復活のロリ勇者~腐属性添え~
第四話~ようは臭い物には蓋をしろって事だよね。添え~
ランドセイル王国第八代国王、レッド·ランドセイル陛下のおな~り~!!
現在、ランドセイル王国城内大広間にて、ダンジョンに封印されていた元勇者を復活させた罪で拘束されている。
ズリズリと片足を引きずりながらバカ王が玉座に座る。
「これより、国家大罪人への裁きを下す」
「待っ………」
「大罪人オザキタクミを死刑とするっ!!」
いきなり、裁きとは穏やかではない。抗議しようとしたけど、バカ王の姿を見て言葉を失う。
死刑宣告されてるんだけど、それよりもなんでバカ王が包帯巻きまくってるのか気になる。
「あの~、死刑に異議申し立てするよりも先に何で王様包帯ぐるぐる巻き状態なんですか?」
遅すぎる中二病でも発症したのだろうか?バカ王ならありうる。
そんなバカ王、肩をわなわな震わせ一喝!!
「お主がメロリーたんの封印を解いたからじゃろいっっ!!」
「メロリーたん?」
「十年前に封印した余の国の元勇者じゃ!せっかく十年間平和じゃったのに何で封印解いたんじゃっ!?」
「封印って魔方陣の真ん中に鍋の蓋が置いてあったやつですか?」
「そうじゃよ!注意書きまで念押しで三ヵ所に書いてあったのに!!」
「三ヵ所書いてあったからこそ逆に解いていいのかなって。僕の国の偉人は三回ダメと言ったら良しの合図と言っていたものでして」
「その独特な合図この世界でも適用されてると思ったの!?アホなの!?」
「アホとは失敬な。モンスタートレインに追われ、やむなく十階のボス部屋に入り、ボスモンスターに殺されかけたんです。僕も苦肉の策だったんです。じゃなきゃ、普通はそんな合図が通用するとは思いませんよ、王様じゃないんですから」
「なるほど、お主にもやむを得ぬ理由があったんじゃな。……って最後余をディスってない?」
「まさか、仮にも王様をディスるなんて僕には出来ませんよ」
「そうか、確かに仮にも国王である余をディスるなど出来る訳が………って騙されぬ、騙されぬぞ!お主仮にもって言ったよね!?仮ではなく正真正銘なの!今回の罪の前に不敬罪で死刑にする事も出来るんじゃからな!わかってる、そこんとこ!?」
「……恐ろしい。これが独裁ってやつか。この世界の常識を知らない異世界のか弱き少年を気にいらないからって死刑にするとか」
「きいぃぃぃっ!こやつと話しておると頭がおかしくなる。ねぇフェルマン、こやつもう死刑にしてもいいよな!?」
頭をかき乱しながら、バカ王の横に控えている宮廷魔術師長さんに声をかけるバカ王。命の恩人の宮廷魔術師長さんはフェルマンさんと言うのか。
「所詮は何も知らぬ愚かな若き少年の戯れ言。思慮深い陛下ならこの程度お許しになると私は知っておりますぞ。それよりもメロリー殿の件のほうが重要でしょう」
さすが命の恩人。また救いの手を出してくれたらしい。
フェルマンさんマジカッコいい。
「ぐぬぬっ………そうじゃな、余は思慮深いものな。うん、この少年の生意気な言動も若気の至りとしておおめに見るとしよう。じゃがメロリーたんの事は別じゃっ!封印解いたせいで、余の城に大穴あくわ、余はボコボコに………ぐすっ、ボコボコにされたんじゃぞ!」
いい大人が泣いてるよ、余程怖かったんだな。僕としては良いきみなのだが。
しかし、包帯ぐるぐる巻きになる程どうしてボコられたのだろう。
「確かに封印は解きましたけど、それとメロリーさんに王様が被害を受けるのに何の関係が?」
「話すと長いが」
「長いのはちょっと。拘束されてるのもつらいんですから、ちゃちゃっと要約してくれませんか?」
「ぐぬぬ………ごほん!まぁ、いいだろう。余は思慮深いからな。話をまとめるとだな、我が国にランドセイルと他の六つの国には同時期に勇者が生まれる。勇者には五歳になると成長が止まる呪いが魔王によってかけられておってな。七人の勇者は魔王を世界の為に自分の為に討伐するのがこの世界の理じゃった。今まで何世代もの勇者が魔王討伐に出かけ、それを余の国を入れた七国同盟が昔からサポートしてきた。そして、十五年前成長が五歳で止まった当時の勇者の中にランドセイルの勇者としてメロリー·フラットパインが入っておった。
当然、他の六人の勇者は魔王とその配下のモンスターと闘う日々に身を投じておった。じゃがメロリーたんは勇者と発覚してからの五年間、食っちゃ寝食っちゃ寝の繰り返し。勇者として活躍してこなかったんじゃよ」
五歳で成長がとまるってだから彼女は幼女の姿だったのか。
だけど……
「だからって封印するのはやり過ぎじゃありませんか?」
「ただの食っちゃ寝ならな。世界のあらゆる食べ物やこの世界には存在せぬ料理を所望し、用意された部屋から一歩も出ず、自分の異世界の変わった趣味に金をかける日々。勇者を援助する為の七国同盟の資金は彼女一人のせいで尽きかけた」
「それは酷い。だけど、存在しない料理?異世界の変わった趣味?」
それってまさか。
「そう、お主が思っておる通りじゃよ。勇者には、五歳で成長が止まる呪いの他に特徴があっての、異世界の記憶を持っておるのじゃ。つまり、異世界転生じゃな。その記憶の中にある見たこともない料理を料理人に所望したり、同人誌なる卑猥な本を世界中に流布するなどで我が国ならず世界の国々まで混乱させたのじゃ」
あっ想像してたよりも重いぞ?同人誌ってまさか?
「あの同人誌の内容って?」
「…………今思い出しても身の毛が立つ。余や他の国々の王達、王子達が絡み合う描写の本だ。ただでさえ、高級な紙やインクをそんなあらぬ誤解を生む本に使ったのだ。財政は火の車、世界中に誤解を受け、王や王子達はお互い疑心暗鬼になるし、民衆達は変な目で見てくる。今でもメロリーたんが行った所業は伝説のロリ勇者の所業として民衆の間で語られている。そんなのお主なら堪えられるか!?」
無理です。伝説ってダメなほうの伝説か。これはさすがに封印されてもしょうがないか。伝説のロリ勇者というか伝説の腐ロリ勇者だな。今度から腐ロリさんと呼ぼう。
だけど、封印された本人にしたら……。
――――ドカンッ!!
「だからって、食事に睡眠薬入れて眠ってる隙に七人の王総出でダンジョンに封印しますかねっっ!!」
僕の後方にある大広間の扉を蹴り破ってきたのは、件の腐ロリ勇者――メロリー·フラットパインその人。
「だいたいお前ら王様達は支援の見返りに、わたちら勇者の写真を撮ったり、自分達の趣味の洋服を着させたりさせて喜んでたじゃねぇか!七国同盟?ロリコン同盟の間違いだろうが!!」
あ~王様達は王様達で問題があるなぁ。ロリコンなのか。
「それは心外ですぞ。余達はロリンの神の偉大なる教え、イエスロリータノータッチの元、敬虔な使徒として七人のロリ勇者を見守ってきただけですぞ!」
「なぁにが見守ってきただ。お前の私室、あたちの写真を壁じゅうに貼りまくってるのを見つかって、妃に冷たい目で見られたのを忘れたとはいわせねぇぞ!」
「ずるいですぞっ。それは言わない約束だったではないですか!?」
「それは見返りに好き放題生活してもいいって約束があったからだ。騙し討ちで封印しといてずるいもねぇだろう。だいたい今も食べ物であたちを別室に閉じ込めとくとかどうなの?もう一回、城にあたちのハイパーサンダーキックお見舞いすんぞ」
片手に大きな骨付き肉を持ち、噛りつきながら腐ロリさんは片足をブラブラさせる。というかツッコミどころが多すぎてどこから突っ込んでいいかわからないけど、そのキック名は某巨大ロボの技に似ているので止めていただきたい。
「それはお許しを~。食事を提供しているのは、余を殴り疲れお腹がすいたとおっしゃったからではないですか!」
「あたちが言ったのはお腹がすいた。久しぶりに玉子とクリームを絡めたパスタが食べたいと言ったんだ。だがでてきたのは玉子とクリームソースが分離して玉子が固まったパスタだ。あんなものあたちが食べたいパスタじゃない。あたちを納得させねぇとこの国壊したあと、残り六つの国にも殴り込みかけっぞ?」
「ご容赦を~!!異世界の料理などこちらの料理水準ではとても再現できないのです。この国ある料理なら何でも提供しますからお許しください!」
バカ王だけじゃなく、フェルマンさんや他の臣下達も腐ロリさんに頭を下げ許してくれる様に懇願しているけど、頑なにパスタを食べさせないと許さないの一言。
どんだけパスタの価値高いの。というかどっちも悪いところがあるし、正直こんなくだらない言い争いに入りたくはないのだけど、僕の命がかかってるんだからしょうがないか。
「あの~、それってカルボナーラですよね。僕作れますけど」
「「「「えっ?」」」
―――蚊帳の外に居たはずの少年の一言によりその場が固まった。
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