Azurelytone【2】~アズレリイトオン~

羽兼

003 悪夢

「インディアヴェルトザイン
    (In-der-Welt-sein)」

<ここに存在は世界する >

ゴォォォっ

f は、身体に流れ込むダストの量に圧倒された。

だが、その小さい身体を必死に拡げて受け止め続けた。


ダストを吸収された犬たちは、
泥のように眠りはじめる。



<きっと、不眠不休でダストに操られていたのだろう……> 


<つまり、この犬たちを操っていたダーザイン(本体)が、別にいるという事だ……> 


<ダメだ………これ以上ダストを吸収してしまうと、意識が……>



全身を紅に染めたレヴィンが、肩で息をしている。


30匹以上の犬を相手にしながら、f に一筋の傷もつけさせない。




「はぁ…はぁ」


………………ゴトン

………ドン


しかし、奥の壁や天井が産み落とし始めたもの………


「f……にげろ」


「そんな………」



「こんなことが……」 


虚ろな目をした人々が、操り人形のような、ぎこちない動きで立ち上がる。


「これは……ここの住人たち……か」


その瞳のどれもが、にぶい深紅のひかりを灯しだす……。



二人は、目の前に悪夢を見た。 





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