天才少年は、除外されて異世界転移したので雑貨屋やります

AMS

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   僕こと#文風 雅羅__ふみかぜ まさら__#は、ファミレスでお腹を下して洋式トイレに向かったはずだったのだが、何処かで道を間違えたのか——雲の上に何故かいるのだが.............。

   恐らくここは、地球(故星)の雲では無い。もしも地球の雲の上だったとしたら、僕の体は、重力に引っ張られ、パラシュート無しスカイダイビングでもする事になってしまうだろう。

   この状況で考えられる事は、二つだ。
   一つは、夢であること。
   二つは、僕が死んで霊体になったってところだが——どちらでも無いな......。
   そもそも僕は、さっきまでファミレスの男子トイレに入っていたんだ。そこで、居眠りは、普通にあり得ないし、もしも死んだとするならば、業務キッチンで調理家電が大爆発でもして、僕を跡形も無く消し飛ばさない限りは不可能であろう。
   この二択以外で、雲の上なんかに人間を飛ばす事が出来るの者は、もう、向かいに立っている髭が真っ白なアレしか無いだろう。

「メリークリスマス!文風 雅羅!」

と赤い服でも無く、おまけにトナカイもソリも常備していない長白髭のじじいに、そう元気に言われた。

「いや、確かに年間休日364日のホワイト企業に勤めてるじじいも髭が真っ白だが、それは無いだろ.....」

   いや、完全否定でそう突っ込んでしまったが、実際、サンタの正体をはっきり知るわけでも無いし、今日がその#恒例行事前日__クリスマスイブ__#なのだから——その可能は、十分にあるな。

「そのとおりだ!ワシは、この#地球__ほし__#の神じゃからな!」

   と、神は随分と砕けた自己紹介をしてくれたものだ。全く、ちょっとでもサンタと思考した僕に土下座をして欲しいくらいだ。

「それで? 僕を小便小僧状態で此処へ送ったのは、オマエでいいんだろうな?」

   全く、よりにもよって転送するタイミングが悪すぎるだろ........。

「そうじゃ!あっ因みにワシ、こう言った者で.....」

   と、僕にカードを渡してくるのだが、これって、どう見てもビジネスの必須アイテムと言われた名刺だよな......しかも名前がカーネル・ファイヤーなんて、どう考えても問題ありありな名前だ。

「僕の名前を何故知ってるかは、きっと神だから何でもありなんだろうけども。そんな事よりも、僕を呼び出した理由をそろそろ教えてくれないか?」

「それは、じゃな...主がワシよりも頭が良いから地球に残すと、ほれ、星の耐久が持たんけいの、それでとりあえずここに連れて来たんじゃい」

   地球もろ........。

「おい、神。なら僕は今後どうなる?」

   まさかと思うが、このままあの世行きになってしまうのでは?

「ん~、とりあえず、天界にも連れて行こうかと考えたが、それも神としてやりたくない事だからの~」

「ならどうする?」

「そうじゃな~別世界なんてどうじゃ?」

「つまり異世界?」

    まあ、恐らくライトノベルの主人公が転生だの、移転などで行く中世ヨーロッパ風RPGの世界とかなんかなんだろうけど、あまり興味が無いな。

「そうじゃ、そこは、魔法が...ちょっとあるファンタジーな世界じゃ!」

ちょっとかよ...。

「別に良いが、そのまま行かせる気じゃ無いだろうな?」

   流石の僕でも、魔法なんてある世界に手ぶらで行くのは危険かと思うから、ラノベらしくチートらしき物をいただこうと指をコネコネした。

「あ....勿論じゃ...そうじゃな~1つだけ願いを叶えてやる」

   一つか。
   僕は、戦闘は、したくないし、強い力も欲しくは無いな。
それに、その世界の知識や政治が分からないから、金が良いのか、権利がいいかも微妙なところだ。
   そう考えるとやっぱり地球の文化は素晴らしかったな。

「おい、因みにカーネルさんは、その世界がどうか分かるのか?」

    別にそれから考えてもいいだろう。

「は?全く知らんわい!」

「知らないのかよ!」

   不味いな......。
   例えばの話、その世界が魔王がいる世界なら、無敵化も考えていたが、もしもラブコメの世界であれば、モテるだろうチートも悪くないだろう。
   やれやれ.....。
   魔法がちょっとある世界だとどんな世界か分かりにくいな。ここは、やはり元々の能力を信じて、現代風に生きるのが正解か。なら......。

「その世界の知識、言語、歴史、地名、文化、人類全てのプロフィールを僕の頭に打ち込む事は可能か?」

   つまり、その世界の全てを知る能力ってところだ。

「まっ出来るには出来るが、それは頭で無く、アイテムに保存になるがいいかの?」

   アイテムか.....。
   もしも盗難されたり燃やされたらおしまいか。

「そのアイテムを僕しか見えない本にして、見えない空間から出し入れ可能には、出来るか?」

   そうすれば、何とかなりそうだ。

「まあ、それなら能力じゃなくて、これから渡す攻略ガイドで良いかと思うのじゃが?」

「それを先に言え!」

   やれやれ.....。
   なら、他にも生きて行くための戦略が変わるではないか。

「だったら、錬金術では無く、素材を思った物に変える能力を御所望しようか!」

   ただ、欲張り過ぎか...。
   だって、チートアイテムもいくつか作れてしまうからな。

「ええよ?」

「いいのかよ!」

   おっと、どうやらセーフだったようだ。そんな能力をくれるなら、もう勝ったも同然の世界なのだが.....。
   やろうと思えば現代風な世界を作ることだって可能なんだし。

「じゃあ付与するからの...ほい!終わった」

   はや!.....秒でアクションも特に無かったのだが......。

「おい?これで付与されたのか?」

   どうもパッとしないし。

「大丈夫じゃ、あっちの世界に着けば付与されとる。流石の忘れ親父のワシでも、そこは、しっかりしておる!」

   いや、余計に不安になるのだが.....。

「まあ、とにかくじゃ!そろそろワシ、仕事あるから、そろそろ転送させるからの...それと最後に一つだけ言っておかないとならない事があるんじゃ!」

「なんだ?」

   と、その時、カーネルさんの後ろから鹿のような生き物が現れる。

「メリークリスマス!マサラ!」

   そう突然、言ってきて、ハートマークの柄をした一枚のカードを僕に差し出してきた。

   それが何か問いかけようとしたが、僕はどうやら消え始めて会話ができなかった。

「そのカードはワシからのクリスマスプレゼントじゃ!、では、さらばじゃ!マサラ!」

   なんだ.......。
   結局コイツ、サンタじゃないか.......。
 

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