異世界で目立ちたい!

紫 ヤタガラス

チリンとアワルディア帝国

「切り裂き魔は後4人もいるのか、、、」


 アルダスは理人からナハトのところで得た情報の話を聞いていた。


「1人でしかも今のナハトってやつが切り裂き魔の中で一番弱いんだろ?こんなんじゃ身体がいくつあっても足りないぜ」


「いや。暴走のやつは多分試作品かなんかだと思う。じゃないとナハトがあんな簡単に情報や薬の事など話さないと思う。切り裂き魔同士での絆はかたそうだからな」


 理人はアルダスにそういった。


「さぁかえるか。俺たちの役目は終わった。一度、王に謁見するぞ2人とも。今回のことは私が報告するが2人も皇国のために尽くしたんだ。王に謁見する機会くらいは与えるさ。では向かうぞ」


 こうして切り裂き魔ナハトを倒した3人はガイアラン王のいる城へと向かった。






 その頃、切り裂き魔ベルナにさらわれたチリンはアワルディア帝国にいた。


(ここは一体どこ?あの切り裂き魔にさらわれて気絶させられた辺りから全く記憶がないんだけど、、、。見たことない場所にいるし、多分ガイアラン皇国ではないよね。まぁさらっておいて普通はガイアラン皇国には行かないか)


 チリンは周りを見渡していた。周りをを見てとりあえずわかったのが牢屋だということだった。最近よく牢屋に入れられるなと少し自分に苦笑いするチリンであった。
 しばらくするとチリンの牢屋にいるであろう場所にある男が訪れた。


「君が秋月チリンだね。ようこそアワルディア帝国へ。私の名はDr.アワリオと言います。以後お見知りおきを」


「アワルディア帝国?何でアワルディア帝国は私みたいなあまり価値のない人間をさらっているの?暇なのかい?」


 チリンはアワリオを煽ったが、アワリオは笑いながら


「たしかに暇かもしれませんね。ですが価値のない人間をさらうほど暇な帝国でもないですよ。ただ私が暇を持て余してるだけですよ。部下が優秀すぎるのでね。本来なら今はかなり忙しいんですよ。チリンさん」


 アワリオはチリンの挑発にのらなかった。チリンはなぜ自分をさらったのかが疑問だったので敵だったが聞いてみることにした。


「何で私をさらったの?」


「おや?貴方は自分がどういう立ち場の人間かご存知ないのですか?」


 チリンは分からなかった。アワルディア帝国との接点がないはずなのにアワリオは意味深にアワルディア帝国とチリンは関係あるかのように話したからである。
 次の瞬間、驚愕の事実をアワリオはチリンに言った。


「貴方は秋月チリンが本名ではありませんよ、貴方の本当の名前はチリー・ン・アワルディア。今のアワルディア帝国のひとり娘ですよ。すなわち帝国女王ですね」


 チリンはそれを聞いてぽかーんとなっていた。

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