物渡り

ノベルバユーザー302214

20日目

今日は遮断機になりました。
まだ日も登ってないうちから電車が走っています。
自分がいる場所は駅のすぐ横でした。近くに時計があり、5時半頃を示しています。
やがて7時を過ぎ、学生や社会人の人達が駅へ向かい始めます。
学生の話に耳を傾けると今日は公立高校の卒業式のようです。
8時の電車が出発すると、それから学生や社会人の姿は見なくなりました。
8時半頃になり、再び電車が走ってきました。
それとほぼ同時に遠くに学生の走る姿が見えます。
その学生が駅に着く頃には電車は行ってしまいました。
「あぁあああー!やばい...これ逃したら次9時半なのに...主役が遅刻してどうするんだよ!!」
独り言がうるさい人だなぁと思っていると慌ててスマホを取り出し誰かに電話しています。
「頼む...頼む...............あぁぁぁ!あのクソババア!!なんで出ないんだよ!どうしようどうしようどうしよう...」
これはもう遅刻するしかないでしょう、諦めて学校に電話しなさい。そう思っているとその少年も同じことを考えたのか、再び電話しています。
「もしもし、赤崎高校ですか?3年2組の原田健です。寝坊してしまって...はい、はい、......そうなんですよ、親と連絡取れなくて、お金も持ってないので.........あのー......迎えに来てもらったりできませんか...?」
は?この少年はふざけているのでしょうか?教師に迎えを頼むなんて...まぁ、迎えになんて来ては.........
「ほんとですか!ありがとうございます!甲里駅にいます。ほんとにありがとうございます!」
......最近の教師は甘々なようです。

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