不死鳥の恋よ、安らかに眠れ

ノベルバユーザー304215

暗黒の部屋

 両手首に鎖が嵌められた。

「あの、服を脱がないと。自分で脱ぎますから」

 鎖は左右へ引かれ、壁に設置される。

「その権利はない」

 ハーメルンは、先に服を脱いで、全裸となっていた。

 白い筋肉質の体は均整がとれていた。

 すでに興奮しているのが、彼の体から伝わった。

 剣を取り、私に振り下ろす。

「きゃっ!」

「声を出すな!」

 悲鳴をあげると、罵倒された。

 聖歌隊の衣装に縦長の線が入り、私の肌が露出した。

 痛みはない。
 
 ギリギリのところで、ハーメルンは衣装だけ斬り裂いた。

 二撃目、三撃目が繰り出される。

 彼の剣術に間違いはなかっただろうが、私は恐怖で声を上げずにはいられなかった。

 薔薇の衣装は、ズタズタに引き裂かれた。

 声を抑えきれなかった私の唇に、ハーメルンは剣の刃先を押し当てた。

「どっちがいい?」

 冷たい視線に感情はこもっていなかった。

「剣を咥えるか、オレのコイツを咥えるか。どっちがいいんだ?」

 嗚咽が出た。

 その弾みで、唇の端が切れる。

 ハーメルンは動じる様子もなく、剣先を卑猥な動作で前後させた。

「剣で口が裂け、顔がぐちゃぐちゃになるのも面白いか」

 ひひひ、笑って付け加える。

 美丈夫の顔が、本性を現した途端、たちまち醜く見えた。

「もちろん、死なない程度にやってやる」

 ハーメルンは、自分の股間を指差してもう一度質問した。

「さあ、選べ。どっちがいい? 剣か、このイチモツか」
 
 私は、泣きながら、そっちでお願いしますと懇願した。

 前回にもまして、ハーメルンの欲望は壮絶だった。

 前は人形のようにされるがままだったが、今回は自発的に動くことを求められた。

 ハーメルンの欲望に火を付け、高ぶらせなければ、彼は納得しなかった。

 意識を失うことも、朦朧とすることも許されない。

 水を浴びせられ、油を落とされた。

 途中、何度も死んでしまうかと思った。

 だけど、ハーメルンは、戦士としての嗅覚からギリギリの加減を知っていた。

 全身を汚されると、夜が明ける前までに、私は家に帰らされた。

 母が心配して玄関で待っていた。

 父が亡くなって、何人もの使用人が辞めていった。

 財産は残っていたが、収入は無くなったのだ。

 贅沢な暮らしはもうできない。

「どうしたの? 何があったの?」

 明らかに異常であるのは、母も、すぐに理解した。

 だが、専業主婦で、父や使用人に頼りっぱなしだった母には、どうすることも出来ない。

 それに、万が一行動して、父のようになってはいけない。

 だから、私は何も言わなかった。

「大丈夫よ。お母様」

 心を、全てに真っ黒に塗り潰して、私は何も感じないようにした。






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