女勇者様が弱すぎるんだが

ふつ

プロローグ

「いなくなった」

「あの方がいなくなった」

「あいつがいなくなった」

「あの子がいなくなったの」

 いなくなった いなくなった いなくなった いなくなった いなくなった いなくなったいなくなった。

「...…どうしていなくなる?」

「探し出さなければ」

「見つけ出さなければ」

「取り返さなければ」




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 地獄だった。

 一言で表すならそれは。

 ただただ地獄だった...…

 この世界には『魔王』と呼ばれる存在が あらゆるところにいた。

 魂を喰らう魔王、人を喰らう魔王、残虐な魔王、拷問が好きな魔王、人の命など虫ほどにも思わない魔王。

 彼らは奪った。

 思うがままに赴くままに一時の感情でただただ奪った。

 命を、体を、富を、尊厳を、絆を、愛を 未来を、伝統を、笑顔を、家を、喜びを、感情を、仲間を、魂を...…

 頰を伝う涙すら彼らは奪っていった...…

 人々は彼らを恐れた。

 そして 全てを奪われる覚悟を決めた。

 しかし その覚悟は意外な形で 打ち砕かれた。

 魔王同士が争いを始めたのだ。

 彼らは奪い合った。

 そして最後には...…ある魔王が頂点に立っていた。

 どんな魔王すら膝をついてしまうそんな魔王が...…

 それからしばらくの間は何も起こらなかった。

 だか人々は恐れた。

 頂点に立った魔王を...…

 これから起こるであろう本物の地獄を...…

 人々は力を求めた。

 魔王に対抗する力を。

 その力を持った者を『勇者』と呼んだ。

 そして勇者は正義の心を胸に秘め魔王を倒す旅に出た。

 いたずらに世界を滅ぼそうとする悪しき魔王を この世界から 消すために。




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