勇者パーティーの回復魔法師、転生しても回復魔法を極める! 〜只の勤勉で心配性な聖職者ですけど?〜
第28話、駆け上がれ!
オールヒールが捉えた複数の敵の反応。
その中には暗雲吹き荒ぶ薄暗い上空にも、敵がいる事を示している。
またここからでは死角となっている階段の最上段から、目の奥に怪しい光を灯す骸骨兵士達が顔を覗かせる。
それを皮切りに、暗雲から大量の影の悪魔が飛び出してきた。
奴らは長い影を伸ばしながら空中を滑るようにしてそのまま断崖絶壁へと下降していき、そしてその一部が階段中腹の片隅に折り重なるようにして山積みで倒れているスケルトンの方へ吸い込まれるようにして降りていく。そして悪魔の影に触れたスケルトンたちが、ユラユラ動き始め立ち上がり出す。
『ザッ』
『ガザッ』
音がする方を見れば道の左右、崖から這い上がるスケルトンたちの指が至る所で見え始める。
「いちいち相手にしてたらキリがない。前面に攻撃後、中央突破するわよ! 
他者を妬み身を滅ぼす愚者よ、我に力の本源を! 闇の奔流」
ララノアの右手の指と指の間に、魔法で生み出された四本の闇の矢が現れる。
そして矢継ぎ早に放たれるダークアロー。
その直撃を受けたスケルトンたちは、その一撃でドギーマンごと黒霧へと変わっていく。
「リーヴェ、エル、私について来るんだ」
ララノアが矢を放つ中、先行して私たちが階段を駆け上がっていく。
そして私が進行方向上の敵を片っ端から破壊しながら上っていると、漆黒に染まる矢が私の真横をすり抜ける。そしてその矢は上段から私に向かい駆け下りて来ていた、スケルトン一体を霧へと変えた。
今の攻撃、ララノアが階段を駆け上がりながら矢を射ったようだ。
そしてすぐ後ろまで追いついて来たララノアが話しかけてくる。
「アルド、あのスケルトンの山は私がどうにかするから、その内に進みなさい! 」
「ララ先生、それでは私たちが足手纏いになっていますよ。ここは私が処理します。
神聖降臨波」
私が生み出し放った拳大の光球が、スケルトンの山に着弾。と同時に展開される半径3メートルの光の球体に、山積みのスケルトンは勿論、既に動き出していた周辺のスケルトンも巻き込みドギーマンごと塵へと変える。
「えっ? 今のは? 」
私の隣まで追いついたララノアが疑問をぶつけてくる。
「神光魔法の神聖降臨波です。精神攻撃魔法ですが、どうやらドギーマンにはかなり有効なようです」
「と言うか、そもそも詠唱はした!? 」
「省略しました」
「あぁ、なるほどね、省略ね、アルドだもんね」
階段を全て駆け上がった私たちは、そのちょっとした広場にいるスケルトンたちを一蹴して、城の中へ飛び込む。
そして駆け上がって来たスケルトン達が殺到する中、リーヴェとララノアの援護射撃の元、私とエルで全長3メートルはある分厚い金属製の扉を閉め閂を通した。
「ふはぁー、ここまで来たら取り敢えず大丈夫だけど、なんなのあれ? いつもより敵が多すぎたわ! あとアルド、一人じゃやばかったかも、ありがとう」
スケルトンたちが外から扉を叩く金属音が聞こえる中、ララノアが息を切らしながらお礼を述べてくる。
「いえ、当然の事をしたまでです」
そこで意識を城内に向ける。
この空間は赤の絨毯が左右を二分するようにして真っ直ぐ奥へと伸び、その絨毯の両端には多くの椅子がこちらを背にする形で並べられている。
ここだけ見ると礼拝堂みたいなのだが、その少し先はプツリと椅子が消え、代わりに太い円柱が奥へと向かって等間隔にズラリと並んでいる。
ダンジョン特有の統一感が欠如した不思議な空間。
それと今の所オールヒールに反応は無い。
静寂に包まれた空間でスケルトンたちが鉄扉を叩く音を鳴り響かせる中、私たちはその絨毯の上を奥へ向かい歩いていく。
そして両サイドの椅子が円柱に変わり、諦めたのか鉄扉を叩くスケルトンの数が少なくなった頃——
ん?
急に息苦しくなったように感じるのだが?
いや、確かに息苦しい!
これは……今まで体験した事がない、高密度の魔素。
それにこの魔素、部屋全体をゆっくり包み込むようにして奥から流れこんでいるように感じる。
前世の記憶にはない、これがダンジョン活性化前の予兆なのか!?
「間違いないわ、この魔素量はダンジョン活性化の兆し。みんな、この事を報告しに一旦ギルドへ戻るわよ! 」
そして来た道を戻ろうとした時——
「みんな! 」
ララノアの突然の呼びかけに彼女を見れば、鬼気迫る表情で辺りを注視していた。
「一箇所に固まって! この空間にモンスターが発生するわよ! 」
なんだと? この非常時にモンスターの発生だと?
……つまり、ダンジョン活性化に産み出されると言う変異種なのか!?
そこで急速に周囲の魔素が、一点に集約されていく。
集まる事によって魔素が肉眼でも確認が出来るようになる中、その魔素は渦巻くようにしてその質量を高めていく。
「来るわよ! 」
そして渦巻く魔素から、金属製の何かが生えるようにして姿を現していく。
こいつは馬鹿でかい!
魔素から形を成していくそいつは、軽く二階建ての民家ぐらいもある巨体で、まるで城壁が動き出したかのような重装甲の鎧の化け物。
そしてその手には、そいつの身長ぐらいはありそうな超特大サイズの分厚い剣と、そいつの体がすっぽり隠れてしまうようなこれまた馬鹿でかい壁のような分厚く巨大な盾が握りしめられている。
その中には暗雲吹き荒ぶ薄暗い上空にも、敵がいる事を示している。
またここからでは死角となっている階段の最上段から、目の奥に怪しい光を灯す骸骨兵士達が顔を覗かせる。
それを皮切りに、暗雲から大量の影の悪魔が飛び出してきた。
奴らは長い影を伸ばしながら空中を滑るようにしてそのまま断崖絶壁へと下降していき、そしてその一部が階段中腹の片隅に折り重なるようにして山積みで倒れているスケルトンの方へ吸い込まれるようにして降りていく。そして悪魔の影に触れたスケルトンたちが、ユラユラ動き始め立ち上がり出す。
『ザッ』
『ガザッ』
音がする方を見れば道の左右、崖から這い上がるスケルトンたちの指が至る所で見え始める。
「いちいち相手にしてたらキリがない。前面に攻撃後、中央突破するわよ! 
他者を妬み身を滅ぼす愚者よ、我に力の本源を! 闇の奔流」
ララノアの右手の指と指の間に、魔法で生み出された四本の闇の矢が現れる。
そして矢継ぎ早に放たれるダークアロー。
その直撃を受けたスケルトンたちは、その一撃でドギーマンごと黒霧へと変わっていく。
「リーヴェ、エル、私について来るんだ」
ララノアが矢を放つ中、先行して私たちが階段を駆け上がっていく。
そして私が進行方向上の敵を片っ端から破壊しながら上っていると、漆黒に染まる矢が私の真横をすり抜ける。そしてその矢は上段から私に向かい駆け下りて来ていた、スケルトン一体を霧へと変えた。
今の攻撃、ララノアが階段を駆け上がりながら矢を射ったようだ。
そしてすぐ後ろまで追いついて来たララノアが話しかけてくる。
「アルド、あのスケルトンの山は私がどうにかするから、その内に進みなさい! 」
「ララ先生、それでは私たちが足手纏いになっていますよ。ここは私が処理します。
神聖降臨波」
私が生み出し放った拳大の光球が、スケルトンの山に着弾。と同時に展開される半径3メートルの光の球体に、山積みのスケルトンは勿論、既に動き出していた周辺のスケルトンも巻き込みドギーマンごと塵へと変える。
「えっ? 今のは? 」
私の隣まで追いついたララノアが疑問をぶつけてくる。
「神光魔法の神聖降臨波です。精神攻撃魔法ですが、どうやらドギーマンにはかなり有効なようです」
「と言うか、そもそも詠唱はした!? 」
「省略しました」
「あぁ、なるほどね、省略ね、アルドだもんね」
階段を全て駆け上がった私たちは、そのちょっとした広場にいるスケルトンたちを一蹴して、城の中へ飛び込む。
そして駆け上がって来たスケルトン達が殺到する中、リーヴェとララノアの援護射撃の元、私とエルで全長3メートルはある分厚い金属製の扉を閉め閂を通した。
「ふはぁー、ここまで来たら取り敢えず大丈夫だけど、なんなのあれ? いつもより敵が多すぎたわ! あとアルド、一人じゃやばかったかも、ありがとう」
スケルトンたちが外から扉を叩く金属音が聞こえる中、ララノアが息を切らしながらお礼を述べてくる。
「いえ、当然の事をしたまでです」
そこで意識を城内に向ける。
この空間は赤の絨毯が左右を二分するようにして真っ直ぐ奥へと伸び、その絨毯の両端には多くの椅子がこちらを背にする形で並べられている。
ここだけ見ると礼拝堂みたいなのだが、その少し先はプツリと椅子が消え、代わりに太い円柱が奥へと向かって等間隔にズラリと並んでいる。
ダンジョン特有の統一感が欠如した不思議な空間。
それと今の所オールヒールに反応は無い。
静寂に包まれた空間でスケルトンたちが鉄扉を叩く音を鳴り響かせる中、私たちはその絨毯の上を奥へ向かい歩いていく。
そして両サイドの椅子が円柱に変わり、諦めたのか鉄扉を叩くスケルトンの数が少なくなった頃——
ん?
急に息苦しくなったように感じるのだが?
いや、確かに息苦しい!
これは……今まで体験した事がない、高密度の魔素。
それにこの魔素、部屋全体をゆっくり包み込むようにして奥から流れこんでいるように感じる。
前世の記憶にはない、これがダンジョン活性化前の予兆なのか!?
「間違いないわ、この魔素量はダンジョン活性化の兆し。みんな、この事を報告しに一旦ギルドへ戻るわよ! 」
そして来た道を戻ろうとした時——
「みんな! 」
ララノアの突然の呼びかけに彼女を見れば、鬼気迫る表情で辺りを注視していた。
「一箇所に固まって! この空間にモンスターが発生するわよ! 」
なんだと? この非常時にモンスターの発生だと?
……つまり、ダンジョン活性化に産み出されると言う変異種なのか!?
そこで急速に周囲の魔素が、一点に集約されていく。
集まる事によって魔素が肉眼でも確認が出来るようになる中、その魔素は渦巻くようにしてその質量を高めていく。
「来るわよ! 」
そして渦巻く魔素から、金属製の何かが生えるようにして姿を現していく。
こいつは馬鹿でかい!
魔素から形を成していくそいつは、軽く二階建ての民家ぐらいもある巨体で、まるで城壁が動き出したかのような重装甲の鎧の化け物。
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