行列!異世界の動物園~魔王が園長です。
第三十一話 皇太子①
東の大陸セメントにあるアスファルト帝国内のある部屋にて秘密の会合がなされていた。
「で例の魔界への経済的攻撃とやらは成功したのかな? メリクルス公爵?」
「ええ、今のところは……ですが水族館なるものを人魚の集落近くで行うようで」
「ほほう、動物園の次は水族館か。さしずめ海の生き物でも展示するのだろう。それで妨害策は考えているのか?」
「それが諜報によると、奴ら恐れおおくもリヴァイアサンを誘うようですな」
「ベヒーモスを仲間にしたことで調子に乗ったか。あれこそ海の神。魔王が異世界から呼んだ少年は確かカシワギトウタだったかな? 父上や母上や宰相を心変わりさせてちょっと調子に乗っちゃったかな?」
「そうですな、あの街や百隻の船を一瞬で消したあのリヴァイアサンをそこらの魔獣と一緒にしているのでしょう」
「でももし彼がリヴァイアサンを味方につけたなら面白いよね?」
話している相手の目を見てメリクルス公爵はゾッとした。笑っている筈なのに自分の心臓を鷲掴みにされた気分だった。
「御冗談を殿下」
「ははっ、冗談になればいいけどね。でもその時は彼に会いに行ってみるよ」
母親譲りの端正な美貌を持ち、少女漫画にでも出てきそうな金髪の皇太子――スルト·アスファルトの目は笑っていなかった。
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