恋愛委員会!

紫 ヤタガラス

013

 家に帰ると太は気分が高揚していた。いや、帰宅中ずっと興奮していた。


 いや〜やっとこの俺のよさがわかる人がいてくれたか〜。周りの奴らは俺がデブで嫌だとか気持ち悪いとかひどいこと言うやついたからな〜。うん?いたっけ?まぁ聞き覚えがあるってことはそう言うことなんだな・・・せつな〜


 高揚していた気分が自分がいじめられていたことに少し気づいて落ち込みへと変わっていった。


「クソ兄貴。帰ってくるの遅かったじゃん」


 太が玄関から廊下を通り部屋に向かう途中、雅とすれ違う。


「マ、マイシスター!俺を癒してくれ〜い」


 やっぱり俺はこれで始まらないと!さぁ妹よ、俺に愛のある攻撃を!


 太は雅から攻撃があると思っていたが、雅は太を攻撃せずただ避けた。


「どうして避けるんだいマイシスター!いつものように腹パンとか決めればいいじゃないか!」


「いや〜さっき風呂入ったばかりだから汗かきたくないんだよ。バカやってないで早く飯食いに行けば」


 太が家に着いた時間は夕方を超えており、もう夜になる時間だった。雅からは湯上りして、少し色香を感じたので、もうそんな時間かと太も思っていた。


「ならば朝食えなかった分今食わねば!」


「あ、母さんが言ってたよ。今日兄貴の飯はレタスだけだって」


「え?」


 ま、まさか帰ってくるのが遅かったから・・・
 うちのママはルールを守る分には穏やかでいれば何も起こらないが帰ってくるのが遅かった場合何らかの処置が行われる。
 俺の場合はご飯が野菜だけに変わる。しかも単品でドレッシングなしである。


「切ないよ・・・」


「兄貴が早く帰って来ないから悪いんだろう。早くリビングでご飯食べて来なよ」


 涙を流しながらリビングに行き、テーブルの小皿においてあるレタスを頬張る。


 まさかの小皿とは・・・


 太は泣きながら小皿に乗ったレタスを食べていたが、リビングにいた太母は茶碗を洗いながら、太がレタスを食べている時、太をにらんでいた。


 こういうところが雅ちゃんに似たんだれろうな・・・
 倒産も苦労したろうに。


 うちの家庭はママと雅と俺の3人暮らしである。父さんは俺が小学生の時に病気で他界した。
 母さんは一人で雅を俺を育ててくれたのでママには逆らえない。
 だから2つの意味ではママには逆らえないんだよ〜。大人しくレタス頬張るしかないんだ。母の視線を感じながら・・・。


 心から泣きながら太は小皿のレタスを食べきり、部屋に戻って、数分後に風呂に入り、上がった後、部屋に戻る。


「しかし、本当に勿体無いことしたな〜。でも見た目で決めるクソ野郎にだけはなりたくないからな。しかたないか。まぁ明日のことは明日考えよう。では就寝!」


 太はベッドに入り眠りにつく。
 太にとっては今日はとてもいいことのある一日であった。

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