和風MMOでくの一やってたら異世界に転移したので自重しない
幕間 景保の事件簿 Case3
景保は一流企業に働く父の決めたレールの上をこれまでずっと歩いてきた。
幼稚園からエスカレーター式の学校に入り、中学、高校、そして大学とずっと父の言われるがままの人生。
勉強は嫌いではなかったし、それが楽だとも思って生きてきたが、ぽっかりと胸に穴が空いたかのように退屈を覚えていた。
ゲームとは無縁だったけれど本を読むのは好きで、ある日、図書館に行くと何気なしに今まで気にも止めなかったファンタジーのライトノベルを手に取ってしまう。
それを初めて読んだ時の衝撃は忘れられない。
ここではない異世界へ赴き、自分の身一つで能力や知識を使い自由に生きる。その生き様に彼は強烈に憧れた。
しがらみの無い世界の息吹や温かさが一ページごとに伝わってくるそれに夢中になった。
ある者は剣と魔法で活躍し、ある者は知識を活かして領地運営をし、ある者はダンジョンを支配する。
主役たちは生き生きとしていて、その魅力は自分には無いものだからこそ心が奪われた。
本当にあるのならこんな詰まらない人生を捨てて自分も行ってみたいと本気で羨望をする毎日。
しかしながら、もちろんそれは無理な話だ。熱が高くなるほど現実の厳しさは痛烈に景保に冷水を浴びせてくる。
具体的には三回生になって力を入れ始めた就職活動のことがそれにあたる。やればやるほど空回りして、自分が本当に何がやりたいのかが分からなくなっていった。
なぜ興味もない会社の話を訊きに行って、自分を偽ってまでアピールせねばならないのだろう?
それは景保がときめいた本の主人公たちとは真逆の行為だった。
逃げるようにして景保はVRゲームの世界にハマることとなる。
家でゲームはできないので、こっそり大学のゲーム部に入ったり、ネットカフェで充てられるだけの時間を注ぎ込んだ。それを勘付かれて父親と珍しく大喧嘩にまで発展したこともあった。
そんな折、今回の出来事が起きることとなる。
ゲームの世界は渇望したものに近い。だがやはりそれは開発者が意図したものに沿っているだけで、飢えは満たされなかった。
だから最初こそは喜んだ。自分には数々の成功者たちの知識もあるからきっとここで成功するに違いないと。
だけど期待されればされるほど怖くなってしまった。所詮は借り物の仮初めの力は、いつ消えるかもしれない不安がある。しかもここが異世界かどうかもハッキリせず不確か。
その上、自分を守る味方は頼りないタマと、反抗の気配まである式神たち。
まだ付け加えるなら、自分が好き放題に魔物を倒したら他の冒険者の獲物が無くなって困ってしまうんじゃないか。
現代の知識を使って新しい物を開発したら既得権益が侵されて失業してしまう人ができるんじゃないか。
本来の優しい性格もあるが、良くも悪くも大人しく型にハマった生き方をしてきたせいで、人を蹴落としてまで思い切ったことができなかった。
そういう経緯があって、思ってたより異世界生活が楽しくないまま一週間が経過していた。
ギルド長の持ってくる依頼は、口では何だかんだ言いながらもそうした鬱屈とした葛藤を、忙しさで考える暇が無くしてくれるのに好都合だった。
「でもさ、これはないよね……」
自嘲気味に呟く景保の前には、外套で全身をすっぽりと身を包み、顔を布で隠している男がいた。
すでに抜き身の剣を持ち、射抜くような殺気が景保に降り注がれている。
ただの食い詰め者の強盗ではなく、裏の世界に属してそれを生業としているような、どこか洗練されている雰囲気があった。
捜査に行き詰まってギルド長にアドバイスをもらおうと魔術師ギルドに向かったはいいが生憎の不在で、とぼとぼとアテも無く町を彷徨いながら頭を悩ませていたところに、突然この男と遭遇し脅され中。
予定調和なはずの異世界生活は依頼は上手くいきそうになく、暗殺者に狙われるわで、どん底にまで落ちていた。不運というか嘆きたい気持ちでいっぱいだった。
まさか冒険者ギルドからの刺客ではあるまいかと愚痴っていると、
「今やっている依頼から手を引け」
男は切っ先を向けて命令してくる。
どうやら冒険者ギルドからの刺客ではなく、『時間を操る』魔道具の依頼関係らしい。
どこでそれを知ったのだろうか? なぜ手を引かないといけないのか? そもそも誰かと勘違いしていないか?
尋ねたいことが多く脳裏に浮かぶ。
「それってルネ夫人からの依頼のことですか?」
「そうだ」
「それはあなたが盗んだ犯人だからですか?」
「……」
返答はない。
ただ言いながらその可能性は低いだろうなと景保は考える。
ここは現代社会と違って指紋検証やら防犯カメラなどが無い。つまり、たいていの証拠は人の証言ぐらいなものだ。もし彼が真犯人だったとしても、さっさと売り払ってどこかに逃げればいい。わざわざ姿を自分から現す必要が彼が真犯人ならどこにもなかったからだ。
あるとすればどこかの金持ちが真犯人で、目の前の彼が雇われた暗殺者や窃盗の実行犯という線だ。万が一にでも証拠や疑うに足り得る材料を自分が掴めば、どれだけ白を切ろうともルネ夫人とその金持ちとの関係は悪化する。それが理由で釘を差しにきたというのならあり得ない話ではない。
『景保ぅ~』
タマが怯えて泣きそうになりながら景保の足を掴む。
それは他人から見れば単なる哀れを誘う幼女の姿だったが、景保からすれば残念なことでで僅かに表情が曇ってしまう。
大和伝であれば、お供は主人を守ろうとしてくれる。なのにこれではあべこべではないかとやや不満が募ったせいだ。
「お前と押し問答をするつもりはない。俺は舐められるのが嫌いだ。従うなら良し。脅しのみと言われているが、従わないならしばらく病院のベッドがお前の寝床になるぐらいは覚悟してもらう」
「ここでも親子扱いか。ギルド長どこまで噂話流してんだよ……。あの人、どっかで頭打って真逆の性格に変わらないかな」
タマのことは可愛いと言えば可愛いし、ゲームを始めた最初からずっと一緒にいたお供なので愛着もあった。
それでもたいていのことは受け流す景保でも、やはり彼女もいないのに父親扱いは辛いものがある。
彼女いない歴二十一年の男の子の心はピュアなのだ。
ぶつぶつと小声で口を尖らせる景保に、その男は抵抗の意思ありと判断した。
やや腰と膝を屈め戦闘準備に入り、それを見て景保もタマに距離を取らせる。
「やるならいいけど、そう簡単に倒せるとは思わない方がいいですよ?」
モンスターとの戦いはまだしも、対人戦はあまり好きでない景保。それでもここで引くわけにはいかず腰に提げている扇を取り出して突き付けた。
扇を見たことがない男は盛大に怪訝な反応をするも、護身用の棒っ切れのようなものだろうと結論づけたらしい。
すぐさま駆け出し紡がれる一閃。けれど景保は難なく扇身で弾き返す。
「何!?」
まさか鍔も付いておらず、しかも細い木製の短い武器で防がれると思ってもみなかったのだろう。驚愕の声が布越しにもれてくる。
「だから言ったでしょ。諦めるのなら今の内ですよ?」
「子連れハンターカゲヤス、馬鹿みたいな二つ名が付いている割にやるじゃないか」
「そんなの付いてるの!?」
男が仕事の前に金貨一枚で買った情報はかなり少なかったが、本当にここ数日台頭してきた冒険者らしいことは知れた。解決が遅れていた依頼を次々とクリアしていき、子連れと目立つ風貌から情報に敏いものはすでに耳に入れているレベル。
景保としてはこっちはこっちでその二つ名は衝撃の事実だった。
間違っちゃいないが、それを最初に名付けたやつに一言文句を言ってやりたい気分がこみ上げてくる。
「問答無用!」
剣撃のスピードが速まった。
力の籠もった軌跡と力強さはそれが決して脅しではなく、命を取る動きに近いと景保は理解する。
しかし後衛職ではあるものの、ステータスは超人と言って差し支えがない彼はその数々を易々と捌いていく。
袖が異様に長い式服が翻り、まるで舞を踊っているかのようだ。
「これぐらいなら何とでもなる、ねっ!」
「くっ!」
男はこうして暗殺まがいのことをしているのだから、剣の腕前に自信があったのだろう。
それなのにたかが短い棒っ切れに悉く攻撃が食い止められ如実に焦りが見え始めてきた。
やがて大振りの伸び上がってくる刃を身を捻って躱し、景保は扇でその無防備な手首に叩きつける。
ぴしゃん、と小気味良い衝撃が鳴った。ただしその実は男の骨を砕いていた。
直後に激烈な痛みで持てなくなった剣が地面に落ちて転がる。
「そろそろ観念してもらえませんか?」
扇を広げて早々と勝利ポーズ。扇面には鶴と亀の絵柄が描かれていた。
男はまさかその扇が木だけでなく、紙からできているという事実に面食らう。つまりそんな打たれ弱い武器で剣と渡り合うなどとんでもない技量の差があることに気付いたのだ。
作戦は失敗。正面から勝てる相手ではない、と悟った彼の決断は早かった。いきなり反転して逃げの一手。
今回は見るからに強そうではない相手だったので油断していたが、人を殺す手段は他に幾らでもあると、即断即決のプロの判断をした。
「っ! 逃さない! ―【玄武符】―土壁成山」
逃がすわけにはいかないと景保が咄嗟に符術を使用し、隆起した地面が男の退路を阻む。
それは一瞬で三メートル以上にもそびえ立ち、何人も通さない壁となった。
「な、なんだこれは!?」
男が驚くのも無理はない。これはこの世界には無かった規格外の術の一端だ。
「大人しく捕まって雇い主を吐いてもらいますよ。できれば事の顛末もね」
その言葉に男ははっとなった。
ここでもし依頼主のことをバラしてしまえば自分はもうこの世界にはいられない。それどころか恨みを買って逆に自分に暗殺者を差し向けられる可能性だってあった。
乾坤一擲、ここで勝負するしかない。
けれど、相手はただの棒で剣と渡り合うほどの卓越した腕前だ。利き腕も砕かれ、どうやっても勝てる未来が見えなかった。
ならば、と男は仕掛ける。
このような仕事をするのに武器が一つだけなはずがない。隠し持ったナイフを景保の斜め後ろにいて竦み上がっているタマに投げつけた。
「タマ!」
『ひゃっ!』
自分に向けられた殺気と凶刃にタマが身を固くして呻く。
だが容赦の無いナイフはそんなことでは止まらない。真っ直ぐにタマの眉間目掛けて飛んでいった。
射線上、そこへ遮るように壁ができる。
「うっ!」
景保だ。彼が自分の体を盾にして庇った。
身をくの字によじり両の膝を地面に着き、手はお腹に刺さったであろうナイフを掴もうと弱々しく震えていた。
『景保ぅぅぅぅぅ!!!』
タマの張り裂ける絶叫が路地に響く。
すぐさま彼女が駆け寄る。怖さなど忘れて無我夢中だった。
自分の最愛の人が自分を守り傷付けられて倒れる。それは自分の存在意義を否定されるものだ。タマの胸には深い後悔が刻まれた。
「だ、大丈夫だから……」
『景保ぅ! 景保ぅ! 景保ぅ!』
しゃべる声は聞き取るのが難しいほど微弱だ。
傷が深まるかもしれないと、触れることもできずタマは景保の横で右往左往しながらその幼い瞳から懺悔の涙を零すことしかできなかった。
その光景を見下し冷笑する者が一人。
男は予想以上の効果が出て頬を緩め、落ちている自分の剣をまだ無事な左手で取りゆっくりと二人に近付いていく。
右手はまだ痛むがやせ我慢できる範囲内だった。
「馬鹿なやつだよお前。叩き落とすだけで良かったのに、自分から当たりにいくとはな。まぁそれならそれで俺がその隙を突いたがな。娘はそんなに可愛いか?」
「だから……娘じゃないって……言ってるのに……」
依頼主経由では親子だという情報だった。だからこそ身を挺して庇ったのではないのか?
まだそんなことを言う景保に男は鼻白む。
ここまでで仕事はほぼ達成だ。回復魔術を掛けられれば生き残る可能性が高く、放置すればいい。そうすれば恐怖からこの件には関わり合いになりたくなくなるだろう。
しかし男の胸中では言いようのない不安が渦巻いていた。
ここでトドメを刺さなければ、この優男は復讐をしてくるのではないか?
依頼主からも殺しは控えるようにとは言われていても、あまりにも実力差があり過ぎたせいで景保を放っておける存在ではなくなってしまっていた。
だから男は無慈悲にその剣を振り上げ歩を進める。
頭の中ではこの後、タマをどうするかを考えていた。男も機械ではない。さすがに顔を見られたわけでもないこの歳の幼女を殺すかどうかだけは迷いがあった。
その間に景保は蹲りながらタマに語りかける。
「タマ……どうすればいいか分かる?」
『景保ぅ、分からないなの……』
タマがぶんぶんと頭を左右に振り、キラキラと涙が散る。
悲嘆に暮れ、この状況で何かを考えられる余裕が彼女には無かった。
「君が泣いているのは悲しいからだ。でもその原因を作ったのは誰だ? タマはその悲しみを怒りにしないといけない」
『怒りぃ……なの?』
「そうだ、僕を守れなかったことを悔やんでくれるのなら、今それを見せて欲しい。できるかい?」
『うん、景保が刺されてタマのここもとっても痛かったの。もうそんなの見たくないの! そのためだったら何でもできるの!』
タマが着物の袖で涙を強引に拭い、胸を抑えながらもう剣が届く位置までやってきた男をきっと睨む。
まだほんの少し膝が震えているが、それでも自分の意思で戦うことを決めたようだ。
「遺言はそれでお終いか? 子供には手を出さない。だから安心して逝ってくれ」
「意外と優しくて困ったな。この後、非情になれないかもしれないじゃないか」
「何?」
せめてもの情け。そのつもりで会話が一段落するまで待った。
しかしあとは首を斬られるだけの景保が言わんとしていることが理解できずに男は手を止める。
「やれ! タマ!!」
『【変化】なの!』
景保が発破を掛け、タマが応えると、ぼわん、と白煙が立ち上りそこに赤い影の人の形をしたシルエットが現れる。
すぐに煙が消え登場したのは鬼を連想する武者鎧だった。
兜の額からは誇示するように三日月型の金色の立物が突き出し、全身を血を彷彿とさせる真っ赤に染め上げた威風堂々とした侍型のモンスター。
『赤備え』と呼ばれるそのモンスターは、大和伝に登場する敵キャラだ。
元々は「甲山の猛虎」と謳い上げられた「飯富虎昌」が発端となり、「武田信玄」、「真田幸村」、そして「井伊直政」へと継がれていった精兵を意味する兵士のことである。
その目立つ朱塗りの赤は戦場を駆け巡る歴戦の猛者たちを震え上がらせ、味方の士気高揚を促す一助となった。大和伝では雑魚キャラの一つに過ぎないが、レベルは六十とかなり高めで集団戦になると命知らずの特攻を信条とする動きに苦しめられることになる。
タマはそれに変身した。
「ひ、ひぃ!」
男は唐突に現れたその武者に震え上がる。
顔を隠す面当ては口も目も恐ろしげに吊り上がり、もはや悪鬼羅刹の相貌。赤備えが持つパッシブスキルの【威圧】が成功しているのかもしれない。
【変化】はそのモンスターの特殊能力を一部のみ引き継げる。どうしても本来のモンスターよりも劣化してしまうし、レベルも最大が五十となるのでお供は純戦闘要員として数えるのは難しいが、実力差があるこの場合はそれが足を引っ張らないだろう。
『景保をイジメると許さないなのっ!!』
「た、助けぇっ!!」
あまりにも見た目と声がそぐわないが、もはや男にはそんな差異など気にならないほど恐慌状態に陥っていた。
腰に提げた鞘からぎらぎらと不気味に輝く刀を上段に振り上げ、鬼神の如く袈裟斬りに振り下ろされる。
あわや肩口に切っ先が届く刹那、
「ストップ!」
鶴の一声により、まさしく紙一重の隙間だけを残して刃がぴたっと止まった。
タマが命令を聞くのは一人だけ。もちろんそれを止めたのは景保だった。
男は死の幻視を見たようでこれで反抗する気が無くなったらしく泡を吹いてへたり込む。
それを確認した景保が立ち上がり「もういいよ」と鎧に手を置いて優しく諭すと、ぼわんと煙が出てタマが本来の姿に戻る。
元の幼女の姿になったタマは必死に景保を見上げた。
『景保ぅ景保ぅ! 立ったらだめなの! 早く符術を使ってなの!』
「あぁ大丈夫大丈夫。元から刺さってないから」
景保がお腹を見せて、ぽんと一叩きアピールすると確かに傷一つ付いてなかった。
片方の手にはナイフが握られている。
「いやぁこの服の防御力なら利き腕じゃない方の手で雑に投げた程度のナイフなんて弾くと思ったからね。もし怪我してもすぐに回復すればいいだけだし」
『な、なんでなの! 嘘吐いてたなの!?』
飄々とネタバラしをする景保にタマは小さな目を大きく開けてショックで愕然とした。
「うん、ごめんね。追い込まれたらタマも覚醒するんじゃないかって咄嗟に思ってね」
『う~~~!! 馬鹿なの~~!! 景保お馬鹿さんなの~~!!!』
「痛てて。ごめん、本当にごめんよ。いや、本当にけっこう痛いよ。ちょ、やめて! タマ、HPゲージ減ってるから!」
景保も可哀想なことはした自覚があり、タマが怒っているのは自分を騙したことじゃなくそんな無茶をしたことについてなので、ポカポカと丸く握った拳で殴られるのは受け入れるつもりだった。
しかし、あまり加減が無いタマの狐パンチは予想以上に強く早々に弱音を吐いてしまう。
何とも締まらない二人だった。
『でも怪我が無くて良かったなの!』
景保が刺されてからずっとぺちゃんこに萎れていた耳と尻尾も元通り。
ケロリと立ち直り満面の笑顔を見せる。
「これからは戦闘もできそう?」
『変化してたら怖くなくなったの』
「あぁそういうことか。なるほどね」
ようやくここにきて景保は光明を見つける。
理屈は分からないが、変化している間ならちゃんと戦えるらしい。これは一つ良い報せだった。
『それで景保、この人どうするなの?』
「そりゃもちろん、洗いざらい吐いてもらうさ。ヘボ探偵なんでね、答えを教えてもらう」
『卑怯なの』
「始まった途端にいきなり助手を殴ったらそいつが犯人だった、っていう推理物のレトロゲームが昔あったらしいね。それにあやかろう」
ぐっと力強く拳を握る景保を見て、ここまでの怒涛の展開にもうほとんど心ここにあらずな男は黙ってそれを受け入れるしかなかった。
幼稚園からエスカレーター式の学校に入り、中学、高校、そして大学とずっと父の言われるがままの人生。
勉強は嫌いではなかったし、それが楽だとも思って生きてきたが、ぽっかりと胸に穴が空いたかのように退屈を覚えていた。
ゲームとは無縁だったけれど本を読むのは好きで、ある日、図書館に行くと何気なしに今まで気にも止めなかったファンタジーのライトノベルを手に取ってしまう。
それを初めて読んだ時の衝撃は忘れられない。
ここではない異世界へ赴き、自分の身一つで能力や知識を使い自由に生きる。その生き様に彼は強烈に憧れた。
しがらみの無い世界の息吹や温かさが一ページごとに伝わってくるそれに夢中になった。
ある者は剣と魔法で活躍し、ある者は知識を活かして領地運営をし、ある者はダンジョンを支配する。
主役たちは生き生きとしていて、その魅力は自分には無いものだからこそ心が奪われた。
本当にあるのならこんな詰まらない人生を捨てて自分も行ってみたいと本気で羨望をする毎日。
しかしながら、もちろんそれは無理な話だ。熱が高くなるほど現実の厳しさは痛烈に景保に冷水を浴びせてくる。
具体的には三回生になって力を入れ始めた就職活動のことがそれにあたる。やればやるほど空回りして、自分が本当に何がやりたいのかが分からなくなっていった。
なぜ興味もない会社の話を訊きに行って、自分を偽ってまでアピールせねばならないのだろう?
それは景保がときめいた本の主人公たちとは真逆の行為だった。
逃げるようにして景保はVRゲームの世界にハマることとなる。
家でゲームはできないので、こっそり大学のゲーム部に入ったり、ネットカフェで充てられるだけの時間を注ぎ込んだ。それを勘付かれて父親と珍しく大喧嘩にまで発展したこともあった。
そんな折、今回の出来事が起きることとなる。
ゲームの世界は渇望したものに近い。だがやはりそれは開発者が意図したものに沿っているだけで、飢えは満たされなかった。
だから最初こそは喜んだ。自分には数々の成功者たちの知識もあるからきっとここで成功するに違いないと。
だけど期待されればされるほど怖くなってしまった。所詮は借り物の仮初めの力は、いつ消えるかもしれない不安がある。しかもここが異世界かどうかもハッキリせず不確か。
その上、自分を守る味方は頼りないタマと、反抗の気配まである式神たち。
まだ付け加えるなら、自分が好き放題に魔物を倒したら他の冒険者の獲物が無くなって困ってしまうんじゃないか。
現代の知識を使って新しい物を開発したら既得権益が侵されて失業してしまう人ができるんじゃないか。
本来の優しい性格もあるが、良くも悪くも大人しく型にハマった生き方をしてきたせいで、人を蹴落としてまで思い切ったことができなかった。
そういう経緯があって、思ってたより異世界生活が楽しくないまま一週間が経過していた。
ギルド長の持ってくる依頼は、口では何だかんだ言いながらもそうした鬱屈とした葛藤を、忙しさで考える暇が無くしてくれるのに好都合だった。
「でもさ、これはないよね……」
自嘲気味に呟く景保の前には、外套で全身をすっぽりと身を包み、顔を布で隠している男がいた。
すでに抜き身の剣を持ち、射抜くような殺気が景保に降り注がれている。
ただの食い詰め者の強盗ではなく、裏の世界に属してそれを生業としているような、どこか洗練されている雰囲気があった。
捜査に行き詰まってギルド長にアドバイスをもらおうと魔術師ギルドに向かったはいいが生憎の不在で、とぼとぼとアテも無く町を彷徨いながら頭を悩ませていたところに、突然この男と遭遇し脅され中。
予定調和なはずの異世界生活は依頼は上手くいきそうになく、暗殺者に狙われるわで、どん底にまで落ちていた。不運というか嘆きたい気持ちでいっぱいだった。
まさか冒険者ギルドからの刺客ではあるまいかと愚痴っていると、
「今やっている依頼から手を引け」
男は切っ先を向けて命令してくる。
どうやら冒険者ギルドからの刺客ではなく、『時間を操る』魔道具の依頼関係らしい。
どこでそれを知ったのだろうか? なぜ手を引かないといけないのか? そもそも誰かと勘違いしていないか?
尋ねたいことが多く脳裏に浮かぶ。
「それってルネ夫人からの依頼のことですか?」
「そうだ」
「それはあなたが盗んだ犯人だからですか?」
「……」
返答はない。
ただ言いながらその可能性は低いだろうなと景保は考える。
ここは現代社会と違って指紋検証やら防犯カメラなどが無い。つまり、たいていの証拠は人の証言ぐらいなものだ。もし彼が真犯人だったとしても、さっさと売り払ってどこかに逃げればいい。わざわざ姿を自分から現す必要が彼が真犯人ならどこにもなかったからだ。
あるとすればどこかの金持ちが真犯人で、目の前の彼が雇われた暗殺者や窃盗の実行犯という線だ。万が一にでも証拠や疑うに足り得る材料を自分が掴めば、どれだけ白を切ろうともルネ夫人とその金持ちとの関係は悪化する。それが理由で釘を差しにきたというのならあり得ない話ではない。
『景保ぅ~』
タマが怯えて泣きそうになりながら景保の足を掴む。
それは他人から見れば単なる哀れを誘う幼女の姿だったが、景保からすれば残念なことでで僅かに表情が曇ってしまう。
大和伝であれば、お供は主人を守ろうとしてくれる。なのにこれではあべこべではないかとやや不満が募ったせいだ。
「お前と押し問答をするつもりはない。俺は舐められるのが嫌いだ。従うなら良し。脅しのみと言われているが、従わないならしばらく病院のベッドがお前の寝床になるぐらいは覚悟してもらう」
「ここでも親子扱いか。ギルド長どこまで噂話流してんだよ……。あの人、どっかで頭打って真逆の性格に変わらないかな」
タマのことは可愛いと言えば可愛いし、ゲームを始めた最初からずっと一緒にいたお供なので愛着もあった。
それでもたいていのことは受け流す景保でも、やはり彼女もいないのに父親扱いは辛いものがある。
彼女いない歴二十一年の男の子の心はピュアなのだ。
ぶつぶつと小声で口を尖らせる景保に、その男は抵抗の意思ありと判断した。
やや腰と膝を屈め戦闘準備に入り、それを見て景保もタマに距離を取らせる。
「やるならいいけど、そう簡単に倒せるとは思わない方がいいですよ?」
モンスターとの戦いはまだしも、対人戦はあまり好きでない景保。それでもここで引くわけにはいかず腰に提げている扇を取り出して突き付けた。
扇を見たことがない男は盛大に怪訝な反応をするも、護身用の棒っ切れのようなものだろうと結論づけたらしい。
すぐさま駆け出し紡がれる一閃。けれど景保は難なく扇身で弾き返す。
「何!?」
まさか鍔も付いておらず、しかも細い木製の短い武器で防がれると思ってもみなかったのだろう。驚愕の声が布越しにもれてくる。
「だから言ったでしょ。諦めるのなら今の内ですよ?」
「子連れハンターカゲヤス、馬鹿みたいな二つ名が付いている割にやるじゃないか」
「そんなの付いてるの!?」
男が仕事の前に金貨一枚で買った情報はかなり少なかったが、本当にここ数日台頭してきた冒険者らしいことは知れた。解決が遅れていた依頼を次々とクリアしていき、子連れと目立つ風貌から情報に敏いものはすでに耳に入れているレベル。
景保としてはこっちはこっちでその二つ名は衝撃の事実だった。
間違っちゃいないが、それを最初に名付けたやつに一言文句を言ってやりたい気分がこみ上げてくる。
「問答無用!」
剣撃のスピードが速まった。
力の籠もった軌跡と力強さはそれが決して脅しではなく、命を取る動きに近いと景保は理解する。
しかし後衛職ではあるものの、ステータスは超人と言って差し支えがない彼はその数々を易々と捌いていく。
袖が異様に長い式服が翻り、まるで舞を踊っているかのようだ。
「これぐらいなら何とでもなる、ねっ!」
「くっ!」
男はこうして暗殺まがいのことをしているのだから、剣の腕前に自信があったのだろう。
それなのにたかが短い棒っ切れに悉く攻撃が食い止められ如実に焦りが見え始めてきた。
やがて大振りの伸び上がってくる刃を身を捻って躱し、景保は扇でその無防備な手首に叩きつける。
ぴしゃん、と小気味良い衝撃が鳴った。ただしその実は男の骨を砕いていた。
直後に激烈な痛みで持てなくなった剣が地面に落ちて転がる。
「そろそろ観念してもらえませんか?」
扇を広げて早々と勝利ポーズ。扇面には鶴と亀の絵柄が描かれていた。
男はまさかその扇が木だけでなく、紙からできているという事実に面食らう。つまりそんな打たれ弱い武器で剣と渡り合うなどとんでもない技量の差があることに気付いたのだ。
作戦は失敗。正面から勝てる相手ではない、と悟った彼の決断は早かった。いきなり反転して逃げの一手。
今回は見るからに強そうではない相手だったので油断していたが、人を殺す手段は他に幾らでもあると、即断即決のプロの判断をした。
「っ! 逃さない! ―【玄武符】―土壁成山」
逃がすわけにはいかないと景保が咄嗟に符術を使用し、隆起した地面が男の退路を阻む。
それは一瞬で三メートル以上にもそびえ立ち、何人も通さない壁となった。
「な、なんだこれは!?」
男が驚くのも無理はない。これはこの世界には無かった規格外の術の一端だ。
「大人しく捕まって雇い主を吐いてもらいますよ。できれば事の顛末もね」
その言葉に男ははっとなった。
ここでもし依頼主のことをバラしてしまえば自分はもうこの世界にはいられない。それどころか恨みを買って逆に自分に暗殺者を差し向けられる可能性だってあった。
乾坤一擲、ここで勝負するしかない。
けれど、相手はただの棒で剣と渡り合うほどの卓越した腕前だ。利き腕も砕かれ、どうやっても勝てる未来が見えなかった。
ならば、と男は仕掛ける。
このような仕事をするのに武器が一つだけなはずがない。隠し持ったナイフを景保の斜め後ろにいて竦み上がっているタマに投げつけた。
「タマ!」
『ひゃっ!』
自分に向けられた殺気と凶刃にタマが身を固くして呻く。
だが容赦の無いナイフはそんなことでは止まらない。真っ直ぐにタマの眉間目掛けて飛んでいった。
射線上、そこへ遮るように壁ができる。
「うっ!」
景保だ。彼が自分の体を盾にして庇った。
身をくの字によじり両の膝を地面に着き、手はお腹に刺さったであろうナイフを掴もうと弱々しく震えていた。
『景保ぅぅぅぅぅ!!!』
タマの張り裂ける絶叫が路地に響く。
すぐさま彼女が駆け寄る。怖さなど忘れて無我夢中だった。
自分の最愛の人が自分を守り傷付けられて倒れる。それは自分の存在意義を否定されるものだ。タマの胸には深い後悔が刻まれた。
「だ、大丈夫だから……」
『景保ぅ! 景保ぅ! 景保ぅ!』
しゃべる声は聞き取るのが難しいほど微弱だ。
傷が深まるかもしれないと、触れることもできずタマは景保の横で右往左往しながらその幼い瞳から懺悔の涙を零すことしかできなかった。
その光景を見下し冷笑する者が一人。
男は予想以上の効果が出て頬を緩め、落ちている自分の剣をまだ無事な左手で取りゆっくりと二人に近付いていく。
右手はまだ痛むがやせ我慢できる範囲内だった。
「馬鹿なやつだよお前。叩き落とすだけで良かったのに、自分から当たりにいくとはな。まぁそれならそれで俺がその隙を突いたがな。娘はそんなに可愛いか?」
「だから……娘じゃないって……言ってるのに……」
依頼主経由では親子だという情報だった。だからこそ身を挺して庇ったのではないのか?
まだそんなことを言う景保に男は鼻白む。
ここまでで仕事はほぼ達成だ。回復魔術を掛けられれば生き残る可能性が高く、放置すればいい。そうすれば恐怖からこの件には関わり合いになりたくなくなるだろう。
しかし男の胸中では言いようのない不安が渦巻いていた。
ここでトドメを刺さなければ、この優男は復讐をしてくるのではないか?
依頼主からも殺しは控えるようにとは言われていても、あまりにも実力差があり過ぎたせいで景保を放っておける存在ではなくなってしまっていた。
だから男は無慈悲にその剣を振り上げ歩を進める。
頭の中ではこの後、タマをどうするかを考えていた。男も機械ではない。さすがに顔を見られたわけでもないこの歳の幼女を殺すかどうかだけは迷いがあった。
その間に景保は蹲りながらタマに語りかける。
「タマ……どうすればいいか分かる?」
『景保ぅ、分からないなの……』
タマがぶんぶんと頭を左右に振り、キラキラと涙が散る。
悲嘆に暮れ、この状況で何かを考えられる余裕が彼女には無かった。
「君が泣いているのは悲しいからだ。でもその原因を作ったのは誰だ? タマはその悲しみを怒りにしないといけない」
『怒りぃ……なの?』
「そうだ、僕を守れなかったことを悔やんでくれるのなら、今それを見せて欲しい。できるかい?」
『うん、景保が刺されてタマのここもとっても痛かったの。もうそんなの見たくないの! そのためだったら何でもできるの!』
タマが着物の袖で涙を強引に拭い、胸を抑えながらもう剣が届く位置までやってきた男をきっと睨む。
まだほんの少し膝が震えているが、それでも自分の意思で戦うことを決めたようだ。
「遺言はそれでお終いか? 子供には手を出さない。だから安心して逝ってくれ」
「意外と優しくて困ったな。この後、非情になれないかもしれないじゃないか」
「何?」
せめてもの情け。そのつもりで会話が一段落するまで待った。
しかしあとは首を斬られるだけの景保が言わんとしていることが理解できずに男は手を止める。
「やれ! タマ!!」
『【変化】なの!』
景保が発破を掛け、タマが応えると、ぼわん、と白煙が立ち上りそこに赤い影の人の形をしたシルエットが現れる。
すぐに煙が消え登場したのは鬼を連想する武者鎧だった。
兜の額からは誇示するように三日月型の金色の立物が突き出し、全身を血を彷彿とさせる真っ赤に染め上げた威風堂々とした侍型のモンスター。
『赤備え』と呼ばれるそのモンスターは、大和伝に登場する敵キャラだ。
元々は「甲山の猛虎」と謳い上げられた「飯富虎昌」が発端となり、「武田信玄」、「真田幸村」、そして「井伊直政」へと継がれていった精兵を意味する兵士のことである。
その目立つ朱塗りの赤は戦場を駆け巡る歴戦の猛者たちを震え上がらせ、味方の士気高揚を促す一助となった。大和伝では雑魚キャラの一つに過ぎないが、レベルは六十とかなり高めで集団戦になると命知らずの特攻を信条とする動きに苦しめられることになる。
タマはそれに変身した。
「ひ、ひぃ!」
男は唐突に現れたその武者に震え上がる。
顔を隠す面当ては口も目も恐ろしげに吊り上がり、もはや悪鬼羅刹の相貌。赤備えが持つパッシブスキルの【威圧】が成功しているのかもしれない。
【変化】はそのモンスターの特殊能力を一部のみ引き継げる。どうしても本来のモンスターよりも劣化してしまうし、レベルも最大が五十となるのでお供は純戦闘要員として数えるのは難しいが、実力差があるこの場合はそれが足を引っ張らないだろう。
『景保をイジメると許さないなのっ!!』
「た、助けぇっ!!」
あまりにも見た目と声がそぐわないが、もはや男にはそんな差異など気にならないほど恐慌状態に陥っていた。
腰に提げた鞘からぎらぎらと不気味に輝く刀を上段に振り上げ、鬼神の如く袈裟斬りに振り下ろされる。
あわや肩口に切っ先が届く刹那、
「ストップ!」
鶴の一声により、まさしく紙一重の隙間だけを残して刃がぴたっと止まった。
タマが命令を聞くのは一人だけ。もちろんそれを止めたのは景保だった。
男は死の幻視を見たようでこれで反抗する気が無くなったらしく泡を吹いてへたり込む。
それを確認した景保が立ち上がり「もういいよ」と鎧に手を置いて優しく諭すと、ぼわんと煙が出てタマが本来の姿に戻る。
元の幼女の姿になったタマは必死に景保を見上げた。
『景保ぅ景保ぅ! 立ったらだめなの! 早く符術を使ってなの!』
「あぁ大丈夫大丈夫。元から刺さってないから」
景保がお腹を見せて、ぽんと一叩きアピールすると確かに傷一つ付いてなかった。
片方の手にはナイフが握られている。
「いやぁこの服の防御力なら利き腕じゃない方の手で雑に投げた程度のナイフなんて弾くと思ったからね。もし怪我してもすぐに回復すればいいだけだし」
『な、なんでなの! 嘘吐いてたなの!?』
飄々とネタバラしをする景保にタマは小さな目を大きく開けてショックで愕然とした。
「うん、ごめんね。追い込まれたらタマも覚醒するんじゃないかって咄嗟に思ってね」
『う~~~!! 馬鹿なの~~!! 景保お馬鹿さんなの~~!!!』
「痛てて。ごめん、本当にごめんよ。いや、本当にけっこう痛いよ。ちょ、やめて! タマ、HPゲージ減ってるから!」
景保も可哀想なことはした自覚があり、タマが怒っているのは自分を騙したことじゃなくそんな無茶をしたことについてなので、ポカポカと丸く握った拳で殴られるのは受け入れるつもりだった。
しかし、あまり加減が無いタマの狐パンチは予想以上に強く早々に弱音を吐いてしまう。
何とも締まらない二人だった。
『でも怪我が無くて良かったなの!』
景保が刺されてからずっとぺちゃんこに萎れていた耳と尻尾も元通り。
ケロリと立ち直り満面の笑顔を見せる。
「これからは戦闘もできそう?」
『変化してたら怖くなくなったの』
「あぁそういうことか。なるほどね」
ようやくここにきて景保は光明を見つける。
理屈は分からないが、変化している間ならちゃんと戦えるらしい。これは一つ良い報せだった。
『それで景保、この人どうするなの?』
「そりゃもちろん、洗いざらい吐いてもらうさ。ヘボ探偵なんでね、答えを教えてもらう」
『卑怯なの』
「始まった途端にいきなり助手を殴ったらそいつが犯人だった、っていう推理物のレトロゲームが昔あったらしいね。それにあやかろう」
ぐっと力強く拳を握る景保を見て、ここまでの怒涛の展開にもうほとんど心ここにあらずな男は黙ってそれを受け入れるしかなかった。
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