異世界で目立ちたい!

紫 ヤタガラス

VS吸血鬼

 時は少し遡り、まだヴラドリオが身体を乗っ取られずにいた時、理人はサポートマンにゲンの仇討ちについての返事をもらっていた。


「ゲンの仇討ち、喜んで協力する」


 サポートマンが言うと理人は少し引っかかったことがあるのでサポートマンに聞く。


「喜んでとはどういう意味だ?結果的には俺がゲンを殺したんだぞ?そんなやつとの仇討ちに喜んではないだろうさ」


「確かにそうかもしれない。しかし、私の異能力では吸血鬼には敵わない。私の能力は他人の能力あってのものだからな。それに1人で戦うよりは2人で戦う方がまだ勝機はあるだろう」


「あまり言いたくないけど勝算はないが、奇跡的に行けば勝てるかもしれない。一つ作戦がある。吸血鬼を探しながら教えるから、今は吸血鬼を早く探そう。ここはやつの根城ではないだろうしな」


「わかった」と言い、サポートマンと理人はともに吸血鬼を探し、理人はサポートマンに先程言っていた作戦を移動しながら伝える。
 そして吸血鬼を探して数分、誰かが木にすごい衝撃でぶつかったような音が聞こえて理人たちはそこへ向かう。
 そこにいるのはヴラドリオの娘、マリアルと吸血鬼に身体を乗っ取られたヴラドリオであった。
 こうして今現在に至る。


「そこの女!無事か?」


 サポートマンは木に寄りかかり気を失っているマリアルに近づき、命に別状はないかを確認する。その間に理人はヴラドリオと対面する。


「ずいぶん姿が変わったな。ヴラドリオさん羽を生やして牙まで歯から伸びて。挙げ句の果てには爪まで長くなって」


「アハアハアハハァ!最高にいい気分だ!」


「・・・話が通じないらしいな。一思いに刺すか」


 理人は装備していた剣を鞘から抜き、構える。


「ハァ!お前はさっきの・・・鏡野郎だなぁ!」


 吸血鬼は理人に言う。


「どうやら頭はまともそうだな。おい!ヴラドリオから出ていきやがれ吸血鬼!」


「それは出来ない相談だ。この身体は相性が良すぎる。よって貴様でならさせてもらうぞ。うまく加減ができんが死ぬんじゃないぞ」


 吸血鬼は理人に接近し長い爪で理人をひっかく。理人はそれを剣を盾がわりにして受け止める。


「くそっ!なかなかいい攻撃じゃねえか!」


「まだまだ行くぞ!」


 吸血鬼はひっかくを何度も繰り返し、理人はそれを先程と同じ方法で何とか耐える。


「そらそらそらぁそらぁ!」


「ぐっ!このままでは・・・」


 理人は吸血鬼の攻撃を受け止めていたがそれも限界に近く、異能力の鏡パネルを出して防ぐことにした。

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