もふもふを探しています。

小狐

第6話

ルイさんの部屋の中。

「外からかすかに聞こえていた、話し声がしなくなった…マークレ王子は帰ったの?」

洞窟の奥。多分私はルイさんの部屋にいる。話し声が聞こえたくなり壁から耳を離した。

「まったく、聞き取れなかったや」

マークレ王子がルイさんに会いに来た?彼らは知り合いという事は私の事を話した?
 
「それは困る」

ルイさんの側にはいたいけど…マークレ王子の婚約者になるのは嫌だ。早くヒロインとくっ付いてくれればいいのだけど…マークレ王子がルイさんと仲の良いお友達だとすると…

「またここに、来る?」

ルイさんに迷惑をかけてしまう。明日にでもここを出よう。

それからの事は出てから考えるとして、今日しか出来ないことをしちゃおう。

「ルイさんの部屋探索をしちゃうぞ、あれもこれも開けるぞ」

まずは近くのクローゼットを開けた。

そこにはアイロンがピシッとかかった、清潔感のある白いシャツが何枚かかっていた。

「こんなにあるんだったら、いま着ているシャツは記念に貰っちゃおう」

勝手にそう決めてクローゼットを閉めた。

次はその隣の私の身長より高いタンス。彫刻で作られ、銀色に彩られた装飾がたくさんた豪華なタンスの前。

タンスの取ってまで繊細に彫刻しなくても、綺麗だけど触っただけで壊われそう、絶対壊すと諦めた。

タンス上に何か置いてある?

「あれはガラスケースだ」

つま先立ちをして中を覗くと、そこには大切そうに置かれた白いリボンが見えた。

「ルイさんの彼女さんのかな?」

何故かそれを見ると胸の中が変な感じ?

「なんでだろ?」

この辺が…胸の奥。ざわざわしてくる…このざわざわの正体は何?

「わからない…胸の中がキューっとする」

苦しくなる。

それから目を離して、ルイさんが戻る前に次の扉を開けた。

「ここはお風呂だ。それも猫足の湯船だ」

白い湯船に金色の猫足がついていて可愛い、お湯の出る蛇口も金色だ。

でもこの大きさだとルイさん入れるの?

湯船に浸かれる?

少し小さくない?

「可愛いんだろうな…ルイさんお風呂姿」

体をもふもふの体を縮こめて、ぎゅうぎゅうに浸かるのかな?その光景を妄想して笑った。

次は…「最後のメインイベント」ルイさんの寝室

ドアノブに手をかけて「失礼します」と、扉を開けた。

そこには大きなベッド。汚れひとつない真っ白な天蓋付きのベッドが置いてあった。

部屋の中といい、このベッド。ルイさんて何者?

「まさか彼は…獣人の王様」

それだったらマークレ王子と知り合いでも納得がいく。でも何故こんな所に?訳ありで仕方がなくいるのかな?

「王様は大変だね」

私はそのベッドに躊躇なく飛び乗った。

「おふっ!」

ふかふかだ触り心地も良い大きなベッド、ゴロンゴロンと寝返りを打つ。

「このベッドに寝るとルイさんの匂いがする」

いま着ているシャツと同じ匂いだ。これってルイさんの匂い…なんだ…いい匂い。

「むはぁ、やばい」

ドキドキしてきた。

「なんだかルイさんに抱きしめてもらってるみたい……はあぁ、幸せ」

ルイさんの匂いに包まれて目を瞑ると、いつのまにか私は眠ってしまった。

 


ルイside

「これからどうするかな?」

カルノがルイの部屋を物色中。

ルイは洞窟の入り口に立っていた。マークレ達がここから遠くに行くか帰るまでは気を抜けない。

明日この事を父上に報告しにいくのはいいが…おチビの両親に何を言えばいい?

「お嬢さんのカルノさんがいま私のうちにいる」

……変だし、それでは俺が誘拐?したみたいだ。王子だと言っても俺のことは知らないだろうから…余計に怪しまれる。

「困った」

そうだ…自分で言うよりも…父上に一筆書いてもらおうその方が確実で安全だろう。

明日の早朝に動こう……


「あいつらはどうなった?」


静かな森の中俺は遠くのまで聞こえるように耳を澄ませた。さっきまで聞こえていた、大勢で枯れ葉を踏む足音は消え、辺りも日が落ちて暗闇に包まれている。

こうなっては今日は探せまい

「もう大丈夫か」

それにしても参ったな弟の奴がここまで来るとはな、森の中を歩くのもあいつの事だ。

虫を嫌がり来ないと踏んでいたが、いまさっき来ていたマクーレのズボンの裾が汚れていた。

おチビにかなりの執着だな、あいつに取っておチビは理想の女の子なのだろう。

「手に入れるまでは諦めないだろうな」

俺の弟ながらやばい奴だ、目がかなり危なかった。

しかし8歳の時に俺はおチビに会っていたのか、あの白いリボンはその時に貰った物かお互いの薬指に巻いていただと…

そうか何故だかわからなかった俺の大切な宝物、そうだったのか…ますますマクーレには渡したくないな。

小さなおチビ。近づくとふわっと甘い香りがするおチビ。俺のシャツを着てぶかぶかなシャツ。

「はあー、あれはやばい可愛いな」

俺は洞窟の奥にある自室の扉を開けた、すぐ入り口におチビの服が無雑作に置いてある。

「おチビ?」

呼んでも反応なしだな、奥の部屋か?俺の寝室の扉が開けっぱなしだ、そこかおチビ何をしている?

そこには俺のベッドに気持ちよさそうに寝てるおチビの姿。


「まじか、寝てるのか」


また無防備に俺のシャツがめくれてお腹が出てるぞ、かぼちゃパンツも丸見えだ。

「はあ、なんだ。俺に襲ってくれとでも言ってるのか?」

「んっ、ふふふ」

変な寝言まで言って、俺のベッドでぐっすり眠るおチビ。

仕方がない寝かしておくか、俺はキッチンに立ち冷蔵庫から出した果物をかじった。

おチビが起きてから食べれるようにと、何個か果物を切って冷蔵庫に戻しておく。

「おチビ」

腹が空かないかと呼んでみたが、もう起る気配は無いか…

「ふわぁぁっ、そろそろ俺も寝たいがどこで?」

外は肌寒くなってきた、昨日おチビを拾ってから、横にいておチビを見ていたからあまり寝ていない。

「ここで寝た、お前が悪い」

出たままのお腹を隠し隣に寝転ぶ。甘く香るおチビを胸に抱き眠りに落ちていく。

「おやすみ、おチビ」

「うにゅ」

「またへんな寝言か?ふふっ…良い夢を見ろよ、おチビ」

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