陛下も我が息子と年がほぼ変わりませんしね。別に、あの年で宰相をやっても良いというのに……。馬鹿貴族どもが、うるさいんですよね。で、陛下。今回は、そんな話ではありません。我が国の数学が大きく、他国にリードする話です。」
「ほぅ。どういうことだ?」
と、国王は内心驚きつつも、落ち着いて聞く。
国王が、驚くのも、無理はない。宰相は、数学に関しては、ちょっとやそっとでは、驚かないのだ。そんな宰相が、驚く。おそらく、かなりの大発見なんだろう、と、国王は内心で確信した。
「えっと、私が説明するより、この本を御覧ください。」
と、宰相が、本を机の上に置く。
国王は、その本を一ページ目から最後までじっくり読む。ときには、近くの紙で計算しながら。
最後のページまで、読み終わった時、国王は、
「むむ、こ、これは、素晴らしいな!」
と、驚いていた。
「ええ。全くです。世の中、広しとは、よく言ったもので、この事を発見したのは、5歳の子供。そして、いざ本にしてまとめたのが、8歳の子供らしいです。」
と、宰相は説明する。
「な、なんだと。その二人は、どんな身分なんだ!」
と、国王は、驚くあまり、椅子から立った。
こんな素晴らしいものを発明したのが、子供なのだ。嫌でも驚くだろう。国王も『どんなときでも落ち着いた対応を!』という、キャッチフレーズを忘れて、驚いていた。
「陛下、落ち着いて下さい。私の話を最後までお聞きください。この功績を立てた二人について、提案があります。」
と、宰相は言いながら、国王を椅子に座らせる。
「提案?」
と、国王が、首をかしげる。
「えーと。この二人についてですが……。この事を理由に男爵位を与えては、いかがでしょうか?」
と、宰相。
「その二人が、もともと貴族、そして、跡継ぎじゃない。で、性別が男性ならば、問題ないぞ。」
と、国王が言う。
これほどの功績があるのなら、平民でも貴族になれるだろう。しかし、今回は幼い子供。何かと、難しいのだ。例えば、貴族になったあとが、色々と面倒だったりとか……。
女性が、男爵位以上の貴族の当主になることは、できない。これは、王国建国当初からのしきたりだ。
「陛下、安心してください。その二人は、貴族です。それに、この二人は、兄弟です。私の息子が、インブンランド辺境伯の誕生日パーティーに行ったときに、私の息子に渡されたものなんです。」
と、宰相。
「なるほど……。ということは、二人は、辺境伯の子供ということか? それとも、辺境伯の親戚とかか……。」
と、察する国王。
「辺境伯の息子たちです。まあ、流石というべきですね。あの、家は……。まあ、話を戻しまして……。母親は、第二夫人ですが、伯爵令嬢。血筋的にも叙爵させても、何の問題もありません。むしろ、これほどの功績を残し、何も与えないのは……。」
と、宰相。
「わかった。二人を男爵に。ということだな? それで、いつのタイミングに叙爵すべきだと思う?」
と、国王が、聞くと、
「6歳の貴族の子供を集めて、毎年、王家主催のパーティーを行います。そのときに、絶対辺境伯も来るでしょう。」
と、宰相が言う。
「分かった。そのタイミングな。まあ、細かいことは色々やっておけ。任せる。あと、この数学の件については、一年間隠しておけ!」
と、国王。
「はっ! 畏まりました!」
と、宰相が、生き生きとした表情で答えた。
いつも、宰相は国王から頼まれた仕事は、完璧にこなす。しかし、だるそうな顔をして、仕事に取り組むのだ。だが、今回は、違った。もしかしたら、自分の数学の頭脳を超えるかもしれない、二人。嫉妬しても可笑しくないが、宰相は、今すぐにでも、その二人と会いたいと思っていた。そして、自らの眼でその才能を確かみたいと思っていた。あわよくば、自分の孫を婚約者にでもして、義理の孫ということで、毎日のように話したいと、思っていた。
そんな訳で、シリウス達の知らない間に、シリウスとジャックは男爵になることが、決まったのだった。
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シリウスが男爵になると決まった時、本人は自室でバトラーに持ってきてもらった本を読んでいた。
「ッハックション」
「大丈夫ですか? シリウス様。」
「うん、大丈夫だよ。」
「一応、医者を呼びますか?」
「心配いらないよ、バトラー。」
「そうですか……。体が少しでもおかしいなと思いましたら、声をかけてくださいね。」
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