Noah's Ark
5話 会敵
エレベーターが上昇し、カモフラージュの地面がゆっくりと開き空が見えた。
そして何も無かった大地に俺達の乗った金属の箱が現れた。
「ーーこれは…!」
「…思っていたより凄い光景ね」
驚くのも無理はない、二人からしたら約六年ぶりの地上だ。
地上はあの審判の日を迎えてからこの六年の間に、どーせ死ぬならせめてADG達に一矢報いようと世界各地に核兵器がばらまかれ、その後も災害のオンパレードだった。
その結果、核兵器を含め、既存の武器で傷一つ負わないADG達に一矢報いること叶わず、地上から生命と言う生命が残らず死に絶えた。
辺りには草木の一本もなく、虫一匹いない死の大地へと変わり果てている。
ノアではそうなる事も見越してたのか、審判の日が来る前から、一定数の動植物、虫に関しても保護されていたので、ある程度の種は保存されているがーー
「…よし、仕事の時間だ。行くぞ」
俺は頭を切り替え奴らの潜む街跡へと歩き出した。
俺が先頭を歩き、その後ろから芹沢と神崎が着いてくる形で進み、周りを警戒しつつ目標であるADGを探す。
「芹沢、神崎。索敵は怠るんじゃないぞ。奴らに奇襲をかけられるのはゴメンだからな」
「えぇ、後ろは大丈夫よ、お嬢ちゃんはどうかしら?」
「お嬢っ…。こちらも問題ありません。ADGには隠れると言う概念はありませんから」
(芹沢愛、なぜ彼女はことある事に神崎に喧嘩を売るのか、帰還できたら聞いてみよう…)
「ADGの行動パターンは講義でも習いました、恐らく見つけるか見つかるかまでは心配ないかと…」
ADGは機械的に獲物を探し続け、見つけると、殺すか殺されるかするまで追い続ける、そんな単純な行動パターンしかない生物だ。
いや、もはや生物と言っていいのかすら危ういが、一応生物という事にしておこう。
「ADGの恐ろしさはその生命力にあるからな」
「神機と魔装を除いて、ADGには効果がないものね?おかげで数は減らない癖に街だけこの有様じゃない」
「そうですね…私たちの唯一の対抗手段である神機ですら、一撃で致命傷を負わせないとあっという間に再生しちゃいますから…」
そんな会話をしていると、前方にADGを一体確認した。
「…止まれ。前方にADGが一体。周りに敵影もない。確実に仕留めるぞ。」
「…いよいよね」
「あれが…私の家族を…」
二人はそれぞれ覚悟を決め、表情を引き締めた。
「神崎、気持ちは分かるが、外で私情は挟むんじゃないぞ」
「分かっています。ただ…実物を見たのがあの日以来でしたので、少し思い出してしまって…」
「そうか…なら一体でも多く奴らを葬って、死者への手向けとしようじゃないか。二人共位置につけ、訓練の成果を奴に見せてやろう」
「「了解」」
そして予定通りADGを囲む様に位置についた二人は、後は合図を待つだけになった。
合図と言っても、特別何かする訳じゃない。
ただーー
「うおおおおぉ!」
俺が正面から突っ込むだけだーー
ADGの意識がこちらに向き、直ぐに迎え撃とうとして来る、しかし俺は囮。
本丸は後ろの二人が攻撃を仕掛ける。
ADGは正面と後ろの波状攻撃により、難なく後から身体を貫かれ、切り裂かれた。
動きを止めたADGに、俺がトドメをーー
「ーーっ!?ダメだ!!浅い!!」
俺の攻撃が届く前に奴は動き出した。
「え?…きゃあっ!!」
「芹沢さん!?」
芹沢は突き刺さったままの槍を捕まれ、人外の腕力で振り回され地面に激突した。
そしてADGはそのまますぐ近くに立つ神崎に体の向きを変えた。
「……あーー」
「ーーかんざきぃぃぃぃ!!!」
間一髪、とっさの一撃がADGの背中を大きく切り裂いた。
しかし切り裂かれたはずの背中は、初めから傷など無かったかのように一瞬で再生を終えていた。
「くそっ!神崎!芹沢!大丈夫か!?」
神崎は放心状態で腰を抜かしている、芹沢も気を失っているか…しかしADGの意識は俺に向かせることが出来た。
これで一体一。
「上等…!」
そして何も無かった大地に俺達の乗った金属の箱が現れた。
「ーーこれは…!」
「…思っていたより凄い光景ね」
驚くのも無理はない、二人からしたら約六年ぶりの地上だ。
地上はあの審判の日を迎えてからこの六年の間に、どーせ死ぬならせめてADG達に一矢報いようと世界各地に核兵器がばらまかれ、その後も災害のオンパレードだった。
その結果、核兵器を含め、既存の武器で傷一つ負わないADG達に一矢報いること叶わず、地上から生命と言う生命が残らず死に絶えた。
辺りには草木の一本もなく、虫一匹いない死の大地へと変わり果てている。
ノアではそうなる事も見越してたのか、審判の日が来る前から、一定数の動植物、虫に関しても保護されていたので、ある程度の種は保存されているがーー
「…よし、仕事の時間だ。行くぞ」
俺は頭を切り替え奴らの潜む街跡へと歩き出した。
俺が先頭を歩き、その後ろから芹沢と神崎が着いてくる形で進み、周りを警戒しつつ目標であるADGを探す。
「芹沢、神崎。索敵は怠るんじゃないぞ。奴らに奇襲をかけられるのはゴメンだからな」
「えぇ、後ろは大丈夫よ、お嬢ちゃんはどうかしら?」
「お嬢っ…。こちらも問題ありません。ADGには隠れると言う概念はありませんから」
(芹沢愛、なぜ彼女はことある事に神崎に喧嘩を売るのか、帰還できたら聞いてみよう…)
「ADGの行動パターンは講義でも習いました、恐らく見つけるか見つかるかまでは心配ないかと…」
ADGは機械的に獲物を探し続け、見つけると、殺すか殺されるかするまで追い続ける、そんな単純な行動パターンしかない生物だ。
いや、もはや生物と言っていいのかすら危ういが、一応生物という事にしておこう。
「ADGの恐ろしさはその生命力にあるからな」
「神機と魔装を除いて、ADGには効果がないものね?おかげで数は減らない癖に街だけこの有様じゃない」
「そうですね…私たちの唯一の対抗手段である神機ですら、一撃で致命傷を負わせないとあっという間に再生しちゃいますから…」
そんな会話をしていると、前方にADGを一体確認した。
「…止まれ。前方にADGが一体。周りに敵影もない。確実に仕留めるぞ。」
「…いよいよね」
「あれが…私の家族を…」
二人はそれぞれ覚悟を決め、表情を引き締めた。
「神崎、気持ちは分かるが、外で私情は挟むんじゃないぞ」
「分かっています。ただ…実物を見たのがあの日以来でしたので、少し思い出してしまって…」
「そうか…なら一体でも多く奴らを葬って、死者への手向けとしようじゃないか。二人共位置につけ、訓練の成果を奴に見せてやろう」
「「了解」」
そして予定通りADGを囲む様に位置についた二人は、後は合図を待つだけになった。
合図と言っても、特別何かする訳じゃない。
ただーー
「うおおおおぉ!」
俺が正面から突っ込むだけだーー
ADGの意識がこちらに向き、直ぐに迎え撃とうとして来る、しかし俺は囮。
本丸は後ろの二人が攻撃を仕掛ける。
ADGは正面と後ろの波状攻撃により、難なく後から身体を貫かれ、切り裂かれた。
動きを止めたADGに、俺がトドメをーー
「ーーっ!?ダメだ!!浅い!!」
俺の攻撃が届く前に奴は動き出した。
「え?…きゃあっ!!」
「芹沢さん!?」
芹沢は突き刺さったままの槍を捕まれ、人外の腕力で振り回され地面に激突した。
そしてADGはそのまますぐ近くに立つ神崎に体の向きを変えた。
「……あーー」
「ーーかんざきぃぃぃぃ!!!」
間一髪、とっさの一撃がADGの背中を大きく切り裂いた。
しかし切り裂かれたはずの背中は、初めから傷など無かったかのように一瞬で再生を終えていた。
「くそっ!神崎!芹沢!大丈夫か!?」
神崎は放心状態で腰を抜かしている、芹沢も気を失っているか…しかしADGの意識は俺に向かせることが出来た。
これで一体一。
「上等…!」
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