Azurelytone【2】~アズレリイトオン~
010 街灯
その日以来、レヴィンのリハビリもかねて、オトネは彼の散歩についていくようになった。
二人は、アールデコ調の街灯が並ぶ並木道を歩く。
「………………」
「これ……ほんとにすごいな~」
オトネは水晶を月に照らしながら、無邪気にはしゃいでいる。
「私の声に反応して、いろんな色に変わる…………」
「ほらっ」
「月と同じ色にできた 」
「あっ………ごめんなさい」
レヴィンの自然な振るまいから、視力を失っている事を忘れてしまう。
「いいよ……思った以上に、つかいこなせてるようだね」
「見えない事で、『視える』ものが
増えたように感じるよ」
「見てごらん
この街の街灯のほとんどには、
組鐘(カリオン)が、ある団体によって
設置されているんだ」
オトネは水晶球をポケットにしまい
レヴィンに顔を向けた。
「…………!」
「ほんとだ なんで?」
オトネは、幼い頃その当事者だったが、あまりその行いの意味を考えた事はなかった。
「さあな………理由は今となってはわからないな………」
「ただ………その僅かな鐘のゆらぎが、私に距離感を与えてくれる」
「おかげで君と散歩も楽しめる」
オトネは顔が紅くなるのを意識したが、幸いにも今のレヴィンには伝わらない事に、不謹慎ながらもほっとした。
「そうだ…………街頭をみててごらん」
パチン
レヴィンが指を鳴らすと、
街灯がささやかに波打つように点灯し、
しばらくすると静かに消えた。
「みえたかい」
「この街の街灯は、一定の音に反応して
光を放つ仕掛けになってるんだ」
「すごいきれい」
オトネはフッと頭に浮かんだ、
メロディーを口ずさんでみた。
街灯は、強いきらめきを奏で、
オトネに応えた。
「!」
オトネは、嬉しくてレヴィンを見つめた。
「どうかしたか?」
目の見えていないレヴィンは、
美しい街灯のきらめきに気がつかない。
「………ん」
「えっと………なんでもない」
オトネは今更になって理解した。
気丈にふるまうレヴィンの視力を奪ったのは自分である事を………
このきらめきを共有出来ないのは、自分の能力の結果であると。
やがて、街灯は静かに輝きをとじていった。
・
・
・
・
・
「………!」
「……ミヅキ!」
「ミヅキってば!!」
「…ん?」
「どうした」
「いやいや…………」
「ずっと窓ばかりみてるから」
ミヅキのフライパンから、煙がたちのぼっている。
「…………焦げてますよね」
「あ」
「焦がした料理は?」
「………ああ」
「お前食え」
「………………………なぜ?そうなる」
ミヅキは、f をまじまじと見ると、その目線の高さが自分に近い事に気がついた。
「お前………背がのびたな」
二人は、アールデコ調の街灯が並ぶ並木道を歩く。
「………………」
「これ……ほんとにすごいな~」
オトネは水晶を月に照らしながら、無邪気にはしゃいでいる。
「私の声に反応して、いろんな色に変わる…………」
「ほらっ」
「月と同じ色にできた 」
「あっ………ごめんなさい」
レヴィンの自然な振るまいから、視力を失っている事を忘れてしまう。
「いいよ……思った以上に、つかいこなせてるようだね」
「見えない事で、『視える』ものが
増えたように感じるよ」
「見てごらん
この街の街灯のほとんどには、
組鐘(カリオン)が、ある団体によって
設置されているんだ」
オトネは水晶球をポケットにしまい
レヴィンに顔を向けた。
「…………!」
「ほんとだ なんで?」
オトネは、幼い頃その当事者だったが、あまりその行いの意味を考えた事はなかった。
「さあな………理由は今となってはわからないな………」
「ただ………その僅かな鐘のゆらぎが、私に距離感を与えてくれる」
「おかげで君と散歩も楽しめる」
オトネは顔が紅くなるのを意識したが、幸いにも今のレヴィンには伝わらない事に、不謹慎ながらもほっとした。
「そうだ…………街頭をみててごらん」
パチン
レヴィンが指を鳴らすと、
街灯がささやかに波打つように点灯し、
しばらくすると静かに消えた。
「みえたかい」
「この街の街灯は、一定の音に反応して
光を放つ仕掛けになってるんだ」
「すごいきれい」
オトネはフッと頭に浮かんだ、
メロディーを口ずさんでみた。
街灯は、強いきらめきを奏で、
オトネに応えた。
「!」
オトネは、嬉しくてレヴィンを見つめた。
「どうかしたか?」
目の見えていないレヴィンは、
美しい街灯のきらめきに気がつかない。
「………ん」
「えっと………なんでもない」
オトネは今更になって理解した。
気丈にふるまうレヴィンの視力を奪ったのは自分である事を………
このきらめきを共有出来ないのは、自分の能力の結果であると。
やがて、街灯は静かに輝きをとじていった。
・
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「………!」
「……ミヅキ!」
「ミヅキってば!!」
「…ん?」
「どうした」
「いやいや…………」
「ずっと窓ばかりみてるから」
ミヅキのフライパンから、煙がたちのぼっている。
「…………焦げてますよね」
「あ」
「焦がした料理は?」
「………ああ」
「お前食え」
「………………………なぜ?そうなる」
ミヅキは、f をまじまじと見ると、その目線の高さが自分に近い事に気がついた。
「お前………背がのびたな」
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