私と心と世界

note

乖離

目が覚めると知らない部屋にいた。
真っ白な部屋に扉が取ってつけたように備えられているだけである。私は体が動くことを確認して、ベッドから這い上がり扉に手をかけ外に出る。
長い廊下が続いている。窓が一つだけついていて、外を眺めるとただひたすら草原が続いているだけである。
長い廊下を歩いて外に出てみると道が一本だけ続いている。
その道に沿って歩いてみたが、途中でそれは途切れてしまった。
仕方なく部屋に戻り、ベッドに潜り込む。
ここは一体どこなのだろうか、と思う。私は今まで何をしていたのだろうか。あまり頭の中が整理できないうちに、睡魔に誘われるがままに眠りに落ちる。
ふと起きると、外から人の声が聞こえる。私以外に誰か居たのだろうか。私は裸足のまま外へ駆け出し声の主を探す。主はすぐに見つかった。私と同じような、真っ白な、患者が着るような服を着ている。何やらずっと、おーい、やら、誰かいませんか、などといったことを叫んでいる。
私は、大丈夫ですか、と声をかけてみる。声の主は安堵したようで、私にここはどこですか?と聞く。知らないと答える。そのような押し問答が何度も繰り返された挙げ句、私達はほとんど同じような状況にいることを知らされる。

コメント

コメントを書く

「文学」の人気作品

書籍化作品