死にたがりの俺が、元いた世界を復活させようと頑張ってみた結果。
厄介ごと到来……の予感
海の上での死体処理、至極単純に海に投げ捨てればいい。しかしそれが、想像以上に苦難だった。
肉体的な疲労? 違うね。
確かに人数は多いが、それだけなら面倒ではあっても、苦しいとは思わない。
では何か? まざまざと、見せ付けられるからだ。否応無く。
あっさり死ねた連中。俺が二十年近く求めて、決して手に入らなかったものを、こんなに簡単に得られた、その表情。
「……」
衝動的に、その辺に転がっていた剣を自分に突き刺す――前に不死が発動。剣は前触れなく砕け散る。
「ちっ……」
やはり駄目か。異世界ならもしかしたらと、こうして死体運びしていたら考えてしまった。ポイントが増えるわけでもなし、益体も無い行動はできるだけ慎まないとな。
肉体的に言うのなら死体運びより、血糊のべったりへばり付いてる甲板の清掃の方が厄介だった。
幸い、以前に『創造』で生み出した日常品に清掃道具があったので、新たにポイントを消費せずには済んだのだが、めんどいものはめんどい。
血糊は洗剤で浮かせて削って落とし、雑巾やモップで水拭きする。穴が開いた場所には木の板を打ちつけ修繕。
……ああ地味だ。もう少し出血しないやり方で殺れば良かった。刃物を使ってる時点で不可能だけど。
そんなこんなをやっている内に、日が暮れる。
大雑把ではあるが、一通りの作業は終わっているし、こんなもんかね。
「さて――それじゃあ……」
おっと、ついつい顔がにやけてしまう。
この船を乗っ取った元々の目的、もちろん忘れるわけがない。
レッツ、物色ターイム♪
…………
……
「って……テンション上げてみたはいいけどさ……」
ロクなもんがねえ。ボロボロで原型を留めていない武具やら、何に使うのかもわからん雑草やら。
はっきり言って、俺が『創造』で生み出したもんのが値打ちありそう。異世界だから高く売れそうだし。
結局宝物庫らしき場所に大したもんは見当たらなかった。
まあ、小物ではないのかもしれないが、大物の賊という感じもしなかったし、こんなもんか。
あー、つまらん。
立派な船は手に入った。それだけでもかなりのプラスなんだろうが、イメージしていた海賊船とは何か違う。そのせいでどーもガッカリ感が消えない。
せっかくだし、あちこち探検してみようか。暇つぶし程度の広さはあるからな。
ふむ。とりあえず、船室は結構あるよな。流石に三十人以上が生活していただけはある。俺一人では使い道がないけど。
……まずは生活感を消す必要がありそうだが、今日のところは掃除はもう勘弁。寝床を整えるのは、俺の分だけで十分だろ。ったく、飲み物のシミくらいは消していけよあいつら。
一つ一つ部屋を確認しているうちに、通路の突き当たりに一際大きな扉を発見した。おそらくここが船長室なのだろう。
「乗員一人で船長もねえけどな」
あくまで構造を把握する意味で、扉を開く。
そこで、想像だにしない光景を眼にする事となった。
「ん、んんんんんヴヴヴ~~~ッッッ!!!?」
何か猿轡されて転がされている、同い年くらいの少女がいた。
「――んー……」
あー、どういう判定下したらいいんだこれ?
……ま、いっか。連中が変態だったって事で。
深いことは考えず、見なかった事にして扉を閉めようとする。しかし――
「ングヴヴヴヴゥゥゥゥ!!」
噛み付かんばかりの勢いで体当たりしてきた。
適当にかわすと、ゴッ!! とかなりの音を立てて壁に激突していた。
あーあ、壁にヒビ入ってんじゃねーか。修理すんの俺なんだぞ、どうしてくれる。
顔面を強打し激痛に悶えている少女をガン無視して、壁の傷具合を気に掛ける。うん、これくらいならちょっと色を塗り直す程度で見た目は誤魔化せそうだ。とりあえずはそれで。
「ン゛ン゛ン゛ン゛ン゛ッッ!!!」
「…………はあ……」
いい加減にコレ、何とかしなくちゃ駄目かなあ……?
封印解いたら絶対メンドクサイ予感が、人生レベルでビンビンしてるんだが。これもヘイトの影響なのかよ。
ま、襲い掛かって来る様なら殺っちゃえばいいか。むしろそうして欲しい。
俺は恐る恐る、少女の猿轡を外していった。大気の遮断から開放された少女の第一声は――
「ヴォッハァッ!!? わ、わたしっ姫なんかじゃありません! ただの村娘です!!」
「――――はあ?」
いきなり何言ってんすかねこの不思議生物。
--------------------
今回のヘイトポイント加減値
少女のしょぼい体当たり=+30p
現在のヘイトポイント=100億4千917p
肉体的な疲労? 違うね。
確かに人数は多いが、それだけなら面倒ではあっても、苦しいとは思わない。
では何か? まざまざと、見せ付けられるからだ。否応無く。
あっさり死ねた連中。俺が二十年近く求めて、決して手に入らなかったものを、こんなに簡単に得られた、その表情。
「……」
衝動的に、その辺に転がっていた剣を自分に突き刺す――前に不死が発動。剣は前触れなく砕け散る。
「ちっ……」
やはり駄目か。異世界ならもしかしたらと、こうして死体運びしていたら考えてしまった。ポイントが増えるわけでもなし、益体も無い行動はできるだけ慎まないとな。
肉体的に言うのなら死体運びより、血糊のべったりへばり付いてる甲板の清掃の方が厄介だった。
幸い、以前に『創造』で生み出した日常品に清掃道具があったので、新たにポイントを消費せずには済んだのだが、めんどいものはめんどい。
血糊は洗剤で浮かせて削って落とし、雑巾やモップで水拭きする。穴が開いた場所には木の板を打ちつけ修繕。
……ああ地味だ。もう少し出血しないやり方で殺れば良かった。刃物を使ってる時点で不可能だけど。
そんなこんなをやっている内に、日が暮れる。
大雑把ではあるが、一通りの作業は終わっているし、こんなもんかね。
「さて――それじゃあ……」
おっと、ついつい顔がにやけてしまう。
この船を乗っ取った元々の目的、もちろん忘れるわけがない。
レッツ、物色ターイム♪
…………
……
「って……テンション上げてみたはいいけどさ……」
ロクなもんがねえ。ボロボロで原型を留めていない武具やら、何に使うのかもわからん雑草やら。
はっきり言って、俺が『創造』で生み出したもんのが値打ちありそう。異世界だから高く売れそうだし。
結局宝物庫らしき場所に大したもんは見当たらなかった。
まあ、小物ではないのかもしれないが、大物の賊という感じもしなかったし、こんなもんか。
あー、つまらん。
立派な船は手に入った。それだけでもかなりのプラスなんだろうが、イメージしていた海賊船とは何か違う。そのせいでどーもガッカリ感が消えない。
せっかくだし、あちこち探検してみようか。暇つぶし程度の広さはあるからな。
ふむ。とりあえず、船室は結構あるよな。流石に三十人以上が生活していただけはある。俺一人では使い道がないけど。
……まずは生活感を消す必要がありそうだが、今日のところは掃除はもう勘弁。寝床を整えるのは、俺の分だけで十分だろ。ったく、飲み物のシミくらいは消していけよあいつら。
一つ一つ部屋を確認しているうちに、通路の突き当たりに一際大きな扉を発見した。おそらくここが船長室なのだろう。
「乗員一人で船長もねえけどな」
あくまで構造を把握する意味で、扉を開く。
そこで、想像だにしない光景を眼にする事となった。
「ん、んんんんんヴヴヴ~~~ッッッ!!!?」
何か猿轡されて転がされている、同い年くらいの少女がいた。
「――んー……」
あー、どういう判定下したらいいんだこれ?
……ま、いっか。連中が変態だったって事で。
深いことは考えず、見なかった事にして扉を閉めようとする。しかし――
「ングヴヴヴヴゥゥゥゥ!!」
噛み付かんばかりの勢いで体当たりしてきた。
適当にかわすと、ゴッ!! とかなりの音を立てて壁に激突していた。
あーあ、壁にヒビ入ってんじゃねーか。修理すんの俺なんだぞ、どうしてくれる。
顔面を強打し激痛に悶えている少女をガン無視して、壁の傷具合を気に掛ける。うん、これくらいならちょっと色を塗り直す程度で見た目は誤魔化せそうだ。とりあえずはそれで。
「ン゛ン゛ン゛ン゛ン゛ッッ!!!」
「…………はあ……」
いい加減にコレ、何とかしなくちゃ駄目かなあ……?
封印解いたら絶対メンドクサイ予感が、人生レベルでビンビンしてるんだが。これもヘイトの影響なのかよ。
ま、襲い掛かって来る様なら殺っちゃえばいいか。むしろそうして欲しい。
俺は恐る恐る、少女の猿轡を外していった。大気の遮断から開放された少女の第一声は――
「ヴォッハァッ!!? わ、わたしっ姫なんかじゃありません! ただの村娘です!!」
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