行列!異世界の動物園~魔王が園長です。
第四十四話 世界樹③
森林の中植物系魔獣を探している冬太達。
「なぁ、お前本当に植物園なんかやるつもりか? 正直それどころじゃない気がするが」
「今だからこそやるんですよ昔のエルドラドは森が生い茂っていて植物系の魔獣もいたし、妖精もいたって言ってましたよね?」
「はい、確かに前のエルドラドはもっと元気で妖精さん達とも一緒に暮らしていました~」
「どうせなら前のようになった方がいいでしょ?」
「まぁそうだが。簡単に来てくれるか今のエルドラドに」
結果、キノコの魔獣マタンゴを十匹、木の魔獣トレント十体、そして木の妖精と呼ばれているドライアドを十体仲間にした。
「そう言えばお前ってそういうキャラだったな」
「何がです?」
「いや、何でもない。気にするな、今さらだった」
魔王は呆れた顔で冬太を見る。
再び戻って来たエルドラドで冬太は発酵させていた堆肥を匂いを嗅いでチェックする。
「うん、これならいける! 今から人魚族に集めてもらった貝殻を焼いて下さい」
言われた通り人魚族から届けられた大量の貝殻を炎の魔法で焼いていくエルフ達。
しばらく焼いて冷ました貝殻を白い粉末になるまで砕いていく。
魔界の森から大量に持ってきた腐葉土と、三週間以上かけて作った堆肥と貝殻の粉末をエスナに頼んで魔法で混ぜていく。
混ぜると大量の特製堆肥が世界樹のあった場所にこんもりと存在している。
「よし、これを島全体の土に混ぜていきましょう!」
魔王、エスナ冬太と共にエルフ達やエルドラドにやって来た魔獣達も島の土に
堆肥を混ぜていく。
途中堆肥のなかにデカイミミズがいてエルフ達が殺そうとしていたが、「ミミズは土を良くしてくれるので殺さないでください」と注意し、「知らなかった、今まで殺していたよ」とエルフ達は土が悪くなった原因が自分達にもあると知り、ショックを受けていた。
「過去は戻せないけど未来は変える事が出来ます! だから今出来る事をやりましょう!」
その言葉にエルフ達はやる気を見せ、どんどん島の土に堆肥が混ざっていく。
数時間かけて堆肥を島の土に混ぜ終わった冬太達はさっそく水につけ根を生やした世界樹の枝を元々世界樹があった場所に植えていく。
皆祈った。どうか世界樹よ元気に育ってくれと。
次の日細かった枝が太い幹に変わり鮮やかな葉を揺らしていた。
「えっ、この世界の植物ってこんなに速く成長するものですか?」
「そんなわけないだろっ!! きっと世界樹だからじゃないのか?」
「違います~。世界樹も普通の木と同じでゆっくりと成長します~。それにエルドラド全体の緑も生い茂っているので、どう考えてもトウタ君が作った堆肥のおかげですよ~」
エスナは涙声になりながら世界樹と緑が生い茂ったエルドラドを見つめる。
「魔獣の糞を元に作った堆肥だからですかね? それでも世界樹はまだ以前の半分の大きさにも満たないですけど、このスピードならいつかは元の大きさになりそうですね」
世界樹を見つめながら冬太が呟いてると、後ろからエルフ達がやって来て冬太に頭を下げてくる。
「トウタ殿あなたのおかげで世界樹やエルドラドが復活した。礼を言わせてくれ、ありがとう!!」
エスナと同様にエルフ族族長トーリは涙声になりながら後ろに控える涙を流しているエルフを代表して礼を言う。
「まだですよ。この状態を維持する為にもお金が必要です。なのでトーリさんや皆さんが良ければここで植物園をして観光客を呼び込みませんか?」
「私達は元々このエルドラドの森の中で静かに暮らしていた民族だ。だが、今回の事で自分達の視野の狭さに気付いた。確かにあの堆肥を作るにしても労力と金がいるのはわかる。ぜひトウタ殿のお力を借りて植物園なるものをひらいて欲しい」
「そうですか、それならさっそく植物園に向けての準備を始めましょうか」
「ところでなんでお前農業ことについて詳しく知ってたんだ?」
「僕の家って畜産農業やりながら動物園やってたのは知ってますよね。隣の家が農業をやってたり、親戚も農業をやっていたので、農業を手伝っていたし、親が自分の家の動物達の糞で堆肥を作ってたので覚えていただけですよ」
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