物渡り

ノベルバユーザー302214

14日目

今日は絆創膏になりました。
目が覚めると狭い箱の中にいました。
すぐ近くに仲間が何枚もあり、満員電車を思い出します。
毎朝毎朝ストレスを溜めていたあの時間も、懐かしく思えました。
「お母さ〜ん、今日は秋ちゃんとカラオケ行くの!」
「へぇ〜、楽しそうじゃない。いってらっしゃ〜い」
「うん!楽しみなの!今日はカラオケに行くの!」
「そうね〜、楽しんでらっしゃい」
「うん!楽しむ!今からね!カラオケに行くの!」
「うん、いってらっしゃい」
「今日はね!カラオケに行くの!」
「うん、いってらっしゃい」
「カラオケに行くの!」
「仕方ないわね〜、2000円で足りる?」
「うん!ありがと!いってきま〜す」
「いってらっしゃい」
驚きました。最近の若い子ははっきりとお金を頂戴とは言わないのだろうか?
どうやら今日は何事もなく、家でお留守番のようです。
「ただいま〜!」
「あら、おかえり。もう行ってきたの?」
「うん!楽しかったからもう1回行ってくる!」
「いってらっしゃい」
突然箱が開かれ自分は数枚の仲間と一緒に取り出されました。
「いってきま〜す」
勢いよくドアを開け、走っていきます。
角を曲がると少し離れたところに、子供が集まっています。
「あっ!きたよ!」
「お待たせ!もう大丈夫だよ〜」
「ぐす...ぐす...ありがと...優しいお姉ちゃん」
「よし!これでもう大丈夫!歩いて帰れる?」
「うん。大丈夫だよ。ありがとう!」
「そっか、じゃあね!」
「うん!ばいばい!」
「よかったね〜」
「「ありがとうございます」」
自分はその子供の膝に貼られて、優しいお姉ちゃんを見送りました。

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