異世界で目立ちたい!

紫 ヤタガラス

ヴラドリオのしんがり戦

ヴラドリオと理人の決闘はヴラドリオの圧勝で終わり、理人は負けて気絶していた。


「すまない。カルナク、そこの女と鏡理人を連れて逃げてくれないか?」


「気づいていたのかヴラドリオさん。さっきからヴラドリオさんと鏡の決闘を見てたひとがいるのを」


「気づいておったわたわけ」とヴラドリオはカルナクに言い、皇国に戻るように指示した。だがカルナクは


「ダメですよ。結構な数います。こんなに1人じゃ捌けないですよ!」


「全く。貴様は今まで私の何を見ていた。私がしんがりを務めて生きて帰らなかったことがあるか?」


 カルナクはたしかにヴラドリオがしんがりを自分から申し出て生きて帰って来なかったことはなかったが、今回は心配だった。最近噂でガイアラー盗賊団なるものがガイアラーの森に現れているからである。


「お前の考えていることなどお見通しだ。私がガイアラー盗賊団に遅れをとるとでも思っているのか?今までギルドの依頼を受けていたのは全て盗賊団の下っ端を仕留めるやつだから、どうせたかが知れている。だから安心してガイアラン皇国へ戻るといい」


 ヴラドリオはカルナクの不安を見通すかのように言った。気配は気づいていたものの数だけしかわからず、ガイアラー盗賊団の幹部クラスがいることはこの2人は分かっていなかった。
 カルナクはヴラドリオがギルドの依頼で下っ端たちを倒していたと聞いて少し安心し、ならば大丈夫だろうと思い、足手まといになるであろう理人と実里を連れて皇国に向かった。皇国に向かう前に、カルナクはヴラドリオに言った。


「ご武運をお祈りしています。ヴラドリオ様」


「全く。私を誰と心得ている、亡き王国の英雄と言われた。ヴラドリオ・バーラッシュだぞ。まぁ無事に帰れたら飯でも一緒に食おうや」


「はい」とカルナクは言って今度こそ2人を連れて皇国に戻っていった。


「さぁ出てこいよ!隠れてんのはわかってんだぜ、ガイアラー盗賊団よ!」


「しゃゃゃあ!」


 ヴラドリオが言った瞬間背後から下っ端が襲いかかってきた。


「杭!」


 地面から杭をはやし、背後から襲ってきた下っ端をひと突きした。


「なんだなんだ1人だけか?拍子抜けだな」


「いや悪かったね。拍子抜けさせて、あたいが盗賊団の幹部やってるプルプレってもんだよ。よろしくな」


 堂々とプルプレと名乗る盗賊団の幹部が出てきた。


「今まで結構依頼で下っ端をやってきたけど幹部が出てくるのは初めてだな」


「そうか。あんたが最近、噂になってる杭使いの男かい。あたいらの下っ端がずいぶん世話になったようだね。その分の借りはあたいがかわりに返させてもらうよ」


 プルプレは剣を構えた。


「お前ら出てきな!こいつを倒した後にさっき逃げたあいつらを追いかけるんだからね。すまないね杭使い、あたいは可弱いから複数で相手させてもらうよ」


 プルプレの後ろからぞろぞろと下っ端たちが出てきた。


「どこが可弱いんだか、まとめて相手してやるよ。全員串刺しにしてやるぞ」


 ヴラドリオも薙刀槍を構えた。

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