プリンセスセレクションー異世界からやってきたお姫様は王様を目指す
40話 ホクロの数
色とりどりの衣装が備え付けられた一室。
私は普段はあまり着ない色合いの紅の衣装に着替えていた。
「うーん、似合ってるのかなー?」
鏡台を前にしてくるくると回って確かめる。
ヒラヒラしたフリルがたくさんついた可愛い服だと思うけど、自分が服に着られていないか不安になる。
「それにしても服はかわいい感じなのに、妙に胸元が開いてるし、スカートの丈も短いような気がしますし」
裾を引っ張りながらこれで人前に出るのかと気後れするのを感じる。
あまり人前に出るのは好きではないのだけれど、ムクロさんを巻き込んでしまったのにそんなことを言う訳にはいかない。
「出来るかどうか分からないけど、頑張りますっ!」
きゅっと小さくファイティングポーズを取る自分が鏡の中に映っている。
もっとも、その姿があんまり似合ってないものだから思わず苦笑してしまったけれど。
一人で何をやってるんだろうと気恥ずかしく思っていると、コンコンと扉をノックする音がする。
『ナニィちゃん? 四葉ですけど、入ってもいいですか?』
「あっ、四葉ちゃんですか? 開いてるので大丈夫ですよー!」
私が答えると、ゆっくりと扉が開いて少女が顔を出す。
綺麗な蜂蜜色の髪にゆったりとウェーブがかかっている。
青く澄んだ瞳に愛くるしい小柄な容姿は、さながら童話から飛び出てきた主人公のようだった。
少女の名前は有栖院四葉、あのアリスさんと瓜二つな外見を持ちながらもその内面は正反対とも言える優しさを持った少女だ。
「失礼します……あっ」
四葉ちゃんは私の衣装姿を見て、一瞬唖然とすると花が開くような笑顔を見せた。
「わーわー、ナニィちゃんすっごく可愛いよ! ナニィちゃんもステージに上がるって聞いて驚いたけど、これならお客さんも大喜びだよ!」
「そ、そんなことないと思いますけど」
「そんなことあるよー、ふふっ……これは私も負けてられないね!」
私の手を握ってはしゃぐ四葉ちゃんを見て、ふと思うことがあった。
「あ、あのおかしなこと聞いてもいいですか?」
「おかしなこと……ですか?」
「えっと……四葉ちゃんはアリスさんのことどこまで知ってるのかなって」
アリスさんはかなり前からこっちの世界に潜伏していたそうだけど、四葉ちゃんは試練のことを知っているのだろうか?
「そうですねー。アリスちゃんのことなら私、何でも知ってますよ?」
恐る恐る表情を伺えば、四葉ちゃんはニコリと微笑んでいる。
一見すると穏やかな表情にも見えるが、どこかそれは有栖院四葉という少女からは異質な笑みにも思えた。
「何でも……それってやっぱり」
やっぱり四葉ちゃんは私にとってのムクロさんと同じようにアリスさんの支援者なんでしょうか?
湧き上がる不安と疑心。
目の前の少女もまた自分の敵であったならどうしようと恐れを感じずにはいられない。
ゴクリと生唾を飲み込んで少女の答えを待った。
「例えば好きな食べ物とか、好きなお菓子とか、好きな芸能人とか他にはですね」
私の予想に反して、四葉ちゃんの口から出てくる言葉は至って普通のものだった。
思わずほっと胸を撫で下ろす。
なーんだ、やっぱり四葉ちゃんは試練には関係なかったんですね。
余計な心配して損しちゃいましたよあはは。
「身体にあるホクロの数とかですかね?」
「……へ?」
四葉ちゃんに似合わない妖艶な口調で囁かれた言葉に思わず間の抜けた声が飛び出た。
「あ、えっと……お風呂とか一緒に入った時に見えたとかそういう意味ですよね? ね?」
「あははっ! それじゃあそろそろステージの方に行きましょうか?」
「え? ちょ? 四葉ちゃん? 笑って誤魔化してませんよね!?」
「私の後についてきてくだいね?」
四葉ちゃんは私の手を取って、ステージの方へと歩みだした。
仕方なく後をついて歩き出すけど、結局二人の関係がどういうものなのか気になってしょうがない。
後で聞く機会が訪れるのだろうか?
詮索したい気持ちもあったけど、とりあえず今はステージのことだけ考えることにした。
私は普段はあまり着ない色合いの紅の衣装に着替えていた。
「うーん、似合ってるのかなー?」
鏡台を前にしてくるくると回って確かめる。
ヒラヒラしたフリルがたくさんついた可愛い服だと思うけど、自分が服に着られていないか不安になる。
「それにしても服はかわいい感じなのに、妙に胸元が開いてるし、スカートの丈も短いような気がしますし」
裾を引っ張りながらこれで人前に出るのかと気後れするのを感じる。
あまり人前に出るのは好きではないのだけれど、ムクロさんを巻き込んでしまったのにそんなことを言う訳にはいかない。
「出来るかどうか分からないけど、頑張りますっ!」
きゅっと小さくファイティングポーズを取る自分が鏡の中に映っている。
もっとも、その姿があんまり似合ってないものだから思わず苦笑してしまったけれど。
一人で何をやってるんだろうと気恥ずかしく思っていると、コンコンと扉をノックする音がする。
『ナニィちゃん? 四葉ですけど、入ってもいいですか?』
「あっ、四葉ちゃんですか? 開いてるので大丈夫ですよー!」
私が答えると、ゆっくりと扉が開いて少女が顔を出す。
綺麗な蜂蜜色の髪にゆったりとウェーブがかかっている。
青く澄んだ瞳に愛くるしい小柄な容姿は、さながら童話から飛び出てきた主人公のようだった。
少女の名前は有栖院四葉、あのアリスさんと瓜二つな外見を持ちながらもその内面は正反対とも言える優しさを持った少女だ。
「失礼します……あっ」
四葉ちゃんは私の衣装姿を見て、一瞬唖然とすると花が開くような笑顔を見せた。
「わーわー、ナニィちゃんすっごく可愛いよ! ナニィちゃんもステージに上がるって聞いて驚いたけど、これならお客さんも大喜びだよ!」
「そ、そんなことないと思いますけど」
「そんなことあるよー、ふふっ……これは私も負けてられないね!」
私の手を握ってはしゃぐ四葉ちゃんを見て、ふと思うことがあった。
「あ、あのおかしなこと聞いてもいいですか?」
「おかしなこと……ですか?」
「えっと……四葉ちゃんはアリスさんのことどこまで知ってるのかなって」
アリスさんはかなり前からこっちの世界に潜伏していたそうだけど、四葉ちゃんは試練のことを知っているのだろうか?
「そうですねー。アリスちゃんのことなら私、何でも知ってますよ?」
恐る恐る表情を伺えば、四葉ちゃんはニコリと微笑んでいる。
一見すると穏やかな表情にも見えるが、どこかそれは有栖院四葉という少女からは異質な笑みにも思えた。
「何でも……それってやっぱり」
やっぱり四葉ちゃんは私にとってのムクロさんと同じようにアリスさんの支援者なんでしょうか?
湧き上がる不安と疑心。
目の前の少女もまた自分の敵であったならどうしようと恐れを感じずにはいられない。
ゴクリと生唾を飲み込んで少女の答えを待った。
「例えば好きな食べ物とか、好きなお菓子とか、好きな芸能人とか他にはですね」
私の予想に反して、四葉ちゃんの口から出てくる言葉は至って普通のものだった。
思わずほっと胸を撫で下ろす。
なーんだ、やっぱり四葉ちゃんは試練には関係なかったんですね。
余計な心配して損しちゃいましたよあはは。
「身体にあるホクロの数とかですかね?」
「……へ?」
四葉ちゃんに似合わない妖艶な口調で囁かれた言葉に思わず間の抜けた声が飛び出た。
「あ、えっと……お風呂とか一緒に入った時に見えたとかそういう意味ですよね? ね?」
「あははっ! それじゃあそろそろステージの方に行きましょうか?」
「え? ちょ? 四葉ちゃん? 笑って誤魔化してませんよね!?」
「私の後についてきてくだいね?」
四葉ちゃんは私の手を取って、ステージの方へと歩みだした。
仕方なく後をついて歩き出すけど、結局二人の関係がどういうものなのか気になってしょうがない。
後で聞く機会が訪れるのだろうか?
詮索したい気持ちもあったけど、とりあえず今はステージのことだけ考えることにした。
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