異世界で目立ちたい!

紫 ヤタガラス

実里と帝国女王 3

「リーダーの嫁さんがこんなところにいるとはね。もしかしてカルナクのこと知ってる?」


 実里はカルナクについてオミコに尋ねるが、オミコは何も言おうとはせずに口を閉じる。


「黙るということは何かを知っているんだな?」


 実里はオミコに何度聞こうがオミコは一向に口を開こうとしない。


「あくまで黙るか。しかしここで止まっていても意味はないからな。先へと進もうかな」


 実里はガイの手を引いて進もうとするとオミコはそれを止めようと実里の服を引っ張る。


「何だ。何も知らないなら何も知らないでいいからさっさと外に出ろ。今なら門番も気を失っているはずだ。だから簡単に出られると思うし早く逃げなさい」


 実里はオミコにいうがオミコは服を引っ張るのをやめない。


「ー!邪魔はしないで!時間が惜しいのよ!何かあるなら言ってよ!」


 実里は思わず叫んでしまい、廊下に実里の叫び声が響き、急に城の兵たちが実里たちを囲む。


「しまった。思わず叫んでしまった・・・。しかし叫び声1つで人が1人もいない城内があっという間に囲まれるとは」


 「むしろ今まで気づかれなかったのがすごいぞ貴様ら。よくここまで入り込めたものだ」


 囲んでいた兵士の中で一番上等な鎧を着た男が言う。


「それはお前たちの警備が雑なだけさ。むしろ私たちはこの人のこと疑ってしまったじゃないか。そのおかげでこんなこと起きてしまったではないか。最悪だよー!」


 実里は偉そうな騎士に八つ当たりする。


「そんなこと私に当たられても困るんだかな。しかしお前たちはまだ幸運だぞ。会うのが私たちで済んだんだからな」


 偉そうな騎士は実里たちに言い、実里とガイはその意味がわからないので首をかしげる。


「どういう意味だ?お前らは私たちをとらえに来たのではないのか?」


「確かにコソ泥のような奴らならとらえていたが私の話を悠長に聞いている以上そういう輩ではなかろう。それを見込んでお前たちに話がある」


 偉そうな騎士は実里たちにある話を持ちかける。
 実里は敵のいうことなど信用しないでおこうと思ったが聞くだけ聞いてみようと話を聞くことにした。


「それは私たちにメリットのあるものか?」


「多分な。これを話す前に今私たちの状況について話さねばならない。まずはついてこい」


 偉そうな騎士は兵士たちに持ち場へ戻れと命令し、兵士たちは持ち場へ戻っていく。
 戻ったのを確認した後に偉そうな騎士は実里たちを誘導した。


「なぜ兵士たちをどこかにやったんだ?別にここでもいいじゃないか」


「・・・ついてくれば分かる。この話は廊下で話すには危険だからな」


 偉そうな騎士は実里とガイ、そしてオミコにもついてくるように言い、二階へと向かう。


「二階の間には王の間と騎士団長の部屋とある。私は騎士団長だからその部屋に入れる。まぁ言わなくてもわかるな」


「騎士団長なのは知らないが、まぁそうじゃないと入れないだろうな」


 実里は話を聞いて偉そうな騎士の印象を騎士団長に変える。
 そして3人は騎士団長に連れられ騎士団長の部屋へとたどり着いた。

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