不死鳥の恋よ、安らかに眠れ
蒼い月の下、聖戦士に囲まれて③
「アナ……」
「ルッカ……」
私は、まだ意識を保っていた。
不思議と痛みはなかった。
というより、首より下の感覚はなかった。
矢に貫かれたときは、熱く痛んだが、今はむしろ、寒気すら覚える。
視界は、はっきりとしていた。
「すまない……君を守れそうにない」
ルッカは泣いていた。
私の背中から流れる血は止まらないようだ。
彼の手は、真っ赤に染まっている。
「泣いてるの? 私のために……」
「アナ……これからなのに……やっと、欠けてた何かを手に入れたのに」
「私も……いえ、私は、最後に満たされた。あなたの愛情で」
それを聞いたルッカの涙腺は、さらに緩んだようだ。
ぼろぼろと、大粒の涙が頬を伝う。
「ああ……可笑しいわ」
「なんだよ、何も可笑しいことなんてないよ」
ルッカは手の甲で涙を拭った。
私の血が、彼の頬に線を引いた。
「だって、私のために月が泣いてくれているのよ。月の涙って、黒いのね……」
うふふ。
私は微笑んだ。
ルッカは、不思議に思ったのだろう。
空を見上げた。
蒼い月から、一筋の雲が発生していた。
黒い雲は、次第に丘に近づき、面積を増やしていた。
それは、ただの雲ではなかった。
たちまち暗雲となって立ち込めた。
私は、本当に可笑しかった。
月が、私のために泣いているように見えた。
しかし、ルッカは顔を強張らせた。
そして、低い声で呟いた。
「あれは……呪雨」
「ルッカ……」
私は、まだ意識を保っていた。
不思議と痛みはなかった。
というより、首より下の感覚はなかった。
矢に貫かれたときは、熱く痛んだが、今はむしろ、寒気すら覚える。
視界は、はっきりとしていた。
「すまない……君を守れそうにない」
ルッカは泣いていた。
私の背中から流れる血は止まらないようだ。
彼の手は、真っ赤に染まっている。
「泣いてるの? 私のために……」
「アナ……これからなのに……やっと、欠けてた何かを手に入れたのに」
「私も……いえ、私は、最後に満たされた。あなたの愛情で」
それを聞いたルッカの涙腺は、さらに緩んだようだ。
ぼろぼろと、大粒の涙が頬を伝う。
「ああ……可笑しいわ」
「なんだよ、何も可笑しいことなんてないよ」
ルッカは手の甲で涙を拭った。
私の血が、彼の頬に線を引いた。
「だって、私のために月が泣いてくれているのよ。月の涙って、黒いのね……」
うふふ。
私は微笑んだ。
ルッカは、不思議に思ったのだろう。
空を見上げた。
蒼い月から、一筋の雲が発生していた。
黒い雲は、次第に丘に近づき、面積を増やしていた。
それは、ただの雲ではなかった。
たちまち暗雲となって立ち込めた。
私は、本当に可笑しかった。
月が、私のために泣いているように見えた。
しかし、ルッカは顔を強張らせた。
そして、低い声で呟いた。
「あれは……呪雨」
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