レクラメイションの錬創術士~転生したら、カーバンクルでした!?~
ep.002 ウロちゃんに命名
『こっちが、オレの素なのよ~ふふっ』
「えーっ……、なんという……残念イケメン 」
『何気に、酷いわねぇ……能力の説明に、わざわざ来てあげたのにぃ?』
「ぅ……」
青年は笑いながらも、少女の頭に手を置いてから何かを念じると少女は能力の使い方の記憶植え付けられていた。
「おおっ、便利っ!」
『口頭で説明するより、直に記憶として刻めば分かるでしょ?』
「確かに……」
『そういえば、名乗ってなかったわね?ボクは、“ウロボロス”……この世界の“真理の竜”とも、まぁ~呼ばれているわよ?』
ウロボロスは、この世界について細かく教えてくれてから姿を消して黒い蝶へと姿を変えていた。
『この姿なら、いつでも側にいるわよ』
この世界には、七人の賢者という名の“錬金術士”が居た。
彼らは、“開拓”・“調合”・“発展”・“錬成”・“融合”・“結合”・“解離”といった技術で《滅び逝く世界》を救ったとされている。
だが、それは二百年の間だけだった。
現在は、種族間の争いによって錬金術は本来の使われ方をされずに争いのための文明の発展のためだけに、その知識は使われている。
その争いをしているのは、異種族の集まりである“魔帝国”と人間と天使族の集まりである“神皇国”である。
元々、この二つの国が世界のバランスを護っていたのだが数十年前から狂い始めた。
『それからは、どちらかの“王”が死ぬまで争いを続けては“王”が死ねば五年は大人しくしているのよ』
「……そうなんだ……」
『ちなみに、此処は丁度“ど真ん中”よ?』
「……………………………………………………………………………………へ?」
『“神皇国”と“魔帝国”の《ど真ん中》』
「ええっええぇええええっ!?!?」
*
『落ち着いた、かしら?』
「……そんな、ど真ん中に……」
『でも、安心しなさいよ?此処には、“無限回廊”があるから基本的には国は関わってこないわよ』
「“無限回廊”??」
【無限回路】
それは、世界の最果てとも呼ばれていて普通に挑んで迷い混めば二度と帰って来れないと言われているランダムダンジョンである。
だが、このランダムダンジョンには豊富な資材や宝などが存在しているとされていて冒険者が挑もうと稀に訪ねてくる。
『でもまぁ、不十分な準備じゃー……迷い子になって、死ぬだけっていうものよ』
「脱出が出来ないの?」
『出来るわよ?特定の階層に行けば、場所のマッピング登録がされるのと脱出用の転移魔方陣があるもの』
「……それなのに、そこまで辿り着けてないの?」
『そうねぇ、10年前には五十階層に辿り着いた冒険者は居たわよ?でも、あれから訪ねてきてないのと今の時代の冒険者じゃ……一階層で終わるわね』
ウロボロスは可笑しそうに笑っていたのだが、それはそれで世の中の冒険者の質が落ちたって言っているようなものである。
でも、実話でもある。
基本的に、冒険者となろうとする若者が減っているというのが現実の話なのである。
「……此所が、開拓というか再生されて……訓練とかの施設が出来れば、冒険者の質が上がる可能性もあるって事だよね?」
『まぁ、そうなるわねぇ』
「……なら、此処を立派な独立した国を作る!んで、冒険の出来る大きな街にするってのは……どうかな?」
ウロボロスは、少女の目の前で舞いながらも少し処か明らかに驚いていた。
今まで、この地を再生させようとする転生者も転移者も居なかったからである。
この地の特性を聞けば、皆は諦めてどちらかの国へと移動してしまっていたからである。
(ふふっ、選んで正解だったわね)
(死にかけて、消えかけていた……そんな魂が、こんなにも輝いているじゃないの)
(ふふっ、これなら……この世界の終わりを阻止してくれそうだわね……)
『ふふっ、可能よ?この地を再生させれば、冒険者の質も上がるのと流通だって復活する……そうすれば、各地の小さな土地の豊かさも戻るでしょうねぇ』
「なら、私はやるよ!それに、どのみち生きるためにも平穏に生きるためにも!やらないと、意味がないものっ」
『そういえば、……貴女の名前を聞いてなかったわね?』
ウロボロスは目の前にいる少女を見つめていれば、少女は一瞬だけ悩んでは満面な笑顔でウロボロスを見ていた。
「私の名前は、エミルだよ!」
『そう、エミルね?これから、宜しくお願いするわね?』
「こちらこそ、宜しくね!ウロちゃん!」
『ウロちゃん……』
これから、一人のカーバンクルによって世界に取り残された土地の再生をする物語が始まろうとしている時に、二つの国の各国では暗躍が始まろうとしていた。
【魔帝国】では、ある兵器の作成のために一人の転生者が動き出していた。
それは、“復讐のため”。
【神皇国】では、“救世主”として呼ばれた青年が1つの使命を授けられていた。
それは、“とある竜の討伐”。
それぞれの動きを見せている中で、エミルの奮闘史が始まる。
「よーしっ!まずは、残ってる資材の確認をして作れる施設を考えないとねっ!」
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