禁断幼女

ノベルバユーザー302182

プロローグ

『本日10:20をもってβ条約期間終了、同日10:28より〈第8機動部隊〉全艦隊を用いて第三次iAses解放戦線を開始する。また全機動部隊の武装を〈惑爆式〉から〈対人式〉へと切り替え……』
機体整備室に響きわたる冷たく重い艦内放送。第8機動部隊の搭乗員達はその恐怖感から少しでも逃れるため他の搭乗員とは雑談でもして何人かのグループ作っている。その中でも一人整備室の端に座り込んでいる男がいた、俺だ。俺はそこらのかき集められた奴らとはちがう……俺は自らの意志で出兵した。俺の名前はトニー=ブラームス、底辺搭乗員だ。同期の奴らは既に上位機動部隊に所属している。俺には運がないのさ。もう一度、俺に昇格するチャンスをくれ……
俺が乗る機体は〈SPf2-スターガンナー〉という解放戦線序盤にすら使われていたか分からないほどのクソ機体だ。もちろん〈SPf-アルバトロス型〉などの最新鋭機動武装兵器には乗せてくれない。(第一アルバトロスは第八機動部隊には数えるほどしかないのだが…それも編隊長ぐらいの搭乗員にならないとそれを自らの機にできない。)

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出撃が数時間後に迫る。全搭乗員が倉庫の横の薄暗いミーティングルームに集められ、作戦の最終確認を行った。ミーティングが終わるとまた搭乗員達の声で部屋が満たされていった。ふと一際うるさい方に目を向けた時だった……一人の男と目が合った。30代ぐらいの男だった…ヒゲを生やし、髪もボサボサ…そうこうしている内にそいつが俺に近づいてきた!その男の胸元には赤線二本のワッペンが貼ってあった。〈飛行隊長〉だ……「てめぇが24編隊の二番機か?」男は声を低くして言い放った。

「24編隊二番機担当、トニー=ブラームスです。」

ボソッと言い放った。

優しい男は「俺はハーネス=シップスよろしくな。」と笑いながら言ってくれた。俺は少し罪悪感をおぼえた。そして俺に持っていた酒?のような飲み物を渡し、去って行った。どちらにせよ俺は酒は嫌いなので飲まないで捨てたので酒かどうかは定かではないのだが………悪いことをしたのかなぁ、少し反省してしまった。

その後24編隊の3人で集まった。24編隊は俺、ハーネス、そして三番機担当ジャージー=ルーカスで構成されている。ジャージーは19歳という若さで前線にでれるほどのエリートだ。ちなみに俺は26歳で階級こそ高いが今回が初陣である。どうせその階級とやらもすぐとられるだろうよ。同期に先に出撃された悔しさが蘇る。「よろしくジャージー。」やさしく言ってやった。しかし、内心ジャージーを許せない俺がいた。


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10:28  俺らは宇宙機動母艦〈ハウライナー〉を後にし、解放戦線へと向かった。

戦線へは〈宙爆〉の援護をしながらの出撃である。宙爆とは〈対宇宙戦艦型爆撃機〉の略であり、その名の通り敵艦を潰すのに使う。簡単に言うと、俺らが使う〈対人式ミサイル〉の上位互換を搭載してる機体であり、対人式ミサイルでは敵機を潰すので精一杯なのに宙爆はその矛で宇宙空母すら沈められる。俺らはその援護というわけさ。敵機動部隊を蹴散らすのはエリートが集められた第2,3機動部隊である。さすがに第八機動部隊では歯が立たないからな。俺はいつになれば、上位機動部隊に所属できるのやら……いくらなんでも死ぬまで第八はうんざりだぜ……そんなことを考えていたら。ハウライナーからいきなり通信が来た。『敵機をレーダーで捕捉。残り3,000』それを聞いた俺は安心して操縦桿を握っていた手を少し弱めた。俺は気づかなかった……その時、敵機が機動部隊にピタリとついていることを…………本部のミスだ。

ほんの少しの油断だった。

一瞬何があったのか分からなかった。
『ピュンピューンダダダダッダダダダッ』
いきなりコックピットが真っ赤に染まり上がった。「痛え……ゴホッゴホッ」
それと同時に友軍機から通信がきた。『助けてくれッ』『痛い痛い痛い………』『生きてるヤツは小惑星帯に離脱する。繰り返す、生きてる……』

こんなところで犬死にするわけにはいかねぇんだよ。俺は右手て傷口を押さえた。

俺はヤツらとは真逆の方向に飛んだ。しかし敵機はまだピタリと付いてやがる……。
こうなったら……最後の決心をした。思いっきり操縦桿を押して地球に、大気圏に突っ込んだ。

途中まではついてきた機体もあったが、ほとんどが退避していった。
俺を見た奴らは驚いたに違いない、なぜなら通常の機体は「それ」がないからだ。だが俺は知っている。このスターガンナーという機体には最新機体とは違う点がある、それは「耐熱性」だ。解放戦線序盤では惑星から直接離陸して宇宙空間に出るのが主流だったので、こいつにはそれがある。つまりそいつがあれば大気圏を思いっきり突っ切れるというわけさ。

そうこうしている内に機体が暑くなり始めた。
俺は暑さと尋常ではない「G」によって意識を失った。暑かった。





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