下位精霊魔道士と転生大精霊

白昼夢もね

第六話「固有スキル」

「と、言ってもだな。なにかあてはあるのか?」

「貴方の固有スキルを利用するわ。」

俺の…固有スキル?スキルというのがあるのは知っていたが…そうか俺にも固有スキルがあるのか。…と言ってもどういうものか、わからないので質問を続ける。

「俺の固有スキルって?」

聖水大精霊ウンディーネの固有スキルは主に《浄化》と《液体操作》よ。」

《浄化》と《液体操作》…。ふむ、聖水大精霊ウンディーネと言うだけあって、それに沿ったようなスキルだな。

「《浄化》は主に、汚れているものを無に返す。ようは元に戻すっていうことね。濁った水に《浄化》を使えば綺麗な水にする事ができるのよ。そしてこの《浄化》。あまり知られていない使い方があってね。貴方が邪魔だと思うもの要らないと思うものに、触れればそれは壊れるの。どういう意味がわかる?…例えばこの机貴方が邪魔だと思えばこの机は壊れる。邪魔と思えば思うほど、この机は壊れゆき、いつかは…無くなってしまうのよ。まさに無に返す…ね。」

「な……。」

あれ?俺が思ってたような《浄化》は?いやまぁ、汚れた水を《浄化》するって事には納得するけどな。壊すことが…できる?邪魔だと思えば思うほど?…何その物騒な固有スキル…。

「レイ…様。まさか、この図書館に張り巡らされている結界を…?」

「あら、感がいいじゃない!そうよ!」

結界を俺が邪魔だと思えば消える…ものなのか?

「意識的に邪魔だと思うだけでも壊れたりはできるわ。まぁ簡易的なものではあるけれど。」

俺の《浄化》と言う名前の割におぞましいスキルを使いこの図書館の結界を破壊する…、がそんなことして気づかれないのだろうか?

「作戦を実行する日は?」

「そ、それについては私に提案があります。」

しばらくの間黙っていたノエルが口を開いた。ここに住んでいるだけあってもうすぐで、何があるのか、たいてい把握しているようだ。

「もうすぐこの街最大のお祭りがあります。その時…なら、エリウーエさんもお祭りに出かけるかもしれません…!」

「でも、鍵…とか掛けられてるんじゃないのか?」

「その点に関しても、貴方の《状態操作》を使うわ。」

……?俺…めっちゃ重要じゃね?え?やばくね?
てか、今更だけど、なんでこいつ俺がウンディーネだって知ってるんだ?俺、言ったけ?

「《状態操作》は水を操り、姿を操る。あなたの身体は水のような性質を持っているのよ。まぁ聖水大精霊ウンディーネなだけあるわね。《状態操作》霧も水も氷も操れて霧にも水にも氷にもなれる。まさに水を司る聖水大精霊ウンディーネだからこその固有スキルね。」

すげぇ…。水になり得るものすべてを操ることができる…か。なんか今まで聖水大精霊ウンディーネの感覚はなかったけどようやく感覚が出てきた。

「その《状態操作》で鍵を作ればいいのよ。」

「おぉ!」

なんかこんなに上手く行ってもいいもの…なのか?簡単に話が進み過ぎな気がするがそれに越したことはない…か。

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