青春カプリチオーソ

Aki

部活選び

「さて、授業も終わったことだし
とりあえず、部活の体験にでも行こうぜ」
己弦が大きく伸びをしながら言う

「そうだな、まずはどこから行こうか」
と、言いながら俺は手に持っていた紙を見る

それはホームルームのときに配られた
部室や活動場所の地図だった

「ここは3階だから一番近いのは2階の家庭科室か
調理部とかどうよ?女の子一杯いそうじゃね?」
ニヤニヤしながら己弦が言う

「お前はまたそうやって…」
俺がため息混じりに言うと

「お前だって嫌いじゃないだろ?」
己弦が畳み掛けてくる
「ま、まぁな…」
嫌いな訳じゃ無いんだけどな…
と、思いつつ目をそらす

「とりあえず歩こうぜ」
「そうだな」

その後も色々見て回ったがどれもピンとしなかった

「吹奏楽部も悪くなかったんだけどなぁ」
己弦と中庭のベンチに座りお茶を飲みながら言った

「無理に入らなくても良いんじゃない?」
俺はそう言うが
「いや、ダメだ、俺の青春がそこにあるからな!」
と、頑として譲らない

「ま、今日のところは帰ろうぜ」
「そうだな」

二人でベンチから立ち上がったその時

「ん?どうした奏?」
「ピアノの音がする」
そう言うが早いか、奏は駆け出した

「おい!ちょっと待て!」
己弦は制止しようとするがその声は

奏の耳には届かなかった───

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コメント

  • けん玉マスター

    名前が音楽とかそういう関係のになってるのかな?
    いいですね!

    0
  • 激しく補助席希望

    可愛らしい小説ですね。

    作者さんの優しさが滲み出てるんでしょうね(´∇`)

    1
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