異世界に貴族として転生しました!〜兄が神な男〜

御隠居村長

12、誕生日パーティー(Ⅱ)

 中に入り、かなり広い部屋に進むと、人がたくさんいた。

 バトラーにこちらへどうぞという感じで、案内される。


 そして、今はパーティーが、始まろうとしている。

 ジーク父さんが、
「本日は、お忙しい中、我が息子の誕生日パーティーに参加して頂き有難うございます。後、今年も公爵家が参加しているので、皆粗末のないように。」
と、いう。

 初めの敬語は公爵もいるからなんだろうな……。

「では、これから我が息子の紹介をする。」
と、父さんが言ったため、俺は舞台に出る。

 原稿は、兄さんが作ってくれた物だ。

「ご紹介頂きました。私は、インブンランド辺境伯家の四男である、シリウスです。本日はお忙しい中、私の為にお越し頂き有難うございます。まだまだ、至らぬ点は、多数あると思いますが、皆様ご指導の程よろしくお願い致します。」
と、挨拶をする。

 すると、会場内が、静寂に包まれる。 

 しばらくして、盛大な拍手の音が、この空間を支配する。

 そして、
「うむ。なんというか、子供らしくは、ない挨拶だったが……。皆、我が息子をよろしく頼む。それでは、乾杯!」
と、父さんの乾杯の挨拶が、入る。

 子供らしくないだと……! またしても、俺は兄さんに騙されてしまったのか……。俺は、兄さんの台本通りに読んだだけなんだけどな。

 すると、
「シリウス様、素晴らしい挨拶でした。それで、本日お越し頂いた方々への挨拶をしておきませんと……。」
と、バトラーが、横から声をかけてくる。

 別に、素晴らしい挨拶なんて、狙っていなかったんだけどな。まあ、過ぎたことは、しょうがないか。でも、兄さんには文句を言いたい。2回も騙される俺も俺だけど。

「挨拶ね。分かったよ。」
と、言ったら、バトラーに誘導される。

「シリウス様、私は、ブランク奴隷商会を王都で経営している者です。名前は、ブランクです。奴隷が、欲しくなったら、是非お願いします。」
と、おじさんの人。

 別に奴隷なんて、買う予定はないけど……。まあでも、「その時は、お世話になります。」とか、言っておく。

 こんな感じで、次々と挨拶をしていく。

 名前なんかは、いちいち覚えられない。

 
 でも、疲れるな。少し、この部屋から、出るか。

「ねぇ、バトラー、この部屋から、少し出ていっても良いかな?」
と、聞き、少しだけならという許可を貰ったから、部屋から退出する。


 廊下を歩いていると……。

 目の前に女の子がいた。かなり、小さいから、メイドではないよな……。となると、パーティーに来てくれた人か。

 声をかけてあげようとして、女の子の方に行った。

 この女の子は、公爵令嬢だな。名前は、何だっけ? 色々な人と挨拶していたから、名前を忘れてしまった。そんなことより、公爵令嬢の世話なんて面倒だから、この場から立ち去るか!

 ただ、俺にとっての災難は、公爵令嬢に会うということだけでは、終わらなかった。まあつまり、公爵令嬢から逃げれなかった。

 なぜなら、公爵令嬢が目の前で、転んだのだ。すると、すぐに、
「うえーん。」
と、泣き始めた。

 だが、こういう時にどうすればよいか? 俺は、きちんと学んでいる。俺は、これでも高校生なのだ。
 そう、こういうときは、逃げるに限る。逃げるというのは、表現の仕方が悪いかもしれない。俺は、逃げるというより、この女の子の為を思って、女の子の視界から、去るのだから。俺が、無理にあやすより、使用人とかに任せるとべきだという俺なりの判断だ。断じて、面倒臭いからとかでは、ない。

 俺は、俺なりの最適な判断に満足して、公爵令嬢の前を去ろうとしたら、俺は公爵令嬢に腕をつかまれた。

 どうやら、逃げることが、できないらしい。

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