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女勇者様が弱すぎるんだが

ふつ

1章 5〜ロレンと最弱女勇者


 30分くらい経っただろうか。 沢山の広場がある、ここ、魔王城手前の周辺、会う人会う人に尋ねてみたが、マグマジェイルの持ち主は見つからなかった。

「……見つからないね、やっぱりそんな勇者いないのかな?」

「ここまで来て諦めるわけにはいかない。……ん? まだあそこの広場、見てないんじゃないか?」

「ほんとだ!」

 うつむいていた顔を、パッと明るくさ、その広場に向かう。木に囲まれていて、花が咲いている広場だ。

「あの、隅にいる人怪しくない?」

 と、広場の入り口からみて、数人いるうちの奥の隅に、木と並んで立っている男の子を指差して問う女勇者。眼鏡を掛け、いかにも普通の髪型に普通の服装だ。

「まさか……」

「声かけてみよ?」

 そうして2人はその子の元へ歩きだす。

「ひいっ! な、なんだよ!? あっち行けよなっ!」

 近づいただけで、怖がる男の子。当たりだったようで、2人は顔を合わせて喜ぶ。

「あなたが……『臆病な勇者』ですか?」

「そ、そうだよ! いや……そ、そうです……そうでございます。」

 強がった口調だったが、ハッと我に返るとブルブルと震えながら、言い直しをする臆病な勇者。それを見て女勇者は苦笑いをし、独り言のように、ロレンに向かって口を開く。

「……す、すごく臆病だね。」

「教会に来た時もこんな感じだった気がする……」

 そして臆病な勇者に意識を戻す2人。

「……お願いがあるんです。勇者さん! マグマジェイル持ってませんか?」

「か、カツアゲ!?」

「ち、ちがいます! なんならお金だって払いますよ!」

「サギ師!?」

「だから、ちがいます。氷鏡の扉を、開けるためにマグマジェイルを探してるんです。勇者様持ってませんか?」

 言い争いのように話す2人の話を割って入ったロレンは、冷静にことの事情を話す。

「も、持ってないよ! 僕だって氷鏡の扉を開けるのにマグマジェイルを使ったんだ。」

「え? 中に入ったんですか!?」

 と、目を見開く女勇者。

「ぼ、僕だって勇者だ! ものすごくこわかったけど行けるところまで行ったよ! 僕みたいな勇者でも使うくらいだ。きっと、マグマジェイルはもう残ってないよ……」

「もう残ってないって……! じゃあどうしたらいいの……?」

「貴重な宝石らしいからな……もう手に入らないかもしれない。」
 
「そんな……」

「あ。もしかしたら……あいつの『必殺技』ならマグマジェイルがなくても氷鏡の扉を破れるかも……」

「あいつ?」

 と、ロレン。

「勇者たちの中に『アツい勇者』って呼ばれてる、暑苦しい奴がいてね……なんでも自分の必殺技で氷鏡の扉を破ったらしいんだ。」

「その勇者はどこに!?」

「うーん……あいつはいろんな人から頭を冷やせっていわれててさあ、いつも湖で冷やしてるみたいだよ。」

「湖で……物理的に冷やしてるんですね……」

 と、女勇者。

「と、とにかく! あいつが無事なら必殺技で扉を破れるかも! まぁ……無事かどうかはわかんないけどさ……」

「……行ってみよう。『アツい勇者』のところへ」

「うんっ! ところで臆病な勇者さんっ。私たちの仲間になって一緒に戦ってくれませんか?」

「ゴメン……僕は戦力にはなれないよ。魔王城の中に入った時も、必死で逃げ帰ってくるのがやっとだったからね。」
 
「そうですか……あ、ありがとうございました。」

「……うん」

 と、だけ言う臆病な勇者から離れ。少し歩くと、ロレンは口を開く。

「臆病な勇者様も魔王城の中に入ったんだな」

「うーん……『戦えない』に『戦力にならない』か……なんか違和感のある言い方だよね。」

 そして2人は湖へ向かう。

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