SS 創作小説

色鳥

『仲間外れの赤』

音も立てずに泡が上がってゆく。
そんな綺麗な緑から目を移せば、クリームソーダなんて子供っぽかったかしら、なんて、彼女はアイスをつついて照れ笑いした。

彼女は僕の話に耳を傾ける。
話が変われば彼女の横顔もくるくる変わる。
それを僕は、コーヒーを口に運びながら何度も何度も盗み見た。
何度も何度も、思う。

たわいもない話の中に、本当に言いたい言す葉を織り交ぜたら、君はどんな顔をするのだろうかと。
何度も何度も。
諦めているのだけれど。

その間に、白は緑に溶けた。

乳白色のクリームソーダ。
まるで初めからそうだったかのような優しい色をして、彼女の手の中にいた。
そこに浮かぶ赤い赤いさくらんぼは、その調和に全く交われない。

きっと、僕だ。

(ずっとこうで、決して)

さくらんぼは小さな爪を持つ指に摘まれて。
食べられてしまった。

〈完〉

「SS 創作小説」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「恋愛」の人気作品

コメント

コメントを書く