異世界で目立ちたい!

紫 ヤタガラス

影の手

「はぁはぁ、しぶてぇな。お前」


 アルダスは影の手を使う男に言う。


「それは褒め言葉と受け取ってもよろしいでしょうか?私、時間稼ぎだけは得意でして」


「舐めやがって。ならば」


 アルダスは戦斧を頭上に掲げ


「戦斧・両断!」


 掲げた戦斧を振り下ろす。
 男はそれを


「影の手・キャッチ」


 影の手を背中から出し、アルダスの振り下ろした戦斧を受け止める。


「ぬ、ぉぉぉおお!」


「うるさいですよ、闘将殿」


 男は影の手を背中からもう一つ出し、無防備な状態のアルダスを殴る。


「ふ、ふぐぉ!」


「はぁ。闘将さん真面目にやってくださいよー。少し本気を出したらこんなにつまらなくなるなんて私予想外ですよ」


「う、うるさい。調子に、のるなぁ!」


 アルダスは振り下ろしている戦斧にありったけの力を込める。


「くぅ、私あまりパワー勝負は望まないのですが」


 男は先ほど殴ったもう一つの影の手で何度もアルダスを殴り、戦斧に入れている力を無くそうとする。


「こ、この程度で私がこうげきをやめるとおもうなぁぁぁぁ!」


「ぐぅぅぅ、き、きつい。や、やばい」


 男は支えていた片腕に限界を感じ、もう片方の影の手を戦斧を抑えるのに回す。


「大人しく、両断されやがれぇぇぇぇ!」


「ごめんこうむる!私は魔王7将の手先。その維持がある。逃げ帰ることがあろうと貴様らにだけは殺されるのは断わる!」


「お、余裕なくなってきたのかよ。素が出てきてるぜ。そんじゃそろそろしまいにするか」


 アルダスは深呼吸を一旦した後、両腕でもっている戦斧にさらに力を入れる。


「く、くぉぉぉぉ。この私がこんな、こんな人間ごときにぃぃぃぃぃ!」


「お前も人間だろうが全く。さて終わりだ」


 アルダスはそう言って戦斧を自然に振り下ろすようにしていると、男は力尽きたのか影の手が消滅し、男に戦斧はあたり体を半分に両断する。


「あ、あばばばば、ば」


「じゃあな。いい準備運動にはなったぜ。ありがとうよ」


 アルダスはそう言ってその場から移動し、その時男の死体は黒い粉になり消滅したが、アルダスは後ろを向いて死体を見ていなかったのでそのことに全く気付かずにいた。


「さて準備運動にはなったが少し時間をくいすぎちまった。それに・・・」


 アルダスは腕に力を入れようとするが、先ほどの攻撃に力を入れすぎて握り拳を作れずにいた。


「少しペース配分を考えた方がいいかもしれねえな。それより早くダーラスたちのとこいかねぇと」


 アルダスは走ってダーラスたちのもとへと向かう。
 そして、アルダスがダーラスたちのもとに向かっている間、アワルディア帝国の者たちはモンスターと化したテイクとガスタたちの戦闘をダーランマの映像の魔法を通して見ていた。

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