不死鳥の恋よ、安らかに眠れ
三色月華①
イシドラはさらに語った。
すでに魔のルッカと同化しているためか、その話は体に染み込むように、ルッカの腑に落ちた。
白銀の月の世界。
あるとき、その世界の歌姫アナは唄った。
不死鳥の歌を。
「無邪気だったわたしは、
愚かだったわたしは、
人を好きになるたびに、
何度も何度も生まれ変わった
春の日差しのような淡い恋
夏の燃えるような熱い恋
秋の寂しさ隠す秘めた恋
冬の冷たい寒さを耐える恋
恋に破れるたびに魂は滅びたが、
新たな恋の火によって再び甦った
だけど、これが最後の恋
もう、わたしには、恋する心はいらない
愛の、本当の正体を知ってしまったから
不死鳥の恋よ、安らかに眠れ」
それは、世界の終わりを示す歌だった。
歌っている本人もわかっていない。
白銀の魔女だけが、その意味に気が付いた。
この世界は、近いうちに滅びる。
魔女の弟子であったイシドラも、そのことを知った。
白銀の月の世界の住人は、風のような存在だ。
肉体を持たない。
しかし、言葉は持ち、お互いの意思疎通をすることができた。
泣き笑い、怒り恨み、ときには恋もしたし、唄も歌えた。
さらに高等な言葉を操るものたちは、魔道士と呼ばれた。
彼らは、歌姫の調べを神の言霊として、研究し、解読していた。
その魔道士の頂点に立つのが、白銀の魔女だった。
その一番弟子が、イシドラだ。
同時に二人は、この世界の滅びには、二つの可能性があることを知った。
完全なる消滅か、または、新たな世界への変容か。
一つは、ノーラの世界の消滅
それは、三匹の聖獣の世界の消滅を意味した。
紅、蒼、白銀の三つの世界のすべてが消滅する。
無になる。
なに一つ残らない。
具体的な過程はわからないが、原因は不死鳥。
不死鳥の恋が、終わったから。
もう一つの可能性、それは世界の変容だった。
三色の月の世界の再融合。
三色の月は重なり、一つの色になる。
三つに分かれた世界も、ふたたび一つになる。
しかし、女神ノーラが復活するわけではなかった。
一度三つに分かれた女神は、二度と元の姿には戻れない。
それは、三つの月の世界の融合は、まったく別の、新しい世界の誕生を意味した。
つまり、ノーラに代わる新たな神が誕生するのである。
白銀の魔女とイシドラは、たとえ神が代わろうとも、世界を消滅を防ぐべきと考えた。
変容してでも、世界が存続する方がいいに決まっている。
そうしなければ、人間も魂も滅びるのだ。
二人は、三つの世界を融合させる方法を研究した。
三色月華世界。
再融合すべき世界を、二人はそう名付けた。
世界を消滅させずに、三色月華世界へ導く。
研究は続いた。
二人の魔道士は、白銀の月の下で、アナの唄った旋律と歌詞を分解して、再構築した。
そこに、鍵が隠されている。
そして、ついにその方法は見つかった。
そのとき、魔女とイシドラはお互いの敵となった。
すでに魔のルッカと同化しているためか、その話は体に染み込むように、ルッカの腑に落ちた。
白銀の月の世界。
あるとき、その世界の歌姫アナは唄った。
不死鳥の歌を。
「無邪気だったわたしは、
愚かだったわたしは、
人を好きになるたびに、
何度も何度も生まれ変わった
春の日差しのような淡い恋
夏の燃えるような熱い恋
秋の寂しさ隠す秘めた恋
冬の冷たい寒さを耐える恋
恋に破れるたびに魂は滅びたが、
新たな恋の火によって再び甦った
だけど、これが最後の恋
もう、わたしには、恋する心はいらない
愛の、本当の正体を知ってしまったから
不死鳥の恋よ、安らかに眠れ」
それは、世界の終わりを示す歌だった。
歌っている本人もわかっていない。
白銀の魔女だけが、その意味に気が付いた。
この世界は、近いうちに滅びる。
魔女の弟子であったイシドラも、そのことを知った。
白銀の月の世界の住人は、風のような存在だ。
肉体を持たない。
しかし、言葉は持ち、お互いの意思疎通をすることができた。
泣き笑い、怒り恨み、ときには恋もしたし、唄も歌えた。
さらに高等な言葉を操るものたちは、魔道士と呼ばれた。
彼らは、歌姫の調べを神の言霊として、研究し、解読していた。
その魔道士の頂点に立つのが、白銀の魔女だった。
その一番弟子が、イシドラだ。
同時に二人は、この世界の滅びには、二つの可能性があることを知った。
完全なる消滅か、または、新たな世界への変容か。
一つは、ノーラの世界の消滅
それは、三匹の聖獣の世界の消滅を意味した。
紅、蒼、白銀の三つの世界のすべてが消滅する。
無になる。
なに一つ残らない。
具体的な過程はわからないが、原因は不死鳥。
不死鳥の恋が、終わったから。
もう一つの可能性、それは世界の変容だった。
三色の月の世界の再融合。
三色の月は重なり、一つの色になる。
三つに分かれた世界も、ふたたび一つになる。
しかし、女神ノーラが復活するわけではなかった。
一度三つに分かれた女神は、二度と元の姿には戻れない。
それは、三つの月の世界の融合は、まったく別の、新しい世界の誕生を意味した。
つまり、ノーラに代わる新たな神が誕生するのである。
白銀の魔女とイシドラは、たとえ神が代わろうとも、世界を消滅を防ぐべきと考えた。
変容してでも、世界が存続する方がいいに決まっている。
そうしなければ、人間も魂も滅びるのだ。
二人は、三つの世界を融合させる方法を研究した。
三色月華世界。
再融合すべき世界を、二人はそう名付けた。
世界を消滅させずに、三色月華世界へ導く。
研究は続いた。
二人の魔道士は、白銀の月の下で、アナの唄った旋律と歌詞を分解して、再構築した。
そこに、鍵が隠されている。
そして、ついにその方法は見つかった。
そのとき、魔女とイシドラはお互いの敵となった。
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