異世界で目立ちたい!

紫 ヤタガラス

奴隷ナンバー1の男

「しかし、なんでミンゴは俺を助けたんだ?それを聞かせてくれないか?」


 ヨクは何故ミンゴが自分を助けたのか不思議だった。勝手に本名を口にして死ぬなら放置しておけばいいとヨクは自分で思っていた。


「ああ、それについてか。俺は今ある計画を立てているんだがそれには強い人が必要でな。ヨクは実力には自信があるか?」


「自慢じゃないがそれ程までに自分が強いと言える強者ではないかな。そこそこって程度だ」


 ミンゴは「ふむ」と思いながら他にも聞くことにした。


「では能力は?どんなものなんだ?」


「言葉では説明しにくいが、ここで使用すれば死んでしまうしな・・・。すまない」


 ミンゴは能力についてヨクに聞いたが、ヨクの能力は説明が難しいため、自分で説明することが出来なかった。
 そこでミンゴは、


「ちょっと待っていろ。今あるやつを連れてくるからお前はここで大人しくしていてくれ」


 ミンゴは走って、管理場にいる抑制の腕輪をどうにかできるやつのところに向かい、ヨクは1人、ミンゴと喋っていた場所で待っていた。






 管理場でオークションの為にアピールの練習を他の奴隷たちがやっている中、1人アピールの練習をしていない奴がいた。


「おい。お前まだオークションに参加する気は無いのか?奴隷ナンバー1」


 奴隷ナンバー1と呼ばれた男は反応した。


「何故我が、我よりも弱いものに対して媚を売らねばならぬ。媚びを売るぐらいなら我はここに残り、処罰を受ける方がましよ」


 このナンバー1と言われた男、この奴隷エリアが始まった初期からずっとこの管理場に残っている、一番の古株である。


「全く、もとはどこかの国の実力者だったらしいが今は奴隷という立場なんだからわきまえたらどうだい?ナンバー1」


「うるさい。我はお前たちのような負け犬とは違う。たしかに一度は奴に敗北し、ここに放り込まれた。だが我は諦めてはおらぬ」


「全く、NGワードスレスレでよく言えるもんだな。まぁいいやお前に構っているのも勿体無いし、お前の嫌いな媚び売りの練習でもするよ。オークションに参加すれば能力は腕輪は外されて能力は使えるからね。それを考慮して考えないと」


 ナンバー1に話しかけていた奴隷は、アピールの練習に戻り、ナンバー1は最後に言っていた、腕輪が外される件について喋っていたのを聞いて笑っていた。


「おーい。ワン!どこにいるんだ〜。返事してくれ〜」


 ナンバー1と呼ばれていた男は、ワンと呼んでいるやつのもとに走って向かい、叫んでいた男のところに着くと、男に軽く腹パンし、


「そのワンはやめろ!なんかの鳴き声みたいな呼び方じゃないかよ!」


「ああ。悪い悪いで用があるんだけどいいかな。奴隷ナンバー1」


 ナンバー1と呼ばれた男は、反応し、


「もう面倒だろう。我とお前の仲だ。我のことはイチと呼ぶが良い。ミンゴよ」


 ミンゴはイチにヨクの話を始めた。

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